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長崎物語  作者: 恵比寿 鯨太
このままでいいと思ってたのに
1/6

こんな青春いらない!

長崎の高校時代、長崎西高等学校という高校に通っていた。

ネット検索してもらえばわかってもらえると思うけど、偏差値70位でたぶん九州でも1、2番を争う有数の進学校です。

トップグループ数十名は東大京大、普通にやってたら有名私大、普通の国公立、たとえ落ちこぼれても、名もなき国公立ぐらいには行ける学校だった。


そんな学業優先の学校でも、なにかクラブに入らなければならなかった。帰って勉強する時間と体力的余裕のあるクラブ…と考えた私は「山岳部」というクラブに入った。なぜか体育会系でもなく、文化系でもなく、なんか楽できるかんじがしたのだ。


しかし、入部してみるとえらい勘違いだったことに気付かされた。


30分のランニングをした後、30kgのザックを背負って毎日放課後に1時間以上かけて近所の山に登るのが練習だった。そして、週末には、遠方の高い山まで遠征に行き、他校と山岳競技をするのだ。


山岳競技というのは、早い話が「ザックを背負って、与えられた地図のルート通りに進み、早くゴールした方が勝ち」という競技です。


当初はキツくて、しんどかったが途中からランナーズハイの状態を覚えた後は、めきめきと上達(?)まあ、速く登れるようになって達成感を持てるようになった。

しかし、学業優先したいがために入ったクラブで放課後は帰宅してバタンキューみたいな体力と時間を消費して、週末は泊まりで山で合宿って、当初の目論見と外れてしまったので、辞めたいという思いが強かった。


辞めなかったのは、女子部のMさんが居たから。


女子部とは練習も合宿もある程度一緒に行っていた。

でも、無口なMさんとはなかなか話す機会がない。

私も積極的に女子に話しかけるタイプではないので、結局事務連絡的なことぐらいしか話さなかった。


2年生になった時、大転機が訪れた。

Mさんと同じクラスになったのだ!それも席は隣!

同じクラブで、席が隣って、これは恋愛漫画によくあるパターンじゃんと小躍りした。

しかし、相変わらずMさんは無口な性格…し、しゃべる機会がない。そして「今日クラブ行くの?」ぐらいしか発することしか女子とのコミュニケーション能力がない私。


彼女は、花が好きで山岳部に入ったらしい。

らしいというのも、いつも山の花の写真集を隣で読んでいたから。というわけで、私も図書館から山の花の写真を借りてきて必死に覚えようとした。


席を隣にして、花の写真をずっと読み続ける二人…

私は花なんんて興味無かったから、結局ひとつも覚えることはできなくて、その本を読んだからって、Mさんとなんか喋れたわけでもない。


ただ、この娘と席が隣で放課後、週末いつも一緒に居れたらいい。付き合うとかそんなんどうでもよくて、このままでいいと思っていた。

だいいち、実際付き合うって具体的にどたらいいかわからんし…。

そう思っていた高2の春。


しかし、その年の夏、二人に想像してもみない未知の力が働いていく。


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