表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崇拝されるが、勘弁してください  作者: 子猫ポイズン
1/11

邪神降臨

 目を覚ますと、自分の知らない天井が見える。

 異世界転生物の小説の中では、ありきたりな内容だ。

 この見た事のない場所で、どこの世界の神か何かに力を貰い、異世界で無双する。そのうち世界の命運に関わり、魔王を倒したり、邪神を倒したり、そしてハッピーエンドを迎える。

 そのはずなのだが・・・・・、何だこれは?

 この薄暗い場所を、数百の者たちが自分を囲んでいる。

 見た目に間違いがなければ、ゴブリンたちで間違いないだろう。

 様々な武装をしたゴブリンたちが、その醜悪な顔をこちらに向けている。戦士のような恰好の者もいれば、フードを被り杖を持つ魔術師のような者、骸骨の面を被り何やら唱えている者。無数にいるが、全てゴブリンだろう、それら全てがこちらを見ている。

 どういう事だろうか?

 神様からの異世界転生の説明は?能力の授与は?その他恐ろしく強い武器や美人の仲間は?

 もしかして、既に貰っていているのではないのだろうか。

 さて、力を少し入れてみよう。

 すこし、体を伸ばして・・・・・・・?

「「@#*+###‘@!」」

 何故か、急に周りのゴブリンたちが騒ぎ出した。

 それに手を挙げ、頭を下げ何度も平伏しているように見える。まるで、邪神降臨の儀式のようだ。見た事はないが。

 やばい、これは生贄にでもされてしまうのか?異世界転生、即生贄、死亡コースなのではないだろうか。

 このままでは、生贄にされてしまうと死の恐怖から叫びそうになるが、声が出ない。

 心の中は恐怖と何故自分がと思う激情に支配されているが、その苦悩が外に出ることは無く頭を抱え悶えるのみ。

 その姿にどのような感情を抱いているのか分からないが、ゴブリン達は歓声を上げている。

 おそらく、今後生贄として死んでいく俺が道化のように見えているのかもしれない。まるで、マグロの解体ショウだ。この後、邪神に美味しく頂かれるのだろう。

 それでも、そんな簡単に殺されてなるものか。転生仕立てで、武器も魔法の知識もないが、この拳で最後まで抵抗しよう。何かに力に目覚める可能性もあるかもしれない。

 そして、もし死んだら次こそ神とやらにあって一発殴ろう。よくもあんな仕様デスモードな場所に1レべのまま放り込みやがってと。

 そして、拳を握りこむ。

 覚悟は、決まった。後は何体道ずれにして、神の所に殴り込み行けるかどうかだ。

 死ぬことが前提となってしまったがまぁいいさ。さぁ、掛かって来い!

 そう思い、俺は禍々しく黒一色に染まっている拳を振りかぶった。



 へ?



 俺は振りかぶった拳を、まじまじと見る。

 おかしい、記憶が正しければ俺は日本人のはずだ。肌は少し黄色が入った白、決して黒人であったはずがない。

 それに、拳や腕にかけて薄い黒い霧のようなものを纏っているし、指に爪は無いが、鋭く尖ったような作りになっている。

 それに、紫色の血管のようなものが不気味な色を放ちながら脈打っていた。

 ふう、落ち着け、分からない事だらけだが、ひとまず深呼吸をしようか。

 しかし、口が開かない。

 ここで初めて、自分が今まで呼吸をしていなかったことに気付く。

 うーん?

 分からない事が多すぎて、可愛く首を捻る。

 女子がすれば可愛らしい仕草なのだが(美人に限る)、今の俺がすればさぞかし恐ろしく気持ちの悪いものに見えたのだろう。だって、悲鳴が聞こえたのだから。

 その声のする方向から、ゴブリン達が何かを引きずるように持って来る。

 それはボロボロの鎧を着た女だった。

 戦闘でやられたのだろうか、腕や足はロープで縛られ大きく凹んだ鎧の下からは薄っすらと血がにじみ出ている。

 顔は引きずられて来たせいか、泥が付き石が当たり痣が出来ていて、とてもじゃないが見てられない状況だ。

 髪は金髪のロングヘヤーだったのだろうが、ぐしゃぐしゃに乱れていて、余程の恐怖からか白髪が半分以上を占めており、年老いて見える。

 しかし、目の前の女性よりも大きな問題がそこにはあった。

 彼女の鎧が反射して、こちらの様子が写し出されていたのだ。

 誰だ、これ?

 鎧に移っていたのは、シルエット的にはランプの魔人のような形をしていた。

 地面に置いてある禍々しい色の玉から、それは飛び出していた。

 手を動かせば、そいつは同じように手を動かし、首を傾げれば同じように動く。

 玉から飛び出していたそいつは、コ〇ンに出てくる犯人のようなそんな奴だった。

 もしかして、これが俺?

 邪神は既に降臨されていた。

久しぶりの投稿になります。

どうか、温かい目で見守ってください。

不定期更新です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