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32話 孤島の絶品スイーツにみんな感動?

完成後、私とリカルドさんは手分けをして、屋敷の周辺に散らばっていたみんなを呼びに行く。

せっかくだから、休憩がてらに茶会をしようという話になったのだ。


私は、カーミラさんの担当だった。

トレントブランコの前まで探しに行くが、そこにはいない。


「どこに行ったか知ってる?」


上を見上げてトレちゃんに尋ねれば、


『少し先の森の中だよ。問題はない、わたしの目が届く範囲だ』


とのこと。


逐一、彼に道順を教えて貰いながら彼女のもとにたどり着けば、カーミラさんは地面にしゃがんで、なにやら拾い集めている。


「なにをしているんですか」

「い、いつからそこにいたの!?」

「ついさっきですよ」


また、この間彼女が部屋に閉じこもっていたときと同じような問答になってしまった。


彼女は慌てて一度、背中の後ろに籠を隠す。


が、もう隠し通せないと思ったのか、すぐに見せてくれた。そこに入っていたのは、何の変哲もない小石や小枝である。


「……小物を作るのが趣味だから。材料になりそうなの集めてただけ。文句ある?」


思っていたより、ずっと落ち着いた趣味だった。

夜会やお茶会ばかりに行く、派手なものが好きなんだとばかり思いこんでいた。


そりゃあまぁ、仕事をなげだして、叫び散らしたと思ったら、これだ。まったく不満に思わないとは言えないけれど、今は意外性の方が勝っていた。



ここ数日、彼女が部屋に籠っている間、いったいなにをしているのだろうと思っていたが、こうした作業に精を出していたのかもしれない。


「私も探すの手伝いますよ。その代わり、今度なにか作ったら見せてください! 気になります」

「……頼んでないんだけど?」

「まぁまぁ。こういうの得意なんです。あ、その幹、中が腐ってますよ。やめたほうが無難だと思います」

「え、まじ?!」


私はスキル【開墾】を使って、彼女の作業を手伝うこととする。

腐っていない小枝や、木の実を厳選するのは、スキルが【庭いじり】だった頃からの特技だ。


そもそも、こうしてより分ける作業は結構好きな方である。


「で、なにか用があったんじゃないの」


思わず、本来の目的を忘れかけるくらい短時間で熱中してしまった。


「そうだ、リカルドさんと二人で、お菓子をつくってみたから呼びに来たんです。ちゃんと甘いお菓子ですよ! カーミラさん、食べたがってましたよね」

「……な、なんでそんなことまで」

「なんでって、カーミラさんの話を聞いてたら食べたくなったからですよ。そろそろ行きましょうか。きっと、かなり美味しいですよ! リカルドさんの腕は抜群ですから」


私は彼女に笑顔を向けて、こう投げかける。


嫌々といった様子ではあったが、彼女は正直じゃないのだ。

付いてきてくれることは確信していた。


二人、屋敷へと戻る。するとちょうど、他の方々も集まったところだった。


建築担当のマウロさんや、リカルドさんの部下も含めて、席を囲む。


そうして振る舞われたかぼちゃスイーツは、想像通り絶品であった。


リカルドさんの部下、計3人は感嘆の声を上げ、


「こんな美味しいお菓子を島にきてまで食べられるなんて」

「というか、かぼちゃの味そのものが美味しい……しみる…………」

「リカルド様、マーガレット様、ありがとうございます!」


中には泣き出しそうな勢いになる人もいた。

たしかに、忘れていた味だ。


かぼちゃプリンは、つるんとした舌ざわりと濃厚な甘みが舌を蕩けさせる。クッキーの方は、さっくりとした仕上がりだが、その甘みが前面に活かされており、ミルクティーにぴったりの菓子だった。


「……美味しい」


普段は無口を極めているマウロさんも、こう呟く。


カーミラさんは無言だったけれど、満足はしているらしい。

彼女はなにか言うわけじゃなかったけれど、その顔には前に石鹸と美容液を作ってあげたとき同様に、頬に笑窪ができていた。



それをリカルドさんも見ていたらしい。

彼はぴんと背を張りミルクティーに口をつけながら、片目をつむり私にウインクをする。


単に「よかったね」という合図だとは分かっていた。

けれどそんなことには関係なく、心臓を射抜かれる私であった。



とりあえずまぁこれでまた一つ、生活環境の改善には繋がったかな?




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