塵山の隠れ家
…痛てぇ、アイツ等しこたま殴るわ蹴るわオマケで刺しやがって
肉に切り分けられなくて済んでいるのは不幸中の幸いだったが、あの傭兵の一人はそんなに顎に食らった裏拳が効いたのか?
だが臨時収入は手に入れた…流した血に見合わないものの金はカネだ、傭兵二人からくすねた財布と護身用のものだろう拳銃が一丁
弾は型さえ分かれば複製できるしそれが今後の収入源に成り得る上に、いざという時には頼みの綱にもなる
それでも台車を失った補填には全然足りて無いがと思いつつ目の前の巨大な機械の前までやって来た、メジャーで測ったところ高さは6mはあろう凄まじいデカさだ
これが、オレの住処になるモノだ
実のところオレに家を作る技能なんて無い、こういった入り込めそうな巨大な残骸の中に色々持ち込んで寝床兼作業場にしてる程度だ
此処にはこういう巨大な残骸が多くあり、そこで丁度いい具合の広さが有るモノの周辺を勝手に縄張りにしてる…そんなところだ
遠くに幾つか集まる形で点在してるのがオレの縄張りで、この残骸は良さげな商品をゴミ山の山頂から漁って売り払っている内に見付かった新しいモノだ
落ちないよう慎重に腕の様な部品を登り、身体を包むフード付きの襤褸からできるだけ付いた灰を叩いて落としそこにある穴へと乗り込む様に入り込む
中は元から暗いが外の光で少し薄暗い程度なもので焦げ臭さと錆び臭さは…まぁ気にしなければこれでもマシなものだ、襤褸を脱いで左側の上から下へ飛び出したささくれに引っ掛ける
右手側にある焼け焦げたバケツに溜まった雨水で手を洗ってから持ち手に掛けたボロ布で身体や頭の髪を入念に拭く、その後で横にある箱からテープを取り刺し傷のある脇腹に巻いた
こんな感じだが、オレみたいなヤツはこのご時世ではそう珍しくはない
小学生時代に大戦経験者のお方様と空爆経験者のお方様よりお聞かせ頂きました、当時の余裕が無い医療事情は相当だったそうです…