表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/109

92話 お食事会以前の大騒ぎ?



争いは回避できたうえ、一緒に食事を取ることが決まった。


こうなったら、和睦するのも難しくはない。

私はそんなふうに、順調な一本道を思い描いていたのだけれど、現実はそう簡単にはいかなかった。


「……なんでこうなるの」


数刻の時を経て夕刻、私たちは再び、獣化したウルフヒューマンらに包囲されていた。


変わったのは、その数と場所くらいだ。



中間地点の小屋付近で私たちを包囲していたのは、一部のウルフヒューマンだけだったらしく、集落の総勢は二十名ほどがいた。

その人数分、食事を用意しようと思うと、あの小屋の設備では足りなかった。


だからって、警戒されている以上、彼らの集落に入れてもらえるわけもない。


そこで、全員を引き連れて、麓まで降りてきてもらうことになったのだ。


風呂嫌いなのはギンだけで、他の方々は匂いなどもしなかったから、カーミラさんたちにも受け入れてもらえる。


そう思っていたのだが、逆にウルフヒューマンたちの方から、拒絶されていた。


族長さんを除いて、警戒心ありありだ。


「……なんでこうなるの?」


屋敷の正面玄関前、私が隣であぐらをかいてベンチに座るギンに聞けば、「知らね」とそっけない回答がある。


「普通は魔物を飼ってたりしねぇからじゃねぇの?」


……まぁたしかにそうかも。


トレントが周りを囲んでいて、かつ、キラちゃんがふよふよ飛んで、ミノトーロが牛舎で寝転ぶ環境は警戒してしかるべきかもしれない。


落ち着いてもらうにはどうしたものか。


そう思っていたら、牛舎のほうからひと際激しい唸り声が聞こえてくる。

どうやら数人のウルフヒューマンたちが獣化した状態で、ミノトーロ達に威嚇をしているらしい。


リカルドさんは、ヒョースさんとともにキッチンにいるから、この場にいない。

であれば、私が対応するしかなかった。

とにかく牛舎の前へと向かい、そこで大きく手を広げる。


「この子達は、悪さしませんから!」

「……そうなのですか」


勇気をもって大きな声でもってこう伝えると、獣化をといて引き下がってくれた。

それから、後ろを振り返れば、いつも搾乳をさせてもらっている雌牛のモモちゃんが「モウ……」と弱々しく鳴く。


たぶん、怯えてしまったのだろう。

レリーフ草を食べた彼らは、本当に穏やかな性格なのだ。

私はとりあえず彼女らの毛並みをブラッシングしてやり、その心を落ち着けてやる。


それから畑の方へと戻れば、今度は別のウルフヒューマンの方が、ラプラプ草の音罠を踏んで、驚き跳ね回っている。


「な、なんなんだ、これは!?」

「……はぁ。あなたたち、少しは落ち着きなさい」


それを対応しているカーミラさんの顔の険しいことといったら。

ちなみに、その隣でフィランさんは尻もちをついている。


もはや混沌としてきている……!


とにかく、このままにしていたら、喧嘩が勃発してしまうかもしれない。

私は慌てて牛舎を出て、彼女の元へと向かう。


そんなふうに忙しく対応しているうち、リカルドさんらの料理が完成していた。



【大告知】

発売から一週間がたちました~★!

そして、コミカライズ企画も進行中です。


WEB版に加筆を加えた部分もありますので、本屋でも電子でもできればお手に取っていただければ幸いです。


書影は、この画面の広告下に表示されておりますので、よろしければぜひ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大告知】
本作、2巻が発売されています!
MFブックス様からの2月下旬の発売となりますので、ぜひに✨!画像がMFブックス様へのリンクになっております。
322411000126_01.webp 【ついで告知】 新連載はじめました!
大変面白い作品になりましたので、併せてよろしくお願いいたします。
焼き捨てられた元王妃は、隣国王子に拾われて、幸せ薬師ライフを送る〜母国が崩壊? どうぞご勝手に。〜

― 新着の感想 ―
[良い点] そういえば、魔物だらけの屋敷でしたねwすっかり当たり前になってたから、異常な光景だと忘れてたwでもまあ、ようやく穏やかに食事会が始められそう?
[良い点] 妙にリアルなところ [一言] 異文化ですからねぇ もっと大変なこと(問答無用で家畜?に襲いかかる等)になっても仕方ないかな? とか思いました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