斥候部隊とゴブリン
お久しぶりです
また少しずつ更新していくので楽しみしていて下さい
ザコース伯が、治めるミノス領地は王国の首都に近く自然あふれる土地となっている。
首都に近く自然が豊ということで貴族達の避暑地になっている半面、手付かずの自然が多く残ることから魔物の多数生息している。
今回、問題となっているのがその区域に生息するゴブリンだ。
そのゴブリン達は、厳しい自然を生き抜く為に肉体を限界まで鍛え、連携して一個体を叩く集団戦に磨きを掛けていた。
ゴブリンでありながら、冒険者の中で勇者と呼ばれる者たちの襲撃を物ともせず撤退にまで追い込んだのであるのだから。
そういった報告を受けた出撃する事になったザコース伯持ちの騎士たちは、まず敵の居場所の正確な特定に斥候を出した。
彼らは、たかがゴブリンであると高を括り撤退に追い込まれた勇者一行を庶民の冒険者たちの底が見えると笑いながら出かけて行ったのであった。
「で、実際どうなのよ。そのゴブリン達て強いのか?と言ってもたかがゴブリンだろ。王様が直々にうちの領主に命令するほどの事かね」
斥候を行う騎士の一人が呟く。
「ゴブリンと言われピンキリですから、なんとも言えないのが現状でしょう。ただのゴブリン達ならどの領にも一定数いますし。しかし、一個体で強いといった話は聞きませんので問題はどれだけの数がいるかではないでしょうか」
新入りの騎士が真面目に答える。
「ゴキブリや白アリみたいなものだろう。問題は個体の強さではなく、数の問題だ。開けてみるまで分からないてところで、そっくりだと思わないか?」
「確かにその通りだよな。俺たちはその数と位置を正確に本隊に伝えればいいだけだからな。危険だと思えば逃げればいい」
「まぁ、ゴブリン相手に俺たち騎士が負ける訳無いがな!」
その行進には悲壮感はなく、何処か緊張感に抜けた雰囲気がそこにはあった。
そんな彼等の周りを黒い人型の何かが静かに囲っていた。
「ぬ?」
初めにその異変に気が付いたのは、この偵察隊に派遣されていた騎士隊長だった。
それは視線だろう。刺さるような視線が四方から飛んでくるのを感じる。
いやな汗が全身から噴き出したの騎士隊長は感じた。
まるで、幾体も大型の魔物に囲まれているような。威圧感からしてゴブリンのそれとは格別されている。
「ぜ、全員みっ・・・・・」
その声は最後まで言葉を紡ぐ事無く、代わりに体から首が落ちた。
騎士隊長の後は、今までいなかった黒い人のようなものがそこには立っていた。
顔だちも人に近いが、目が猛獣のような獰猛さを有し、口からは人間では考えられない牙が生えている。
「貴様、何者だ?」
騎士の誰かがそう言った。
「ふむ、我はゴブリンだ。いや、今は邪心様の僕か?まぁどっちでも貴様らには関係ないことか」
そこにいた全員はそんなゴブリンいるかよと思ったが誰一人としてその言葉を言えるものいなかった。
全員の視界が宙を舞い、地面に落ちていった。
「これで斥候隊は全滅。とはいえあの女の言っていた通りのいや、それ以上の厄介ごとになってやがる。
巫女たちも魔法で遠方から軍隊が来ているの確認済みだしな。あーめんどくせぇ」
騎士たちは全員黒い人型の魔物に首を落とされていた。
その中でも騎士団長を殺した者がだるそうに呟く。
進化したゴブリン達の中で暗殺に特化して進化したゴブリン達。
その中でも部隊を任されているゴブリンは覇気が無く、基本ダルそうにしている。そんな彼の腰には黒く脈打つ双剣があり、それが部隊の隊長だという証しになっている。