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友葉学園シリーズ

【友葉学園】弟の姉は姉の弟

作者: 田中 友仁葉

主人公は姉弟系男子の五木 相馬くんです。

「おはよー」


「おはよう姉貴」


今日もいつも通りの朝だ。

偶然にも同じ学園に通うことになった俺こと五木(いつき) 相馬(そうま)(中3)は我が姉こと麗亜(れいあ)(高2)と今、2人暮らしをしている。


「今日も悪いね、朝ご飯作ってもらってさ」


「ううん、いいよ。どうせ姉貴は料理できないし」


「これでも練習してるのに酷いなぁ」


そんな何気ない会話、ここだけみれば一般的な姉弟の会話だが普通と少し違う点がある。


「……そろそろ行かないとな」


「そうだね、早く行こ!」


そういうと俺は『高等部のスクールバッグ』、姉は『中等部のスクールバッグ』を持って友葉学園に向かう。


外には社会人よりも生徒の方がたくさんおり、それぞれガヤガヤと一方向に向かって歩いている。


「おはよー! 五木くん」


「おはよー」


「……あっおはよー」


「また先にお姉さんの方から挨拶されちゃった」


そう言うと俺のクラスメイトの真凪(しんなぎ) 都華咲(つかさ)はタハハと笑う。


「じゃ先に行ってるからね」


「あ、ああバイバイ」


そう告げられると真凪は後ろ手を振りがらトテトテと走って行った。


…………


「……相馬」


「ご、ごめんな姉ちゃん」


「全く、もし『私と相馬の体が入れ替わってる』のバレたらどうするのさ!?」


「し、静かにしてよっ!」


周りからは弟が姉に詰め寄るように見えているが、実際には姉に叱られてるのは『姉の姿になってる俺』なんだよなぁ。


……数週間前、俺と姉貴の体が入れ替わった。最初のうちはかなり動揺したが、一週間ごとに元に戻るということが分かったあとは、すぐに順応した。

風呂やトイレも姉弟だからという理由で気にしないようにしている……というかそういうルールを設けた。


このようなルールは入れ替わり始めた最初の日のうちに決めた。

もちろん相手の体を使っての自慰も禁止にしてあるっていうか言うまでもないだろう。

ただ2人が入れ替わってる状態はきちんと成りきり、周りの人との関与はなるべく控えるというルールもある。


(でも姉貴の体、結構スタイルがいいからなぁ……胸が重い)


「でもあれだねー。慣れるもんだよね、弟の体も。胸が軽いっ!」


姉はそう言うが、俺はそうでもない。


特に姉の姿の途中に『あの日』が来たときは死ぬかと思ったし、下から血がドロドロと出てきたのを見たときは失神しかけた。


「……俺は改めて女の強さを理解したよ」


「? でも相馬の姿の方が力あるし、何より足が早いし!……それに中学生男子の裸見放題っ!」


「……」


俺としてもそれくらい寛大な人間なら良かったんだが、『相手の姿を借りて自慰行為の禁止』にはオカズを作るのも禁止という意味合いも含まれるため、こちらとしては何も得がない。

自分の胸を揉んでも楽しくないし……。


*****


姉(弟フォルム)と分かれて、俺は高校の俺のクラスに向かう。


「あっ! おはよー、いっちゃん」


『いっちゃん』というのは姉のあだ名らしい。


「お、おはよー……坂道さん」


なんとか思い出して名前を呼ぶ。


「うーん……最近のいっちゃんはなんだかいっちゃんよりも弟くんっぽいよね」


「っ!? あ、あははそうかな……!」


「まあ姉弟似るのはよくあることだし、気にしても仕方ないか」


そう言うと姉の友達である(ついでに言うと海保好きの)坂道さんは小さい体で円満のスマイルを見せた。


可愛い……可愛いんだけど! 榎田さんこの間彼氏出来たんだよねーっ!!


「……そ、そう言えばあれから彼はどんな感じなの?」


「うん、大分悪態は抜けたよ。……でも、癖になってたらしくて今はとりあえずツンデレレベルまでに落ち着いた」


「そうなんだ……」


ちなみに、坂道さんと彼が付き合ったことで彼女の友達である飛来(ひらい) (さき)さんは心底遺憾を見せているらしい。

今は彼の悪評を広めてるだとか……彼女も彼女で大変だなぁ。


「あれ? いっちゃん体操着は?」


「……え?」


「『え』じゃないよ! 今日体育あるよ?」


「っ!?」


た、体育……?

いや待て、俺は今まで姉の姿で体育の授業は無かった気がするんだけど……


「今日からやっと保健体育から実技になったの忘れてたの?」


そうなのかーっ。


「い、いや、えっと……だ、大丈夫! ちゃんと大丈夫だから!」


「……私の貸してあげたいけど、私のはちょっと小さい気がするしなぁ」


確かに、坂道さんのは小さいから(おれ)よりも背の高い姉が着るには無理があるだろう。


「……うーん、サキに頼む?」


「いやでも今は気まずいでしょ」


「……まあね」


あっ、少し気に障ることを言ってしまったか……


「ご、ごめん」


「ううん、気にしてないよ。それにアテならまだあるから」


「……?」


*****


次の休み時間、俺は榎田さんに連れられると3年生の教室に来た。やはり少し緊張する。

というかそもそも坂道さんの方が年上なのに、さらに年上の先輩に会うのはもはや恐怖もある。


「あら坂道さんどうしたの?」


「あ、会長。体操着貸してください」


「……」


……なんで会長なんだぁぁあっ!?


