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俺が正義でお前が悪で  作者: あらた
8/22

第8頁 魔王様の休日①

真央さまスペシャル第三段!?

奏人はまたまたジョブチェンジをし、おかあさんに転職しました。



あれからいくつか部活を廻ったがこれといって真央に見合うものが見つからず。


と言うか、騒ぎ散らすだけ散らし、どれも真央が魔王の力を発揮するだけに終わった。


そして、初の休日を迎えた。


「奏人〜」

清々しい日差しの射す気持ちのいい朝。

奏人は母親に起こされた。

「ん…なに!?」

「ちょっとお願いがあるんだけど、真央くんに!!」


「…直接起こせよ〜」


電波を浴び続け、日々の疲れがハンパない奏人は休日くらいゆっくりさせてほしかったのだが、どうしてもと強くお願いされ、渋々真央の部屋に向かった。


母は下で朝食と土曜の出勤の準備があるため奏人に頼んだようだ。


軽くノックするが返事はない。


ノブを回し開けようとしたが、何故か気が引けたのでそっと中を覗き込んだ。


「!!」


バタン!


「見、見てしまった…そうだよな…そうだよな…」


その中の情景に奏人の心臓は飛び出そうだった。

なにかを納得しようとして懸命に自分に言い聞かせる。

だが、その手はまたドアを開けた。


バタン!


「ななななんで、万里が!」

また開きかけたドアを閉め心臓に手を当てる。

ドキドキが止まらなかった。


「いやいや、ここは俺の家だ。そんな不埒なこと許してはいけない!よし!」

奏人は何度も深呼吸をする。


ガチャッ


「キャーッ!!」

叫んだのは奏人だった。


目の前に万里が怪しむような目付きで立っていたのだ。


「なによ…」

「なによじゃない!何でここにいるんだ!!」


「は?」

「な、何で真央の部屋に万里がいるんだ!!」


「なに興奮してるの?」

奏人の慌てっぷりに万里がニヤニヤしながら奏人のおでこをつついた。


「私は魔王様に添い寝してさしあげてただけ」


「添い寝〜!?」


奏人の顔面が真っ赤になる。

やはりこの二人はそういう関係だったのか。

なんだか、頭の中がふわふわしてきた。


「誰が、添い寝してたって?」


「だから、私が魔王様に…あ、魔王様!」


ベッドから起き上がり冷たい視線を万里に送る真央。


「貴様…勝手に入るなと言ったはずだが…?」


そう言うと着ていた服がはだけていることに気づき、無言で直す。


「…俺に触れるとはいい度胸だ…」

「まだなにもしてません!」

「うるさい!そんなことはその鼻血を拭いてから言え!!と、言うか『まだ』とはなんだ!!」

「申し訳ございません!」


真央の剣幕に万里は逃げるように部屋を去っていった。


「え、じゃあ別に何も無い感じ!?安心していい!?」

何故か涙目の奏人が涙を拭きながら真央に訊ねる。


「というかメガネ、お前も何をしている…」


怒りが治まらない真央のキツい視線が奏人を凍らせた。

「チッ、あの女いつかハエにしてやる…」


そう言いながら、また、布団をかぶり眠りにつこうとする。


「ちょっと待てって!!」

奏人の声もむなしく真央は眠りについたようだった。


「寝起き悪すぎだろ…おい、起きてくれぇ」

先程の恐ろしい形相とは程遠く、すやすやと眠るかわいい寝顔に、奏人は起こすのをためらった。


「こいつも疲れてるのかな…」


今まで暮らしてきた世界から全く未知の世界にやってきて、いきなり学校だ部活だとあれだけ騒いだのだ。

疲れないわけがない。

だが、真央は疲れただのと言ったことはない。


世界が変わるってそんなに楽しいことなのか?


