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episode3 ③

「おはよ」



「あら、おはよう、遅かったね」



学校に着き教室に入って友達と話している愛華に近づく。



「ああ、ちょっとね」



「…?」



俺の意味深な表情に愛華はキョトンと首を傾げている。



「あ、彼氏来たね」



「いいなー」



愛華の友達が茶化すように俺に冗談ぽく言う。



「…」



いつも言われているから反論する気にもなれない。



「なあ、愛華。ちょっといい」



まだ朝のホームルームまでの空き時間はあるから話せそうだ。



「えっ告白!?」



「…」



まだ愛華はの友達は俺に対しての茶化しは続いていたけど、とりあえず無視しておいた。





「なーに? 話しって」



愛華と廊下に出て階段近くの窓際までやってきた。



「なあ」



「ん〜?」



「遠乃さんの事を教えてくれない?」



俺は真っ直ぐな瞳で愛華に訴えるかのように懇願する。




「…別にいいけど」




愛華は特に問う事なく素直に承諾する。



「ありがとう」



「…まあいいけど」



愛華は何かを気にするかのような表情をしていたけど、気にするような事ではなかったので気にしなかった。



そして、愛華は呟くように遠乃さんについて説明をしてくれた。



「遠乃 音唖ちゃん、紅欄学園中等部の中学3年生。1ヶ月前の3学期に転校してきて、転校の4日前に1人でこの町に引っ越してきた。前の町である問題を起こしたらしく」



「問題? っていうか1人暮らししてるの? 中学生で? しかも女の子なのに」



「みたいね」



なぜ遠乃さんの親は1人暮らしを許したのだろうか。



「よくは知らないけど、妖魔協会が運営している不動産あるでしょ? そこのアパートに住んでるみたいよ」



「へー」



妖魔協会って妖魔の政府機関だけではなく他の事業も展開しているらしく、でも基本的には妖魔に関わっているものである。



不動産は妖魔狩りが妖魔多くでる町など暮らさせる為で、すみれさんの行っている占い師は妖魔と関わりがある為の本業である。




「それに、あの子は」



「!」



愛華が言いかける言葉にピンと来て先に口に出す。



「妖魔狩り」



「えっ」



「でしょ?」




「う、うん」



俺が知っていた事に愛華は少し驚いた表情で俺を見る。



「何で知ってるの?」



「何でって昨日会ったから、買い物帰りに」



遠乃さんは俺を誤解したまま、そのまま逃げるように帰っていったけど。




「そうなんだ…」



「でも、なんで妖魔狩りしてるんだろう…まだ中学生だからできないはず」



「そうなんだけど、すみれさんに聞いたんだけど、教えてくれなくてさ」



「教えてくれない?」



不明な言い方に俺は首を傾げる。



「なんかね、音唖ちゃんの事に関してはお父さん含め隠し事してるみたいなのよ」



「隠し事って…」



「よく分からなくて…」



「そうなんだ」




(隠し事…)



遠乃さんの事は何か隠さないといけない何かがあるのだろうか?



「さっき言ってた問題って何?」



「ああ、前の町で問題を起こしたらしくて、それが妖魔と関わりがあるみたいよ」



「妖魔と?」



「確か去年だっけ、隣の県で妖魔の事件あったじゃない? ほとんど妖魔が現れない町で妖魔に現れて、中学生の女の子が亡くなったっていう事件。なんかあの時すごい大事な出来事もあったらしくて、すみれさんもその頃結構忙しそうだったし。その事件に音唖ちゃんが関わってるらしいのよ」



「そう…」



「なぜかすみれさんはその時の事を話そうとしてくれないってやつ。絶対に怪しいでしょ」



「う、うん。というか何かあるでしょ、それ」



「あたしもそう思うよ」



「……」



でも、確かに強い魔力のような感覚を感じたのは事実だ。



「遠乃さんの家系って力のある家系なのかな?」



力がある人間って基本的に決まっているから、時には俺みたいな例外もいるが。



「さあ、知らないけど」



「…」



「ねえ、奏兎」



「ん?」



愛華が気にするような様子で俺に声を掛けようとした時、ちょうどチャイムが鳴り響いた。



「チャイム鳴った、戻んないとな」



「うん…」



「で、何?」



「なんでもない」



「?」



愛華はなぜか不貞腐れた反応でそっぽを向いた。



教室に帰ると、愛華に告白したのだと愛華の友達に茶化され、更に席に戻ると仲のいい隣の席の奴からも茶化される羽目となった。



どうしてこうも、愛華と何かあるんじゃないかと茶化されるのだろうか。



愛華と恋沙汰になるなんて絶対にありえないと何か言うのに。





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