20話 【side:ベリンダ】狂った人生
公爵令嬢であるベリンダ・ステラは、ここ最近立て続けに起こった出来事に、憤りを隠せなかった。
マーガレットを自分の思惑通りに追放処分にできたところまではよかった。
だが、そこから以降はまったく想定外だ。
「なんなの、あの女……。庭いじりスキル程度で…………」
と、自室にこもって酒を一気に呷りながら、苛立ちを噛みしめる。
夜会などもあったが、今外に行く気にはどうしてもなれなかった。
批判の目を、そこら中から感じるためだ。
ベリンダのやることなすことが、マイナスに働いているとして、厳しい意見が多く寄せられていた。
マーガレットの追放処分もそうだが、なによりまずかったのは植物魔・オルテンシアをいたずらに刺激し、より暴走させてしまったことと、害虫被害を悪化させたことだ。
その後始末には、何人も庭師を雇ったり、騎士団を招集したりして、かなりのお金を割くこととなった。
その間、女官たちの業務が滞っていたのだから、損失額はもっと大きい。
しかも、それでもどうにもならず、結果的には限られた予算が無駄に食いつぶされてしまう結果となったのだから最悪だ。結果、王女様自らが乗り出し、あっさり解決するというオチまでついてしまった。
おかげで彼女だけではなく、ステラ家の評判ごと急落しており、父からも厳重な注意を受けていた。
――そんな一方で、追放に追いやったはずのマーガレットがその評価をあげているのだから、それも気に食わない話だった。
「ほんと、雑草みたいな女ね、あいつ……」
ふつう島流し刑に処されたら、そこから這い上がってくることなんてない。
だが、マーガレットはそのエスト島で開拓を成功させる活躍をし、この王城にまで名前をとどろかせている。
むしろ、いなくなってからのほうが毎日のように名前を聞くくらいだ。
そのしぶとさは、彼女が散々抜いて来た雑草そのものと言える。
これまで派手な薔薇のような生活を送ってきたベリンダだが、そんな雑草女に人生を狂わされたわけだから、苛立ちはさらに募る。
自分の評価を元に戻すのは、もうかなり難しそうだった。
ならばせめて、どうにかマーガレットにも、この失意を味わわせてやらなければ、気が済まない。
それからベリンダは、公爵家の人脈を活かし、エスト島でのマーガレットの様子に探りを入れる。
そうして得られた情報の中に、一つ使えそうなものがあった。
それは、
『マーガレットがリカルド・アレッシ侯爵と懇意にしており、仕事を分担するなど、いい協力関係に見えた』
という、島へ向かった役人の証言だ。
それを耳にして、すぐに思いついた。
「はは、今に見てなさいよ、雑草女……。あんたの幸せな日々も終わりよ」
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