6.疑惑
《やっぱり杉くんも、みんなと同じだったんだ。
私のこと、からかってたんだ。
そうだよね、
みんなの憧れの的が私なんかに優しく…
そうだ、私は騙されたんだ。
杉くんなら…仲良しになれると思ったのに…
私は裏切られたんだ、酷いよ。
杉くん…》
トウカの悲痛な思いが聞こえる。
ああ、何をやっているんだ僕は。
早く誤解を解いてくれ。
その頃僕は、呼び出していたらしいシバオカさんに会いに、階段の踊り場にいた。
シバオカさんはもう来ていた。
「ごめんね。遅くなって」
「ううん、そんなに待ってないよ」
いつもの明るい笑顔。
少し間を置いて、僕は話し出す。
「もう1つに君に謝らなければいけないことがあるんだ」
「君の好きと僕の好きは意味が違ったみたい」
「…え、それって…!」
シバオカさんの表情が曇る。
「…付き合うってことは…できない…です…ごめんなさい」
こちらに背を向け、彼女の顔が見えなくなった。
「芝岡さんの素直で表情豊かなところが好きなのは嘘じゃないよ。僕とは正反対で…。でも、恋愛感情かと問われると…」
「…もういいよ、ありがとう杉くん」
再びこちらを向くシバオカさん。
「…でも、あたしが杉くんのこと好きなのは変わらないよ!恋愛感情かどうかはヒミツ!」
「…ありがとう…」
「ううん、こちらこそ。あたし、フラれたのに杉くんのこともっと好きになっちゃった…おかしいね!」
「……」
「正直に言ってくれてありがとう!これからも仲良くしてね!ばいばい!」
足早に去るシバオカさん。
普段明るい彼女が、無理をしているのは一目瞭然だった。
ごめんなさい。
これも全て、僕が自分の感情を上手く表現できないせいだ。