第2話:静かに歪む日常
激闘の翌々日。
小太郎たちは校長から「次の襲撃に備えろ」と厳命されつつも、表向きは普通の高校生として授業を受けていた。
昼休み。小太郎のクラスの友人であり、空手部の同期でもある佐藤が、パンを片手に小太郎の席にやってくる。
「なぁ小太郎、昨日からなんか肩が重いんだよ。お前とのスパーリングで痛めたかな?」
「えっ、マジか? 悪い、今度マッサージおごるよ」
笑い合う二人。しかし、小太郎は気づかない。
佐藤が去り際に、無意識に自分の首筋を「バリバリ」と、皮が剥けるほど強く掻きむしったことに。その指先には、一瞬だけ黒いデジタルノイズのような火花が走っていた。
一方、将棋部室では、ブラックこと黒田駒が後輩の対局を見ていた。
「駒先輩、今日の私、冴えてる気がするんです」
そう言って微笑む女子部員。だが、彼女が指した「歩」は、将棋盤を貫通するほどの異常な力で叩きつけられていた。
「……あなた、少し休みなさい。指が震えているわよ」
駒は冷静に指摘するが、その内心には冷たい汗が流れていた。
(校長が言っていた『次元汚染』……。まさか、生徒たちにまで影響が及んでいるの?)
放課後、剣道場。
イエローこと桐崎りんは、親友の美咲と着替えていた。
「ねえ、りん。最近、学校のチャイムが『叫び声』に聞こえる時がない?」
「え……? 疲れじゃないかな、美咲」
「そうかなぁ……。でも、なんだかすごく、体が軽いんだ。何でも斬れそうな気がしちゃう」
美咲が冗談めかして竹刀を振るう。
その風圧だけで、道場の床に、目に見えないほど細い、けれど確かな「斬痕」が刻まれた。




