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第5話:城ヶ崎校長の告白

地下基地「キャッスル・ラボ」。

モニターの冷たい光だけが照らす部屋で、城ヶ崎校長は静かに、自らの義足――かつて「英雄」だった頃の代償を見つめていた。

「……小太郎。佐藤くんのことは、私の責任だ」

部屋に入ってきた小太郎は、力なく首を振る。その手にはまだ、佐藤の黒帯が握りしめられていた。

「校長、教えてくれ。なんで佐藤はあんな姿になったんだ。なんで、神野はあいつを『駆除』なんて言ったんだよ……!」

校長は深く椅子に沈み込み、震える指で古い記録映像を再生した。そこには、今の小太郎たちよりも無骨で、どこか不完全なスーツを纏って戦う若き日の校長の姿があった。

「15年前、私は異次元エネルギーの制御実験に失敗した。その時、次元の裂け目から漏れ出した『ノイズ』は、この学園の土地そのものに染み付いてしまったんだ」

校長の言葉が、地下室に重く響く。

「ノイズは人々の心の隙間や、強い感情に反応して増殖する。佐藤くんの空手への熱意が、皮肉にもノイズを呼び寄せる触媒になってしまった……。そして、一度完全に怪人化した魂は、現在の科学では二度と元には戻せない」

「そんな……。じゃあ、これからもあんな風に、誰かが消えていくのを黙って見てろって言うのか!?」

「……だからこそ、神野くんは『駆除』という言葉を使った。放置すれば汚染は連鎖し、学園全体が異次元に飲み込まれる。彼は、その地獄を私よりも早く理解しているのだよ」

校長は立ち上がり、杖を突いて小太郎の前に立った。その瞳には、隠しきれない後悔と、ある決意が宿っていた。

「小太郎、このスーツには、私が現役時代に隠蔽した『真の機能』がある。だが、それを使えば君の肉体もただでは済まないだろう。……それでも、君はまだ戦うか?」

小太郎は、手の中の黒帯を強く握りしめた。

佐藤の最後の「ありがとう」という声が耳の奥でリフレインする。

「……やるよ。あいつみたいな奴を、もう二度と出したくない。例え俺が、人間じゃなくなってもだ」

その決意を嘲笑うかのように、モニターに新たな警告アラートが鳴り響く。

【ALERT:汚染反応、女子更衣室付近に発生】

「次が……来たか」

悲しみを感じる暇さえ与えない、非情な英雄の連戦が始まろうとしていた。

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