母親にはうまいこといってもう少し寝させてあげようと、静かに部屋を出ようとした時。


「俺は魔王になどなりたくない…」

真央が呟いた。


「え!?」

振り返るとそれは寝言で、真央はまだ眠っていた。


奏人は起こさないように部屋を出た。

「あれ?」

そこには万里が立っていた。

「まだ寝てるよ」

「お疲れなのね…」

「いつもああなのか?」

「まあね」

いつもあんなに寝起きの悪い真央を万里は起こしているのだ。

「なんか寝言を言ってたぞ。魔王になどなりたくないとか…」

「…そうね」

万里はすべてわかっていて真央に付き従っている。

実は万里が一番大人なんじゃないかと奏人は思った。


母には素直に、真央は疲れているようだからあと30分寝させてあげたいと告げ、朝食を我慢し、両親と万里と奏人で何でもない会話をする。

万里は本当に真央のことを想っている様だ…

出てくる話の内容はほとんど真央のことだった。


「さて、行くか」

真央を起こしに奏人が立ち上がる。

万里は付いてこないようだった。


「おーい!朝食できたぞ」


そう言いながら、ドアを開け中に入った。


「あぁ、おはよう」


朝日に照らされたきれいな顔に柔らかい笑顔が返ってきた。

学園の白いシャツに、ネクタイを結ぶ姿はまるで、別の世界の王子さまとかそういった爽やかな類いを連想させる。


「て、何で制服?」

「行かないのか?」

「今日は土曜だから休みだけど…」

「土曜は休み?」

「そ、この世界は一週間といって、7日の周期で回ってて、月、火、水、木、金の五日間は平日で僕ら学生は学校。土曜、日曜は基本的に休日で学校はお休みなんだよ」

「今日が土曜で、明日が日曜…では、休日俺は一体なにをすればいいのだ…」

先ほどの機嫌の悪い真央と違い、眉を寄せ困惑の表情を見せるいつもの真央に、奏人は安心した。


「とりあえず、朝御飯を食べようぜ!!母さんがなにか用事があるみたいだから今日はその用事をこなせばいい」

「母上が?日頃の恩を返さねばな。では、学生服は着ないでいいのか…」


学校がよほどお気に入りなのだろう。

制服にまで愛着がわいているようだ。

真央は渋々着替えを始めた。


「おはようございます」

「おはよう」

「おぉ!!起きたか寝坊助」

「真央さまおはようございます」

「ああ、おはよう」

真央が静かに席につき朝食が始まった。


「ねぇ、真央くん、今日はお暇?お願いがあるの!!」

母がさりげなく話を切り出す。

「なんでしょうか。今日の俺は母上のためにあります」

そんな恥ずかしい台詞真央にしか言えないな。と奏人は味噌汁を吹き出しそうになりながら思った。


「あら、言うわね!じゃあ、付き合ってもらおうかしら。奏人、万里ちゃんもお暇なら一緒にどう?」

母が嬉しそうに笑った。


「どこに付き合わせる気?」

「ひみつ〜」


朝食を済ませると、母の見立てた服を着た真央と万里、いつも通りの奏人、スーツを着こなし出勤スタイルの母の4人は家を出た。


街中を制服以外で歩く真央と万里はスタイルもよく、輝いて見えた。

歩く人が必ず振り向くのだ。


しばらく歩くと倉庫のような建物の中に入った。


「え?ここって…」

「私の携わってるファッション雑誌の撮影スタジオよ。今、専任カメラマン呼んでくるから」


撮影スタッフらしき人が何人も世話しなく動き回っているところに取り残された3人はただ呆然と立ち尽くした。


「なんだこの異様な空間は…」

「なんだか怖いですわ…魔王様、お気をつけください」

「いやいや、大丈夫だろう」

奏人は母がなぜ呼んだのか大体察しがついた。


「はい、こっち向いて!」


「?」


パシャ


突然の事に驚きながら、三人はフラッシュを浴びる。


「貴様…なんだその武器は!」

真央が構えた。

すぐに奏人がその腕を抑える。

「あれは、カメラといって写真を撮る機械だよ。体に害は全くないよ」

「…そうなのか?」


「う〜ん驚きの顔もなかなか様になってるわね!!合格。さすが姉さんが連れてくるだけあるわ」


「あ、ミナミさん!?」

「久しぶり、奏人くん」

どでかい一眼レフを構えた女性は奏人の母の妹でフリーカメラマンをしている、一条ミナミだった。


「急遽モデルさんが倒れちゃって、慌てて探したんだけど、うちにいいのがいたのよ〜」

母の奏がミナミの横に立ち腰に手を当てる。


「やっぱりね…」

奏人は納得の表情を浮かべた。


「おい、メガネ、なんのことだかわかるように説明してくれ」

と、全く状況がわからない真央に、奏人は何から説明すべきか困り果てる。

とりあえず、その辺にあった雑誌を開き、雑誌について、モデルについて、撮影について…等をわかる範囲で一通り説明してみた。



「つまり、今から俺がそのキャメラとやらに写真を撮られて撮られた写真が雑誌とやらに載ると…」

「そ、流石飲み込み早いな。うちの学校はその辺厳しくないし、やってみたら?」

「そうか…奏人が言うのなら…」


学校生活以外で楽しいことを見つけてくれるといい。奏人は素直にそう感じた。


次回は真央さまがいよいよキャメラの前に立つ!!


そして、奏人はおかあさんからまたまたジョブチェンジ!

このネタしつこすぎますね<(_ _;)>反省


ありがとうございました!

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