「まあ……でも、坂道さんには私の服は大きすぎると思うわ」


「主に胸ですか」


「……本当に坂道さんは鋭いわね。何を考えてるかすぐにバレちゃう」


会長さん、それは坂道ジョークだったのだと思います。


「……とりあえず体操着お願いします。この子が忘れたんで」


「あ、どうも、五木……麗亜です」


「あー五木さんのお姉さんの方ね。確かに私と身長、スリーサイズ、BMI、ほとんど一緒だったわね」


……胸見ていうのやめてください。


*****


なんとか会長から体操着を貸してもらった直後の授業中、わけわからん公式をノートにひたすら写しながら一番の問題を気にしていた。


(……体育ってことは、着替えるってことだよなぁ)


当たり前のことを呟くが、まさしく大問題だ。こんな成りでも中身は中学生男子だ。

そんなジロジロ見ることはないだろうけど……目には入るだろう。


…………

……


気がつけば授業が終わった。


「ほら、いっちゃんやい。行こう、今日はバレーだってさ」


「バ、バレーね……! そうだ、えっとその前にトイレに行ってくるね」


そのままトイレで着替えれば他の女子を見ずに着替えられる……


「あー、でも他のところ修理中だか

ら使えるのは今3階のトイレだけだよ?」


「え……」


「残念ながらトイレで着替える時間はないんじゃないかな……?」


「そっ!? そんなこと考えてないよ! あれだよ、お花摘み! 本当だって」


うう……仕方ない。なるべく壁を向いて着替えよう。


*****


俺は体育館の前の女子更衣室に足を踏み入れた。高校の体育館であり、女子更衣室でありと俺とは全く縁のない場所になると思ったが俺の場合はそうはいかなかった。


中は少し空気が湿っており、芳しい汗の匂いが漂っていた。正直クセになる。


「何を考えてんだ俺はぁ……」


周りにバレないようにか細い声で嘆く。


とにかく周りを見ないように壁を向いて着替える。


「……? いっちゃん別に隠すようなところないじゃん」


「……そういう問題じゃないんだよ」


ため息をつきながら、俺は制服とカッターシャツを脱ぐ。そのとき、俺は正しく油断していた。


「隙ありっ!!」


突然両胸をガッと掴まれ揉みしだかれる。めちゃくちゃな手の動きに合わせて胸が形を変える様子が俺には見えた。


「ひやぁぁぁぁぁあっ!!?」


……しかも感じた。というか、本当に胸を触られて変な気分になるんだな。


「いひひ、感度良好だね。最近の麗亜ちゃんはたまに油断することが多いから掴みやすい」


「ま、増本さん……っ!? 何を……」


そう言うと、姉のクラスメイトである増本(ますもと) 智慧(ちえ)さんは人差し指をブラの中に入れて敏感な部分をコリコリと弄ってきた。


「あんっあっ……んっ……」


「も〜まーちゃんやめたげなよー」


「悪い悪い。……でも麗亜ちゃんは胸大きいんだから体育のある日はスポブラにした方がいいよ?」


…………

……


実際体育を始めてその意味を理解した。


走るたびに胸が弾んで痛いし、ジャンプとかも大きくできない。


姉貴が運動不足なのも理解できるかもしれないな……。


「も、もう無理……」


「えーっ? いっちゃんそんなに動いてないじゃん」


「そ、そうは言っても……」


今度からはスポブラにしよう……。


*****


一週間経った、ようやく俺の体に戻れる。

この一週間、体育の他にもカラオケや銭湯など様々なことがあったけど思い出したくないので割愛させてもらおう。


「あーあ、私の体に戻っちゃった」


「良かったじゃん。何で嫌がるんだよ」


「そうは言ってもねぇ……楽しかったから?」


「……こっちとは正反対だな」


俺はため息をついて朝食を作る。


「そもそも体の大きさ違うのに、歩くのも大変なんだからな」


「あー、それはあった」


「ならなんで……」


「うーん、相馬の気持ちがよくわかるからかな」


「……」


それは俺も痛いほど思った。

姉貴が普段どんな学校生活を送っているかどうかなども含めて女の子の気持ちがどんなものかを理解出来たと思う。


「……それに中学生男子に囲まれるという」


「台無しだ」


*****


学園に着くと俺と姉貴は間違えないように気をつけて自分自身のクラスに向かった。


相変わらず何気無く自分の席で伸びる……あー俺の体ー。


「五木くんおはよう」


「おはよ、真凪さん」


俺は体を戻すと挨拶を返した。


「ほっ……今日は五木くんだ……」


「?」


「あっ、ううん! なんでもないよ」


「……ならいいんだけどね」


あと後日知ったことだが、どうやら姉貴は俺の姿のときに姉貴(じぶん)のことをべた褒めしていたらしい。


どうせ今週が終わればまた地獄の一週間だ。


もう変なことが起こりませんように。

ということで今回はキャラ重視しました。

他のキャラクターは

・五木 麗亜(弟姉系女子)

・真凪 都華咲

・増本 智慧

です。キャラ付けよろ。


また、麗亜目線は候補が無ければ書きます。

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