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夏の日  作者: しお
6/13

5.騒音

シバオカさんの取り巻きの中でも、口の悪いロングスカートの女の子が焦りながらやって来る。


「おい燦香!杉くん、真子といたぞ!?」

「え……」

「やだぁ真帆ちゃん焦っちゃって~。杉くんは元々女子に人気あるんだから、話しかけられることくらいありますぅ」

「そ、そうだよ…私、杉くんが女子と話してるくらいで怒んないよ…きっと大丈夫…」

「でも相手は真子だぞ?燦香たち知らねぇのか?2年のときのバレンタインで真子がみんなの男奪いやがったって話」

「え…」


何かに失敗すると誰かのせいにしたくなる。

自分の非を認めたくなくて、罪の擦り付け合い。

無垢なトウカは、ただの被害者。

綺麗で優しい子だからみんなに妬まれているだけ。

排気ガスだらけの都会では、花は美しいまま生きていくことができない。

花が長生きするには、どうすればいい?

僕には花の知識なんてない。


*


すっかり、トウカと屋上でお弁当を食べるのが日課になっていた。


シバオカさんたちのことなんか知らずに。


「最近あの2人毎日一緒にいるぞ、大丈夫なわけないだろ燦香」

「……」


見覚えのある女の子がシバオカさんに近付いてくる。

「真子まじ八方美人だから気を付けて。あたしもあいつのせいで狙ってた男取られて最悪。今に杉くん取られちゃうよ」

カナだった。

仲良しだったトウカに嫌がらせをするようになったその子は、心なしか以前より前髪が伸びた気がする。


「…そんなにみんな被害にあってるの…?」


シバオカさんが怯えたような表情をする。

「……あたし…真子さんって…どんな人かよく知らないけど…きっと酷いことする人なのね……」

「…だ 大丈夫よ燦香…。杉くんも燦香のこと好きって言ったんでしょ…ね?…」


「くそ…真子のヤツ、燦香を泣かせやがって…絶対許さねぇ…!」

口の悪いマホという名の取り巻きは、歯を食い縛って言った。

*


「桃花ぁ~」

大袈裟なくらい嫌味な口調でカナがトウカに近付く。

まるで嫌がらせの張本人は、自分ではないと言うかのように。

「何…」

身構えるトウカ。

「あんた最近杉くんと仲良いんだって~?」

「…まぁ」


「お前あたしらの次は燦香に恥かかせる気?」

カナの口調が急に鋭くなる。

「え…?芝岡さん…?」

「知らねぇのかよ。燦香と杉くん付き合ってんだよ」

「え……」


タイミングの悪いことに、そこに僕がやって来てしまう。


「マナゴさん」と声を掛けようとして、カナのわざとらしい声に遮られる。

「あ!杉く~ん!燦香が探してたよぉ~?」

「燦…?あぁ芝岡さん?ちょうど僕もあの子に用があって呼び出しを…」

「ほんと?早く行ってあげてぇ~!」


再びトウカとカナだけになる放課後の廊下。

「これでわかったろ?2人は付き合ってんだから、これ以上邪魔すんじゃねぇよ」


冷たく言い放ち、1人になる廊下。



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