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第8話:ネクサスの刺客


放課後の校庭に、不自然なほどの静寂が訪れる。

空がひび割れたようなノイズに覆われ、そこから一人の「騎士」が降り立った。

これまでの怪人のような歪さはなく、洗練された漆黒の装甲。その胸部には、あのマイクロチップと同じ「ネクサス」の紋章が刻印されている。

「……お前が、美咲たちをあんな目にした連中の仲間か」

小太郎の全身から、抑えきれない怒りの熱気が立ち上る。

「赤間、落ち着け! こいつ、今までの奴らとは出力の桁が違うぞ!」

駒の警告を無視し、小太郎は走り出す。

「関係ねえッ! ……変身ッ!!」

走りながら放つ、憤怒のライブ変身。

踏み込む衝撃で右足の装甲が爆発的に組み上がり、小太郎は赤い閃光となって刺客に飛びかかった。

だが、漆黒の騎士は微動だにせず、小太郎の渾身の回し蹴りを片手で受け止めた。

「適合率、不十分。……排除を開始する」

合成された電子音声とともに、騎士の腕から高周波のブレードが展開される。

「くっ……! りん、駒先輩!」

「分かってる! ……変身!」

駒が将棋の駒をスロットインし、りんが刀を引き抜く。

黒、黄の装甲が瞬時に展開され、3人の戦士が校庭に揃い踏む。シリーズ初の、**「フルメンバーによる集団戦」**だ。

「りん、左から崩せ! 駒先輩は援護を!」

「了解!」

「よし、チェックメイトまで追い込んでやる!」

りんが電光石火の速度で背後に回り、閃光の連撃を浴びせる。その隙を突き、駒が空中に展開したデジタルな将棋盤で、重力負荷をかけて敵の動きを封じる。

「これで……最後だぁぁぁ!」

小太郎が「真の機能」の一端――右足の過給機を限界まで回転させ、赤熱化したブーツでドロップキックを叩き込む。

ドォォォォォォォォン!!

爆辞が校舎を揺らす。

だが、煙の中から現れた騎士は、装甲の一部が損壊しながらも、依然として無機質な威圧感を放っていた。

「……データ収集、完了。ネクサスは、君たちの『英雄ごっこ』を歓迎する」

騎士の身体がノイズへと溶けていく。

「待ちやがれ! まだ終わってねえぞ!」

小太郎の叫びも虚しく、敵は嘲笑のような電子音を残して消滅した。

その戦いの一部始終を、屋上から見ていたのは神野浩介だった。

「……組織が動き出したか。次は、学園そのものが戦場になるぞ」

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