表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/109

12話 島生活の幸せな日常

そして、その頃。

島流しにあい、追放された側のマーガレットはといえば…………


「よーし、じゃあ今日も頑張りましょう!」


むしろ、かなり生き生きとしていた。


太陽がさんさんと輝く青空の下、掘り起こした畝を前にこう意気込む。


離島へと流されて、約ひと月が経過しようとしていた。


はじめはリカルド・アレッシ侯爵の元で使用人として勤務する、という話であったが……、話し合いの末に今は私が開拓の中心人物になっている。


「うん、そうだね。教えて貰ってもいいかい?」


こう柔和な笑みを投げかけてくるリカルドさんは、その見た目の印象通り、元はバイオリン弾きの文化人であり、なんともまぁ開拓使向きではなかったためだ。


だが、かわりに家事は完璧にこなしてくれるし、今の様に手伝ってもくれる。



今日は、新たに作付けを行おうと考えていた。

正直、スキルを使って一人でやることもできそうだったが、彼が志願してくれたのだ。


ちなみにリカルドさんの部下の方々は、海に魚を捕獲しに出かけているから不在にしている。

そういえば、私が魔ネズミの牙から作った銛を片手に、かなり意気込んでいたっけ。あのぶんなら、戻りは遅そうであった。


「えっと、等間隔で埋めていけばいいんだね?」

「そうです。すでに穴は掘ってあるんで、そこに苗を植えて、最後に愛情をこめながら均してもらえれば!」


そのためリカルドさんと二人、作業をはじめていく。

今日植えるのは、ヘホかぼちゃだ。もともと島に野生の状態で生息しており、気候や土質との相性も問題ない。


そう、【開墾】スキルが教えてくれていた。



順調に作業は進む。

しかし、決めていた範囲である約家一つ分程度の範囲はそこそこの広さだ。


気付けば少しずつ天気が変わり、風が強くなってくる。


「このままじゃ苗が飛ばされるんじゃないか」


なんてリカルドさんは心配するが……それは無用だ。


「トレちゃん、風よけお願いしていいかな!」

『あぁ、わたしたちに任せておくといい』


【開墾】スキルに目覚めたことで、植物魔と会話ができるようになった私は、トレントたちを仲間に加えていた。


彼らは、自らの枝や葉を地面近くまで下ろしてきて、風から私たちを守ってくれる。

それどころか、ほどよい風が吹くことにより、快適な環境が出来上がっていた。


おかげで作業は無事に予定どおり進行する。



そうして夕方までに作業が終わったら――


「マーガレットくん。よく動いただろう? たんと食べるといい」

「リカルドさん、本当にありがとうございます……! 植え付けも手伝ってもらったのに」

「いいんだ。それに僕は君に教えてもらってばっかりでむしろ足を引っ張っていたとおもうよ。それに、この魚は部下が獲ってきたものだ」


リカルドさんによる、ハイクオリティなお料理で晩御飯だ。

今回は、前に植え付け育てていたハーブの数種類をブレンドしたものと、鯛の切り身を使った蒸し料理だった。


「どうかな、ちゃんと味が美味しいといいのだけれど」

「もう最高ですよ、リカルドさん! 食べてるだけで健康になりそうな味です」

「……それ、褒めてくれているのかい?」

「当たり前ですってば!」


その味は、毎日食べていても飽きないかなりの高水準だ。


「明日はどんな料理だろうって、うっかり寝る前から期待してしまうくらいです」

「はは、それは早すぎる気もするけどね」


なんて言いながら、リカルドさんは笑みを隠しきれていない。


口に軽く手を当てくすりと微笑む。



いつ見ても綺麗な顔だ。


最近は、太陽光がふりそそぐなか作業を手伝ってくれたこともあったのに、どういうわけかその肌は相変わらず、陶器みたいな白さをしている。

しかも、淀みのないエメラルドグリーンの瞳がそこに収まっているのだから、ついつい見とれてしまう。



眼福、かつ満腹だ。



正直、最高の職場環境だった。

人によっては身体がきついかもしれないが、もともと太陽のもとで動くのが好きな私には、ぴったりだと言える。


なにせこの離島には、面倒くさい派閥争いも、女同士の妙な争いもないのだ。


島流しにされると聞いた時はどうなることかと思ったが、ここまで幸せな生活ができるとは考えもしなかった。


控えめに言っても島流し、最高!

図らってくれて、ありがとう、ヴィオラ王女様……!


20時にも投稿予定! 頑張ります〜!!

引き続きよろしくお願いします。


たかた


【恐れ入りますが、下記をお願いします】


・面白かった、楽しかった

・続きが気になる


などと少しでも思ってくださった方は、画面下部の☆☆☆☆☆を★★★★★にして応援して下さると嬉しいです。


ブックマークも歓迎です!(╹◡╹)


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大告知】
本作、2巻が発売されています!
MFブックス様からの2月下旬の発売となりますので、ぜひに✨!画像がMFブックス様へのリンクになっております。
322411000126_01.webp 【ついで告知】 新連載はじめました!
大変面白い作品になりましたので、併せてよろしくお願いいたします。
焼き捨てられた元王妃は、隣国王子に拾われて、幸せ薬師ライフを送る〜母国が崩壊? どうぞご勝手に。〜

― 新着の感想 ―
[一言] ぜひいいねボタンを解放して欲しいです…!楽しかった気持ちを毎回伝えたいので…!!
[良い点] 楽しい島開拓生活、日々の楽しみと癒しになっています。毎日の更新、ありがとうございます。後は、リカルドさんのためにも、音楽があればなあ、と思います。ご都合主義と言われようと、楽器を積んだ漂流…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