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23話 【side:ベリンダ】植物たちの復讐

その数日後、王都はずれにある人気の少ない小さな屋敷にて。

公爵令嬢であるベリンダは、謹慎生活をよぎなくされていた。



ただでさえ、マーガレットを偽の罪で追放したという事実に周囲は気づき始めており、その権力の乱用ぶりには多くの貴族らが眉をひそめていた。


相手がただの女官という事もあり、罪には問われなかったが、それでも評判は下がってしまう。



迷惑千万な彼女の行動はそれだけでも、ステラ家当主である父を苦しめていた。


そのうえで決定打となったのは、船を動かしたことだ。


エスト島の開拓使であるリカルド・アレッシに手紙を出すためだった。その内容を悟られたくなかったベリンダは、父に断りも入れず勝手に船を動かした。



本来なら、その船を用いて他国との交易が行われるはずだったのだ。

その取引で得るはずだった膨大な利益まで失ったことで、ステラ公爵の堪忍袋の緒が切れて、今である。


立場には似つかわしくないほどボロく小さな家に、一人閉じ込められている。

罰として、メイドなどはつけてもらえなかった。そのため、家事に掃除に洗濯にすべて自分でやらねばならない。


加えて、書物の書き写しなどの宿題を課され、反省を促されていたのだが、


「なんで。なんで帰ってこないの。あんなに素晴らしい話を持ち掛けてやったのに……! リカルド・アレッシさえ帰ってきていれば……! 貿易の損失だって補えるくらい、価値があったはずなのに」


当のベリンダはむしろ、うまくいかなかったことに怒りをにじませていた。

書き写しをしていた手を早々に止めて、ぎりぎりと握りこむ。



普通に考えれば帰ってくるはずであったし、我ながら完璧な策だと思っていた。


彼のような文化人にとって、エスト島の環境は決して望んでいる場所ではないはずだ。音楽を奏でても、聞いてくれるものさえ限られているのだから。


だがしかし、現実に帰ってきたのはお断りの手紙だけ。


『聞いてほしい人のために弾ければ満足です』


しかもそこには、こう書かれていた。

それは暗に、その相手がマーガレットであることを意味している。


大金や名誉、地位をも捨てられるくらい、彼女に対して特別な思いを抱いているのかもしれないと、そう思わせる内容だった。



どうやら、自分とは真逆にマーガレットは、なにもかもうまくいっているらしい。

閉じ込められる前の噂によれば、今度リカルドとマーガレット、二人への刑罰が正式に解除されるそうだ。


と言って、彼らが王城に戻ってくるわけじゃない。


そのまま開拓使とその使用人という立場のまま、島に残り続けるらしい。そのうえで、追加の人員を派遣することも検討されているそうだ。


「ふん、雑草女にはたしかに開拓みたいな女っ気のない仕事の方がお似合いかもしれないわね」


ベリンダは負け惜しみを呟き、一度書き写しを中断する。

鬱々とした気分だった。


そのため気晴らしのためと、どうにかマーガレットを貶める方法をかんがえめぐらせながら玄関から庭へと出てみたら、


「ひっ、ひぃぃ!!!??」


王城で起きていた現象と同じことが起きていた。

ここへ来てからいっさいの手入れをしていなかった庭に害虫が大量に発生しており、そこら中を飛び回る。


しかも、家の中にも入ってきてしまうから、おぞましいったらない。



もう、前のように誰か他の人間を助けに呼んだりすることはできない。

ただの庭仕事だと、マーガレットの仕事を軽く見ていた罰が、植物のことを侮っていた罰が今まさに、彼女には下っていた。



二章はじめて行きます!

まだ日間1位をキープさせていただいて、おります。ありがとうございます!


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焼き捨てられた元王妃は、隣国王子に拾われて、幸せ薬師ライフを送る〜母国が崩壊? どうぞご勝手に。〜

― 新着の感想 ―
[一言] 善意は淡い光のように周囲を照らし、跳ね返された悪意は何倍にも膨れ上がり己に降り掛かる。 善の光のザマア返し?
[気になる点] 平民でなくいちよ貴族の子弟なのだからただの女官てむりね?
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