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俺が正義でお前が悪で  作者: あらた
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第6頁 転校生来る②

忘れてた訳じゃないですよ〜

アイツはちゃんといますよ〜( 」´0`)」


登校一日目。完結。


なんとか無事に授業を終えて、放課後になる。


帰り支度をして、結衣を迎えに行こうと立ち上がると、隣の席でじっと座っていた真央が口を開いた。

「そうあせるな…」

「は?」


「敵さんを待たせるくらいがちょうどいい」

「はぁ?」


「…作戦でも練っておくか」

真央は腕を組ながら真面目な表情で奏人を見た。

「ちょっと待てって!さっきからなに言ってんの?」

「なにってこれだ!」

やれやれと言うように困った顔を向けながら、紙切れをつまんで奏人の顔の前に出す。


「放課後、校舎裏で待ってます。皆野由紗…?皆野?聞いたことないな…一年かな!?」


「下克上ね」


「マリー!?」


突然万里が現れ、反射的にマリーと呼んでしまい慌てて口を塞いだ。


真央や、万里の名前は、三人と結衣で、この世界では名前が必要だろうと、編み出したのだが、この二人は全く使う気配もない。

奏人もまだ口に馴染んではいないのだが。


「応援に来ましたわ!」

万里が期待に瞳を輝かせながら真央の前に立つ。

「必要ないだろ…」

「バカね!!援護をするのがあたしの仕事!!」


完全に万里は勘違いしている。

踏み込んでいい領域なのか?奏人は首をかしげた。


「お前は俺が一年に負けると思っているのか…」

真央が静かに口を開いた。

「そ、そんなこと!」

「ではなんの応援だ!お前になど応援されても勝敗は決まらない。わかったら早くこれを持って帰れ!」


そして、空の重箱が入った包みを万里に渡した。


「うぅ…」

「さあ、ゆけ」

「はい〜っ」


真央はうまい具合に万里の攻撃を交わす。

しかし、魔王とはいい身分だ。


「おい、真央!そんな言い方はないんじゃないか?」「いや、女はいない方がいい。あいつが傷つく方が辛いだろ」


「えっ」

「間違っているか?」

「いや…」


真央は決闘だ勝敗だと言いながら、実はこれから何が待ち受けているのかわかっているんじゃないだろうか…そんな疑惑が頭を駆けた。


「さて、行くか…」

「あぁ…はい」

二人は鞄を持ち教室を出る。

途中、結衣のクラスを覗いたが、すでにその姿はなかった。

奏人は諦めて興味本意もあったが、真央について行くことにした。



「じゃあ、僕はこの辺から…」

「?」

昇降口を抜け、校舎の裏へ抜ける通路の途中で奏人は見つからないような茂みに隠れた。

相手だって二人で来たら警戒してしまう。

気を利かせたつもりだった。


「そうだな…メガネは隠れていた方がいい。そのメガネに攻撃を受けたら大変だ!」

「だからーメガネじゃねーし!攻撃受けたくらいじゃ本体は大丈夫だから!!」


「そうなのか?いや、そうでもないようだぞ…なんだか、異様な気配を感じる…」

「え?」

人通りの全くない校舎裏の大きな木の影に、人が立っているのが見えた。


目を凝らし影になっているそのシルエットを見る。

手に何か持っているようだ。


「待たせたな…」

真央は迷うことなく真っ直ぐ歩き出し、その影に近づき声を掛けた。


こちらを向く。


「てめぇ…」


そこに居たのは、魔王を追いかけ次元を越えてやってきた、勇者だった。


奏人は魔王がやって来た一騒動の中に確かに勇者の姿があったことを思い出した。


だが、剣は木刀に変わり、学園の制服を着ている。

どう言うことだか、混乱する。


勇者は怒りの表情で手に持った木刀を真央に向かって振りかざした。

真央は間一髪で、後ろに飛び退きそのまま刃は地面に突き刺さる。


「…」

「ここで決着をつけてやる!!」


「いや、ちょっと待て」

「あぁ!?」

真央が手を前にだし、勇者を引き留める。


「人違いだ」

「はぁ!?」

「俺はここで皆野由紗なる人物と待ち合わせをしている。ていうか、お前は誰だ?」


「…」

奏人も勇者も言葉を失う。


「う〜ん、どこかで会った気がするんだが…」

「お、俺様の顔を忘れるとはいい度胸じゃねーか…」


何となく勇者が魔王を退治したくなる理由がわかったが、今はそれよりなぜ勇者がここにいるのかわからなかった。

しかも待ち合わせの人物も見つからない。

