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本妻探偵〜愛人デスノート〜  作者: 地野千塩


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脅しと呪い編-4

 数也のオフィスは都内某所の小綺麗なビルの一角にあった。占い師のオフィスというと妖艶な魔女の館のようなものを想像していたが、ごく普通の事務所で拍子抜けした。


 鮮やかなピンク色のハーブティーを数也が持ってきた。おそらくローズヒップティーだが、なんとなく怪しいので口をつけるのはやめた。


 ごく普通の事務所の中でやっぱり数也の雰囲気は浮いている。ファンデーションをした肌はマネキンのようだし、濃いアイシャドウを塗った瞼もどこか作り物めいている。指や手首にもアクセサリーがジャラジャラとつけられ、ケバケバしい男だ。男と言って良いのか判断が迷う人物だったが。


「さっそくだけど、あなたに聞きたいことがあるんだけど良いかしら?」

「どうぞ」


 中世的な男だが、数也の声は低い。髭のそった跡などは化粧で上手く消しているようだが、やはり性別は間違いなく雄のようだ。指や手も骨っぽくてゴツい。


「この女、見たことある?」


 文花は杏子の書いて貰った似顔絵を見せた。


「あー、凛子ちゃんじゃん」

「凛子がどこに居るか知ってる?」

「さあ。涼子と私は同居してるけど、凛子は数週間前から帰ってこないね。っていうか、警察も探しにきて凛子の事色々聞いてきた」


 文花は身を乗り出して数也の話を聞いていた。数也も凛子の行方がわからないようだ。しかも警察が捜そているとは、智香の件で関係していて間違いないだろう。


「凛子はいい子なんだけどねぇ。でも人の言う事に従いやすくて自分の考えもない、頭空っぽバカ女」


 はじめて凛子に接した人間から悪い評判が出てきた。しかもニヤニヤと笑い、完全に凛子を馬鹿にしているのが伝わってくる。


 それに人の言うことを従いやすいのは、母親の涼子も同じだろう。そうでないと、あんな風に占い師ののめり込む事はあり得ない。


 数也は心の内では涼子も同様に見さげているのが伝わってくる。もしかしたら、自身の占いの力もインチキだという自覚もあるのかもしれない。見た目は美しく着飾っているが、数也の中身はそれほど綺麗ではないかもしれないと思う。


「そうなの。わかったわ。蒸しパン作ってきたんだけど、食べる?」


 文花は似顔絵をカバンの中にしまい、箱からラッピングされた可愛らしいフォルムの蒸しパンを出して見せた。

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