4話 草むしりデイズのはじまり
そんなふうに夜が過ぎ、翌朝。
リカルドさんとともに屋敷の外へと出ると、彼は玄関先ですぐに立ち止まる。
目を点にして首を横に振り、広がる光景に驚いていた。
「本当に、草が一つも生えてきていない、だって……?」
「言いましたでしょう? 【庭いじり】スキルは、草むしりには最適ですから」
「あれだけ何度掘り起こしてもダメだったとは思えない…………何が起きてるんだ。現実なのか?」
そうでしょうとも! 私は誇らしくなって、一つ胸を叩く。
それと同時に、ある提案を持ちかけることにした。
昨晩、歓迎会が終わったのち、ベッドの上で考えていたのだ。
どうすれば、もっとも役に立てるのか。
そうして導き出した案は――
「リカルドさん。このあたりの草地の整備は、私に任せてもらえませんか? どんどん草むしりをするので、逆に家事をお願いしたいんです」
与えられた役割を入れ替えることだった。
開拓と一口に言っても、いろいろあるが……少なくとも緑地の整備であれば、私のスキル【庭いじり】の方が適している。
逆に、家政業務においては、私よりリカルドさんの方が数段高い水準でこなすことができる。
正直、太刀打ちできる気がしないくらいだ。
ならば、入れ替えてしまえばいい、とそう考えた。
要するに、だれがどんな仕事をしようが、開拓さえうまく運べば国も認めざるを得ないだろうと考えたわけである。
「……なるほど。じゃあ僕の部下はどうすればいい?」
「森や林に出て、狩りをするか、釣りをしていただくのはどうでしょう。ひととおりの草抜きが終わったら、なにか作物を植えたいですし、その時はお力をお借りします」
「たしかに、それなら適材適所かもしれないけど……」
リカルドさんは顎に手を当て目をつむって、しばし考え込む。
たったそれだけの仕草さえも、洗練されていた。その長いまつ毛に少し見とれていたら、彼はやがて首を縦に振る。
「どうせ、このままではなににもならない。うん、やるだけやってみようか。じゃあ、マーガレットくんは、また草抜きをお願いしていいかな」
「はい……!! ご要望どおり、たくさん、むしります!」
「えっと、もちろん疲れたら休んでいいからね? あんまり張り切りすぎると、腰を痛めるよ」
どうやら、リカルドさんは心配性でもあるらしい。
眉を下げて不安げにしているから、私は握りこぶしを作って答えた。
「大丈夫ですよ。しゃがんでる姿勢には、慣れてますから!」
こうして、私の草むしりデイズが始まったのであった。
短めなので、次もすぐに投下しちゃいますね!
引き続き、よろしくお願いいたします。
たかた
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