限りある糧
※ここからはえげつない描写があります、苦手な方は読まない事をすすめます
バケツの中の水に、自分の顔が写り混む
昔は焦げた様な茶色で泥の様に黒ずんでいたのだが、今じゃこんなに白くなっている…白に近い灰色だ
青みがかった翡翠の瞳がある左目が見た顔の右半分は焼け潰れてその上を抉り裂いた大きな傷跡が頭部からヘソ近くまで縦に続いている、右目も右耳もこの傷を負う原因で欠損した
肌は白い…最後に晴れの日を見たのは、もう随分と何年の事だったか忘れてしまった
さてそろそろ食事にするか…血を流したせいで一日二食にしなければならなくなったが、久方ぶりに銃弾を生産するという収入源ができた祝いの贅沢でもするか
そうして立ち上がりテープをバケツから隣の台に置かれた小箱へしまい、そこから直径15㎝・長さ20㎝の金属缶を手に取る
サラサラと鳴る缶の開け口から何時も食べている乾燥した白い粒を落ちないよう傾けて口に流してゆっくりと食む、口の中が粘付きえずく様な酷い悪臭がする
吐き気に襲われるが無理にでも食わねば飢えて死ぬだけだ、雨水で喉に流し込み一息入れる
次は少し大きめの金属の箱から灰に埋めた食糧を掘って取り出す、中から焦げた肉が現れよく灰を落としてから指で千切り口に入れる
もう慣れてしまったが、背に腹はかえられない
今度はそれを一掴み千切りまた灰に埋め戻した後には、金属缶を手に背後にある横開きの金属棚の中の様子を確認する
中には白い粒達があの食糧と元々は繋がっていた焦げた肉の塊に群がっていた…黒い親もまた今日も元気に飛び回っている、その粒達を手に取って缶に入れていく作業に勤しむ
それが終われば寝るだけだ…無駄に動けば命に関わる
、椅子の様なモノに腰掛けて此処では貴重な大きめの布に身体をくるんで目を閉じたのだった……