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かもめ亭にて

「よし!まだまだ挨拶頑張らないと!ランチタイムにはまだ少し早いけど、レストランと酒場に行ってみようかな。ご飯食べてる人もいるかもしれないし。」

 気持ちを切り替えて、リルハはまずはレストランに向かうことにした。せっかくなのでレストランで早めのお昼を食べて、酒場で飲み物を頼んでみようと考えると、ワクワクした気持ちになってくる。


 マリンタウンの人気店「かもめ亭」は薄い水色の壁紙に白木のテーブルの、爽やかで清潔感ある内装のレストランだ。

 ドアを開けると赤と白のギンガムチェックのエプロンドレスを着た看板娘のセシルが、「いらっしゃいませー!」と元気いっぱいに迎えてくれた。

 オレンジがかった金髪のツインテールと、丸くて大きなエメラルドの瞳がキラキラしている。

「1名様でよろしいですか?お好きなお席にどうぞ♪…あ!あなたもしかして、噂の牧場主さん?」

 一気にセシルに話し掛けられて、思わず少し呆気にとられた後、リルハは笑顔で返事をした。

「はい。街の近くの牧場に引っ越してきました、リルハと申します。これからお世話になります。よろしくお願いします。」


「わー!話の通り可愛いね!同い年くらいかな?私セシル!この店の娘で、いつもお店にいるから、ご飯食べたり遊びに来てね!良かったら仲良くしよー!」

「もう!セシルったら!リルハさん席にも座れなくて困ってるじゃない!会えて嬉しいのは分かるけど、まずは席に案内してお水出してからでしょう?」

 はしゃぐセシルを嗜めようと、席を立って来てくれたのは薄桃色の髪にラズベリー色の瞳をしたとてもきれいな女の子だった。

「こんにちは、リルハさん。セシルが驚かせてしまってごめんなさいね。どうぞ座って座って!

 私はソフィアよ。セシルと同い年で友達なの。たぶんリルハさんも同じ年位よね?お友達になれたら嬉しいわ。」

 にっこりときれいな笑顔で挨拶してくれるソフィアさんに思わず見とれてしまう。

 仲良くしようと二人が言ってくれたことが嬉しくて、リルハは満面の笑みで答えた。

「はい!セシルさん、ソフィアさん、よろしくお願いします!私のことはリルハって呼んでください!」


「こちらこそよろしくね!リルハ!」

「ええ、セシル共々よろしくね。私たちのことも呼び捨てでいいし、敬語もやめてね?せっかくだし一緒にお昼ご飯食べましょう?セシルも休憩入れる?」

「いいねー!今はお客さんソフィアとソラだけだし、自主休憩しちゃおっかな♪リルハにご飯出したらね♪」


 3人で盛り上がっていると、奥のテーブルにいた男の人が苦笑いで声をかけてきた。

「こらこらセシル、自主休憩は構わないけど、僕にも挨拶させて。

 こんにちはリルハさん。僕はソラといいます。父と一緒に漁師の仕事をしています。毎日魚を卸しに来るので、セシルとは幼なじみで、まぁ兄みたいなものですね。僕にはセシルより年下の妹がいるんですが、そっちより世話がやけるんですよ。」

 ソラさんは少し困ったように笑いながら、温かく目を細めてセシルを見た。

 漁師さんなのに日に焼けたりしていないのか紺色の髪はサラサラで、灰色の瞳は穏やかだ。

 優しそうな人だなぁと思う。


「もーソラったら!私はもう立派な大人のレディです!お店だって1人でも切り盛り出来てるし!」


 そういえば他に店員さんはいないのかと聞いてみると、ランチタイムやディナータイムの忙しい時間はセシルのご両親がメインで調理とホールを回していて、それ以外の時間はセシルが店番をしているそうだ。セシルの調理の腕は一級品で、お父さんのお墨付きをもらっているとのこと。

 でもおっちょこちょいでホールではミスをしがちなので、空いている時間に練習しているらしい。

 今日はセシルとのおしゃべりがてら早めのランチに来たソフィアと、魚の配達の後ブランチをとっていたソラさんがいたけれど、いつもはセシル1人かセシルのお母さんのクレアさんがホール指導をしていることが多いそうだ。

 クレアさんとセシルのお父さんのジェドさんにもご挨拶したいので、後でまた来ようと思う。


 セシルが作ってくれたランチはとっても美味しくて、友達が出来た嬉しさとランチの美味しさでご機嫌な気分になって、セシルとソフィア、ソラさんにまたねと手を振ってかもめ亭を後にした。

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