と、いうことは…奏人の頭の中で話が繋がってきた。


「ふん、お前!メガネがどうなってもいいのか?」


突然、勇者が奏人の方を見る。


気づかれていた。


その辺りは流石に人よりは飛び抜けているようだ。


「?」

そして奏人はいつの間にか後ろにいた人物に、肩を軽く叩かれる。


振り向くと勇者と一緒にこの世界に来た女がにっこり微笑んで立っていた。


「人質です」


訳もわからず腕を捕まれ茂みから連れ出された奏人を見て、真央は口許を引き上げた。


「…卑怯な奴だな…」

「貴様に勝ちさえすりゃいいんだよ!!」


「ふん。どっちのメガネが、どうなってもいいって?」

確かに、両者ともメガネではあるが、余裕の表情を向ける真央に勝機がある様に思える。


「あいつはメガネは壊れても本体は平気だそうな…」


「なっ!!」

「!!」


勇者と女は目を見開いて奏人を見つめた。

「そこ、驚くところ!?てか、あなたも驚いちゃうの!?」


「コホン、『あなた』ではありません。私はここでは丸々と言います。あなたのメガネ、すごいですわね…」

丸々は近くでまじまじと奏人を見つめる。

その顔はよく見ると整っていて、メガネの奥の瞳は大きく魅力的だった。


「え、それ普通のメガネじゃないの?」

「いいえ、これが破壊されると…」


「破壊されると!?」


ボンッ


突然丸々のメガネが爆発した。

軽い爆発であったが、奏人と丸々の距離が開く。


真央が何かしら攻撃したようだ。

指をこちらへ向けて立っている。

それはメガネだけを狙ったものだった。


「あああああっ!」

丸々が声をあげ顔を押さえるが、傷はできていない。


「丸々は心に100のダメージを受けた」

「心にかい!!」


「メ、メガネは…高い…」丸々は地面に倒れる。


「なんでだぁ〜」


「貴様、よくも俺様の仲間のメガネを!!許さね〜」


勇者の周りに真っ赤な気が揺らめいた。


「お前、もしかして…」


真央が、やっと勇者のことを思い出したように手を叩いた。


「俺のここでの名前は皆野由紗!みなの勇者様だ!!」


「やっぱり決闘の申し込みだったんかい!!」


「き、期待などしておらんが、騙された気分だ…」


「期待してたんだ…」

「何の期待だ!!」


「魔王は心に50のダメージを受けた…」

「丸々さん、しつこい…」


「そうか、お前、あのときの警察とやらに逮捕されていった…」

「その記憶?」


「そうだ。あのあと、俺様は警察官である皆野泰三に引き取られ、学校っつーとこで、で更正っつー事をしろと連れてこられた!そしたら、何やら人気のあるやつが来たと噂になるが、何で貴様だ〜!!お前、魔王だろうが!!」


「人気?わからん…わからんが変なしがらみにとりつかれたお前なんかよりは、魔王であってもこの世界を知ろうとする俺の方が人望が厚いらしいな」


真央が、勝ち誇った顔を向ける。


「し、しがらみ…?」

「勇者様!?」


勇者が木刀を下ろした。


「この世界は悪くない。なにしろ…」


「あれ?かなとくん?」

「結衣ちゃん!?」

そこに、結衣が紙袋を片手に現れたのだ。


「真央くん、頼まれてたもの」


結衣は真央の前に袋を差し出し、受け取った真央は中身を開けた。


「こーんなにうまいものが!!」

中からメロンパンを取り出し勇者に投げる。

それは口のなかにヒットした。

「うぐっ!!」

「どうだ!!」


「甘ったる…」


チュゴーン!!



「この味が解らぬものは去るがよい!!」


「てめぇ…」

ピピピッ

「はっ!!」

突然、由紗の持つ携帯のアラームが鳴った。


「わりぃ、バイトの時間だ!!」

そう言うとものすごいスピードで丸々を抱えた勇者は消えていった。


「バイトって…ある意味一番現実味があるんじゃないか?」


奏人は結衣を見ると、結衣はキョトンとした顔で立っていた。


「結衣、ありがとう」


そう言って真央はメロンパンをかじった。


「もしかして、昼のお願い事って…」

「ああ、こいつをお願いしに行ったのだ」


「なんか、切実な顔だったから断れなくて…」


「オレに言え〜!」



そう言って、奏人は結衣の手をつかんでその場を後にしたのだった。

苦学生と化した勇者様(T_T)がんばれ!


メガネの本体は経験値を大量に得て、次のレベルまであと少しです!!


一読いただきましてありがとうございました!


完結って、話はまだまだ続きます(o^-')b

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