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長崎物語  作者: 恵比寿 鯨太
このままでいいと思ってたのに
4/6

彼女との超えられない溝

国体に出場するメンバーは、3人。県で3人を選出し1チームを結成する。

私の高校からは私1名。他2名は北陽台高校という他校からの選出だった。


チーム戦なので、もちろん顔合わせも必要だが、一緒に練習して息も合わせないとならない。


そこで、私は放課後単身、他校へ行き、他の二人と練習することを繰り返すようになった。


他校に行くということは、自分の部で何が起こっているのかという情報が全く入ってこないのである。


MさんとS先輩はどうなったのか?

いったいどういうことになってしまっているのか!?

自分の部にいたら、S先輩の言動とか、部の雰囲気とかでなんかわかるはずなのに、他校に来てたらなんにもわからない。


ある意味の情報断絶。

これ、結構情緒不安定になる。


しかし、他校練習でもいいことがあった。

他校の部の女子部員が仲良くしてくれた。気を使ってくれているのか、気軽に話しかけてくれたりしてくれた。

そのなかに、むっちゃ可愛いのに名前が「とみ子」さんというおばあちゃんみないな名前の女子がいて、私的にはちょっと気になった。だが、Mさんを超えるほどではない。


それから数日後。

休み時間中に、他校に練習に毎日練習に行っていることを、同じクラスの友人Aにちょっと自慢してしまったことが、私の失策だった。

「とみ子」さんという可愛い女子が私に優しくしてくれるということも自慢げに喋ってしまった。


友人Aは、私の話を冗談半分に聞いているようだったが、ふふんと鼻を鳴らし不審な笑みを浮かべていた。


そして、次の休み時間、トイレから帰った私は目を疑った。


黒板にデカデカと相合傘が描かれており、その下に私の名前と「とみ子」と書いてあるではないか!

ここはどこだ!?ここは進学校で、生徒は高校生だろ!これ、小学生がすることやん!?


「おい!A!オマエ、なにしよっとや!」私は友人Aを探した。

私の目が捉えた友人Aは、自席に座りながら黒板の前で怒っている私を指差しながら笑っていやがった。


そして、数席離れたMさんは、黒板の文字と私をわざと見ないように、窓際の方を不自然に向いていた。なんだかちょっと不機嫌的な…

ああ、俺は完全に嫌われた。

国体に向けて一生懸命練習していると言いながら、他校の女子と仲良くなって浮ついている軽い奴だとMさんに思われた…。

もうだめだ。高校生は自意識過剰なのですぐに傷つくのだ。


そうやって、日が経過するごとに、Mさんとの距離は離れて行った。

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