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夏の日  作者: しお
10/13

9.確信



*


《言われてみればその通りだった。

何日経っても、××は笑ってくれない。

いつも淡々としてる。

やっぱり楽しくないのかな。

私は…すごく楽しいよ。

だけど…××は……

私といても……》


2人で帰る、涼しげな夕方の帰り道。

あ、制服移行期間なのか。

トウカのセーラー服が半袖になったけど、僕はまだ学ランだ。


「でね、その後…」

「ねぇ××。どうして笑ってくれないの?やっぱり私といてもつまらない?」


突然僕の話を遮るトウカ。


「え……何?どうしたの」


何も知らない僕。


「香菜たちから聞いた。××が笑ってくれないのは私といてもつまらないからだって」


「そんなことないよ。僕普段から全く笑わないから」

「どうして?」

「…笑わないっていうか、笑えない…みたいな」

「? 楽しくないから?」

「いや…楽しいけど…」


「?…変なこと言ってごめんね。今日はもう駅まで送ってくれなくていいよ。ちょっと1人になりたいの。ごめんなさい…またね、ばいばい」

「?…そ…ばいばい」


《私じゃダメなのかな。

私じゃ、××を笑顔にすることができないのかな。


××に笑ってもらいたい。

私が××を笑顔にしたい。

だって、××のお陰で私は笑顔を取り戻せたんだもん。

でも……私じゃ…

そんなの…嫌…!》


「……え……?…」


涼しげなセーラー服が血で染まる。


崩れ落ちるトウカ。


《なに……これ…

血…?なんで………

…誰…?笑ってる……


あ……通り魔…?

そうか……私…


あぁ……初めて会ったあの日…「最近物騒だから気を付けて」って…××言ってくれたのに…

近所でよく目撃されてたの…知ってたけど…自分には関係ない…なんて思ってたよ…


はは…大事な人を幸せにできず…挙句、こんな死に方するなんて…こんな惨めな私なら…××は笑ってくれるのかな…



あーあ……見たかったな…悠也の笑顔》


*


思い出した……全て…


…僕は…杉悠也は…

あの後しばらくしてから…真子桃花が牧村香菜たちに騙されていたことに気付いて…彼女を追いかけた…。


でも…

彼女がいつも通る人気のないあの道で…

血まみれで…倒れてた。


なぜか涙は出なくて…

状況が理解できなくて…

血が付くのを気にとめずに、ただただ、か細い彼女を抱きしめていた。



そういうことだったのか。


彼女の行動、想い。


僕は全然わかっていなかった。


大切にしてるつもりでいたんだ。


守りたいとか言って…

結局彼女を傷付けていたのは僕だ。


ごめん。



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