8.迷い
「野宮さん、ごめんなさい。実は私…」
僕を知るきっかけを作ったノミヤさんに、僕と恋人同士であることを謝るトウカ。
「え~~っ?!」と驚くノミヤさん。
焦るトウカ。
「ごめんなさい…私はいつも誰かの大切な人を奪ってしまう……」
「……桃花ちゃんも杉くんのこと好きなんでしょ?両思いなんでしょ?…だったらなんで謝るのよ~」
笑うノミヤさん。
「好きな人の幸せは私の幸せ。ずっと仲良くね!」
「野宮さん…」
*
「燦香、真子と杉くん付き合ってるらしいぞ」
「え…」
「さっき香菜から聞いた。真子が雪と話してるのを聞いたらしい」
「燦香ちゃんの方が可愛いのに…ありえないですぅ」
「…ちょっと行ってくるわ」
「あ、真帆ちゃん…どこに…」
「……あたし真子さんのことよく知らないけど、勝手に嫌いになるのはやめる。あの杉くんが選んだ人だもん」
「燦香ちゃん……」
「? どうしたの真帆、そんな顔して」
廊下を早足で歩くマホをカナが呼び止める。
「ちょうど良かった香菜。真子潰したくてよ」
「杉くんがいるから、もう何しても挫けないんじゃない?」
「あぁ、そうか…くっそ~…」
「いっそ、あいつに杉くんに関するデマでも教える?」
「…それ超いい」
*
廊下を通りかかったトウカを2人が呼び止める。
身構えるトウカについた嘘、それは僕がほんとはよく笑うということ。
そんなわけないのに。
「だからさ、お前はよく笑うけどよ、杉くんほんとはお前といても大して楽しくないんじゃねぇの?」
「あはっ、それありえる~!杉くん優しいもんねぇ。あんたいつも1人だから同情してくれてんのかもよ~?」
終始黙り込むトウカ。
すっかり信じ込んでしまったようだ…。