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第4話:銀色の執行者と空席の教室
空手道場。怪人化した親友・佐藤を前に、小太郎は戦うことができない。非情な一撃を浴び、壁に叩きつけられる小太郎の前に現れたのは、隣のクラスの神野浩介だった。
「見せてやる。……『救えない』現実を終わらせる力を」
神野がデバイスを起動すると、歩を進めるごとに銀の装甲が身体を侵食するように覆っていく。一歩、二歩、三歩――。無駄のない動作の中で「ライブ変身」を完了させたシルバーは、躊躇なくプラズマ刃を振り下ろした。
「殺すな!」という小太郎の叫びも虚しく、刃は佐藤のコアを貫く。消滅の瞬間、佐藤の顔に浮かんだのは安らかな微笑と「ありがとう」の言葉。後に残されたのは、佐藤が大切にしていたボロボロの黒帯だけだった。
神野は呆然とする小太郎を冷たく突き放す。
「これが『英雄』の仕事だ。嫌なら、そのデバイスを捨てろ」
――翌朝。
教室には、佐藤の「消滅」など誰も知らない、残酷なほど平凡な日常が広がっていた。
「佐藤、今日連絡なしで休みなんだよ」と笑いかける友人たち。佐藤の机に残された、角の折れた教科書。
「あいつの家には、……行く必要なんて、ないんだ……!」
真実を言えず、叫ぶことしかできない小太郎。消えた友人を「葬る」ことすら許されない不条理な戦いの幕開けに、小太郎はただ拳を握りしめるしかなかった。




