終わり
初めまして!筆者ROKKYと申します。
適当に思いついた妄想小説をだらだらと投稿していきたいと思います。
更新ペース遅いかもしれませんが、よければ暇つぶしに読んでください。
-------------------------------------------------------------------------
偶然というものほど怖いものは無い、
あの日あの時とがなかったらと思うと恐ろしいものだ。
宗教は恐怖によってできあがり、宗教ができると神が創られる。
つまり、偶然とは神そのものということなのだろう・・・
[グラート・フォル・レイテスト]の日記より・・・
-------------------------------------------------------------------------
「そろそろか・・・」
『***』はそういって前を見る。
目の前には大きな黒い闇が広がっている。これが広がると世界はやがてこの「黒」飲み込まれてしまうだろう。
『***』はその「黒」を止めるためにここにいる。
「そろそろですね・・・」
『***』もそういって前を見つめる。
この二人の前にある「黒」の存在は、一般人なら見た瞬間に意識を奪われ、力のあるものでもそう長くはもたない。
それほどまでにプレッシャーと力を感じさせる存在であった。
二人が意識を保っていられるのは、二人は相当の力を持っているということと、
『***』は諦めによる達観から。『***』は責任による罪悪感からである。
「すいません・・・、私があの時みんなを説得できていれば・・・」
「気にする必要ないだろ、まぁむしろ、俺ら二人で止める手立てがあるってだけマシなもんだ。」
この「黒」を止める方法。それは二人の命を犠牲にする方法だった。
二人の膨大な魔力、そして、命を消費することにより得られる力を使い、
この「黒」を消滅させることが目的である。
命を消費することにより得られる力とは、禁断の魔法で、生命力を消費し、それを魔力に変換する魔法である。
生命力を消費するだけあって、莫大な魔力を得られるが、同時に使用者は死亡、もしくは瀕死になってしまう。
たとえ瀕死で生きたとしても、「黒」を消滅させることによる余波で死んでしまうだろう。
「まったく、迷惑なことをしてくれたものだ、関係ないやつ巻き込むんじゃねぇよ・・・」
この「黒」の正体は、とある神の怨念である。残留思念という形で残った神の意志であるが、世界の闇の力を徐々にたくわえ、手が付けられないほどにまで大きくなってしまった。
このまま放置すれば、世界はこの「黒」の怨念に飲み込まれ、狂ってしまうだろう。
「死ぬ・・・かぁ・・・」
「・・・・・・・・・・・・そう・・・ですね・・・」
「はぁ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」
「いや、なんでお前があやまるんだよ。」
「私のせいでこんなことになってしまったも同然です!
無理やりにでもあの時「黒」のことを解決しなければいけなかった!!
あの時に・・・あの時に・・・・・・」
「お前だけの責任じゃないさ。あの連中がそう言うこと聞くとも思えないし、
第一[明日世界が滅びる]とか言って誰も信用しないだろ。」
「そうですね、本当にバカな話です。ですが今目の前で起ころうとしている・・・」
「いやまぁ・・・、そうだな・・・」
「愚か者というのは、きっと私たちのような事を指すんでしょうね・・・」
そういって『***』はうつむいた。頬には一滴の涙が伝っていた。
よほど後悔をしていたのだろう、その罪悪感が『***』の心でいっぱいだった。
「まぁもう死ぬってのに後悔しても仕方ないさ、まったく、[明日世界が滅びる]で本当に起こるとか・・・、前の世界じゃ、滅びる滅びるなんていって滅びたことなかったのによ。」
「前の世界では・・・、ですか・・・?」
そう言って『***』は不思議そうな顔をした。
「あれ?お前に言ってなかったか?俺前世の記憶があるんだって」
「聞いてませんよそんな話!?初耳です!」
「そうだったか?まぁその世界ではさ、大魔王が下りてきて世界が滅びるとかさ、世界が真っ白になってなにも見えなくなるとかさ、いろいろそういう事言われてきたんだよ。」
「はぁ・・・それはまた、なんとも・・・」
「挙句の果てには毎年毎年[今年世界は滅びる!]とか言うやついたんだけどさ、結局滅びなかったわ。いまも普通にあるんじゃねぇのその世界は。」
そう言って『***』は懐かしそうに遠くを見据えていた。
「・・・ふふっ」
「どうした急に笑って?」
『***』が不思議そうに聞くと。
「いえ、あなたは自分の話をあまりしないので、それが聞けたのが少し嬉しくて。」
「へえ?」
「ふふっ」
「・・・?」
さっきの涙はどこへやら、『***』は本当に嬉しそうだった。
「もっと聞いてもいいですか?前の世界の話。」
「ああ、まぁ別にかまわんよ。」
そう言って『***』は「黒」を消滅させる時間が来るまで話た。
「時間切れだな、話はここまでだ、退屈しのぎにはなったか。」
「残念ですねぇ、もっと聞きたかったのに。」
「まったく・・・、また今度会えたら話してやるよ。」
「本当ですか?約束ですよ?」
「いやお前・・・・・・ああ、約束だな。っと時間だやるぞ。」
そう言って二人魔法を唱え始める。
【【ノーツ・ディストレイト】】
そう魔法を唱えると、すさまじいほどの魔力が二人にたまっていく。
それは、目の前の「黒」に匹敵するほどの恐ろしすぎる魔力だった。
「さよならですね・・・」
「・・・・・・そうだな。」
「私は最後にあなたと一緒にいることができて本当に良かったと思います。」
「俺もだよ。」
「・・・それ本当ですか?」
「嘘言ってどうすんだよ。」
「ふふっ、良かったです。」
軽く言い合ってるが、なんせ命を消費している。相当体は悲鳴を上げているだろう。
それでも余裕を見せているのは、最後の意地というものなのか。
そして・・・
【【フィアノーゼ】】
二人がそう魔法を唱えると、膨大な魔力が神々しく光り、「黒」と衝突する。
「黒」と魔力が衝突すると、激しい爆発音が鳴り響き、地面は割れ、木々は消し飛び、空をも割った。想像を絶する衝撃だったのだろう、爆発音は、はるか遠くの場所でも聞こえたという。
この世の終わりとも思える力のぶつかり合いは、その地に大きな傷跡を残すほどだった。
そうして二人と「黒」はこの世界から消えた。
なんかいきなりシリアスっぽくてすいません。
次回からはもっと日常的なはなしになると思います。
よければ評価や意見、誤字脱字の指摘がありましたらお願いいたします。