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崇拝されるが、勘弁してください  作者: 子猫ポイズン
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少女との触れ合い

 俺の目の前には、人間が並べられている。

 その光景にあまり、これといって怒りのようなもの、嫌悪感のようなものが沸いてこない。ただ、可愛そうなとテレビの向こう側の動物を見ているような感覚だ。

 これは、俺が人外になってしまったという事なのだろうか?

 並べられている人間はすべて女性である。

 彼女たちは、この異様な光景に怯えているがどこか諦めたような雰囲気があり、皆その運命を受け入れているようであった。

 まるで、俺がこの集団の元締めであり最悪の根源みたいではないか。

 かつてのエミールを見ているようだ。とは言ってもほんの数時間前のエミールと似ているという事だ。

 俺はそんな怖い存在じゃない!

 きっとエミールの時が悪かったのだ。きっと次は大丈夫。

 何の根拠もないが、俺はもう一度現地住民との交流を夢見て転がっている彼女達の一人に手を伸ばす。

 そんな中、手が近づくにつれ離れている人間は安堵し、その近くにいる人間は恐怖に震えていた。

 そんな中、俺は一人の少女に手を伸ばす。

 俺の考えでは、子供な大人程先入観がなく、こんな見た目の俺でも友好的な態度を取れば心を開いてくれるのではないかと。

 

「・・・・・・ひっ!」


 完全に少女は怯えていた。どこをどう見ようと怯えていた。小さな体を震わせて、うずくまるその姿は肉食獣に怯える、小動物のようであった。

 くっ!ここで、あきらめる訳にはいかない。この世界に来ての今度こそ人間と友好的な交流を図る絶好の機会なのだ。

 少女が怯えている中、俺は手を伸ばす。


霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!霧よ出るな!


 この単語を呪文のように唱えながら、手を伸ばす。少女は涙目で震えている。

 そして、怯える少女の頭に手をのせることが出来た。

 そのまま、手で頭を撫でる。そこで、気づいたのだがこの手でもしっかりと感触を感じる。少し、ベタついているがサラサラとした髪を撫でているこの感触がある。

 もしかして、手に感触があるのなら、この体でも物を持つことも出来るのだろうか?

 少女の髪を触った手を、俺は軌跡でも起きたかのように眺めていた。

 何も触れる事が出来ないかもしれない、もしくは触ったものが全て変質してしまうのではないかと最悪の事も考えていたのだが、そんな事は無かった。

 俺は物を握り、者に触れるのだ。

 怯えて泣いている少女の傍で、少女を撫でた手を見ながら感動し、見ようによっては嬉し泣きしている俺は、間違いなく日本であれば逮捕ものだ。

 しかし、ここは異世界である。そんな事はないのだが、この絵面を思い出しこの後、どこかで悶絶しているだろう。

 今は、初めてこの世界での感触に感動して、それどころでは無かった。





 邪神様は、何故か人間に興味を持たれた。

 私も元人間であるから、その関係で興味を持たれたのだろうか?

 私もここにいたゴブリン達も既に、人間ともゴブリンとも取れない進化を遂げている。内包している魔力も格段に上がり、ゴブリン達に関してはその肉体も魔改造されている。

 種族で言えば、邪神様に使える種族とでもいうものだろうか。過去に発生したことのない種類ゆえに表現する言語がない。

 これは、その内しっかりと決めていかないといけない。我々の総称に相応しい、あの方に仕える我々の種族を。

 おっと話がずれてしまったが、邪神様は人間の中から、一人の少女を選んだようだ。

 その少女に手を伸ばしている。

 なんと羨ましい事なのだろう、私は胸にチラつく炎を感じるがそれを体現しようとはしない。

 邪神様の考えだ、何か深い考えがあるのかもしれない。

 しかし、それでも羨ましい。

 邪神様は、そのまま手を伸ばし少女の頭を撫でている。

 奥歯から、ギリッ!音が鳴る。

 はて?私の口に土でも入っていたのだろうか?

 周りの様子を見渡すと、ゴブリン達も苦々しい表情をしている。

 いや、元ゴブリン達か、邪神様のお陰で人型に近づいた為、表情が豊かになっている。以前は、どれも同じような表情をしていたので、すごい進歩なのだろう。

 いったん私は心を落ち着かせ、邪神様を見る。

 邪神様は、少女に触れた手を見て何やら考えている。

 しばらくして、邪神様から声が掛かる。


何か物を持って来てくれ、日常品から武器まで、持って来れる簡単な物を。


 頭に響く言葉には浸透性があり、甘い中毒性のようなものがある。

 そんな言葉が私にとって、いや私たちにとってはどんなものにも代えがたい。

 私は、自身の持っていた剣を邪神様に差し出す。

 今、思えば邪神様は目を覚まされてその手で何も触られていない。どれも触る前に黒い霧が触る前に全てを変質させていた。

 しかし、先ほど邪神様は少女の頭を撫でていた。霧を発生させる事無く、物に触れていたのだ。

 邪神様は、下等な人間を使って実験していたのだろう。もし、失敗してもまだ人間ならいる。

 さすがは、邪神様!

 下等生物の扱い方を良く理解している。

 私は、そう納得し邪神様に剣を渡す。


 エミールは、大きな勘違いをしながら、邪神への忠義を深めていくのだった。

最近あげる事が出来てませんでした、すみません。

これからもぼちぼち書いていきますので、宜しくお願い致します。

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