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本妻探偵〜愛人デスノート〜  作者: 地野千塩


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容疑者編-6

「私に何か用ですか?」

「今日は、文花さんに警告しに来ました」


 数也は、ふんわりと笑顔を作った。おそらく中年以上の女はポーっとなるような魅力的な笑顔だったが、夫の腑抜けた笑顔の方が見慣れているので、全く興味がない。


 涼子は本当に何かに脅されているかのようにビクビクしている。文花がちょっと彼女に視線を合わせるだけで、過剰に反応していた。


 文花はチョコレートをぽりぽり噛み砕き、興味が無さそうに数也を見た。


「涼子さんがあなたの旦那さんと不倫していた事は知ってます。正直、涼子さんと田辺先生はとっても魂の相性が良くてね。ツインテイルなんだよ」

「また、夫と結婚したいとか言いにきたの?」


 過去にも全く同じことを涼子は訴えてきた。さすがに占い師の入れ知恵というか洗脳でそんな事を言ってきたので、さすがの夫もドン引き。二人が別れるきっかけにもなった数也には当時逆に感謝したほどだった。


「ツインテイルって何? 頭痛いスピ用語?」

「頭痛いとか言うな!」


 数也は怒っていたが、その主張をわざわざ聞いてやるのは無駄だと思い、チョコを再びかじった。


「……なのでツインテイルというのは、高尚な運命な人なのです。ちょっと文花さん、聞いてます?」

「ああ、ごめんなさい。眠くなちゃったわー。ふわぁ、ああ眠い」


 文花が欠伸をすると数也は舌打ちし、涼子はプルプル震え上がった。こうそてみると、ご主人様に飼われている子犬みたいな女だと思った。テレビでは芯の強い女も演じてはいたが、自分で考えられないロボットの様にも見える。個性も感じないし、テレビ局や事務所はこの女の扱いは楽そうだ。実際占い師如きに簡単にコントロールされている。


「で、それで何の警告なの?」

「私は文花さんを霊視したんです」

「ああ、そう。ご苦労様」


 そう言われても占いの類いに興味のない文花はありがた迷惑しか思えない。占いで夫の気持ちをコントロールできるわけでもない。不倫が止まる事もない。その事を文花はよく知っていた。ミイの事件でも結局占い師の桜村糖子は念で殺したわけでもなく、実際は馬鹿な男の暴走だった。


 そっけない態度の文花に数也は明らかにイライラとし始め、コーヒーを啜った。


「文花さん、あなた、誰かを呪っていませんか?」

「呪い?」


 物騒な言葉であるが、藁人形やお札も興味がない。そんな無駄なスピリチュアル風努力をするぐらいなら、愛人のSNSを漁って見ている方がまだ収穫がある。そして現実的な不倫の証拠でもおさえた方がよっぽどいい。


「はっきり言います。あなた、身の回りに不幸をばら撒く女です。何かノートの様なものをつけていません?」

「ええ」


 愛人ノートの事だろうか。


「あなたは念が強い。そこに書き込んだ人間は不幸になる様な念をかけている。死人も出る。まるでデスノートだ。今すぐ、そう言ったことはおやめなさい。地獄に落ちる」


 心当たりはものすごくあった。確かに愛人ノートに書かれたものは、不幸になっているものも多く、三人死人も出ている。一人は単なる病気の悪化の末の死亡だったが、浅山ミイと坂井智香は他殺だ。確かにこの確率は偶然といって良いものなのか、文花にはわからない。


 占いなど信じない文花だが、こうして証拠がある事を思うと、少し怖くはなった。何より自分が執念深い事は、自覚はある。知らず知らずのうちに夫の愛人を呪っていたのか?それでも不倫をした方が悪いのだから、自分は悪くないち思い、再びチョコレートをボリボリ噛み砕いた。


「私、念が強いのかしら?」

「そ、そうですよ!田辺先生よく言ってましたよ。うちの文花ちゃんは、執念深くて、その念で人間一人ぐらい平気で殺しそうって!」


 涼子は怯えながらも、文花に主張してきた。以前あった時もさらに怯えている様で、やっぱり女優には見えないぐらいオドオドしている。


「私も数也先生に言われて、スタッフやモデル、娘をいじめるのやめたんです」

「そうね、あなた、スタッフ受け最悪よ。モデル達のもすごい嫌われようだった。え、娘もいじめてたの?」


 それは初耳で、文花はため息がでる。過去の涼子の調査では、そこまではわからなかった。不倫するぐらいの女だ。やはり根性が腐ってる。


「でも今は数也先生に言われて、みんなに優しくしています。お陰でドラマの代役ももらえて、本当に感謝ですよ。あなたも数也先生の言うことを聞きなさい!」

「そんな、命令されてもなぁ……。私は別にいじめはしてないわよ。愛人調査はかなりしつこくやってるけど」


 そう言うとなぜか数也の頬が引き攣っているのが見えた。笑いを堪えているのかもしれないが、ここでなぜ数也が笑いそうになっているのかもわからない。そもそもこの人たちはなぜここに居るのか。目的も文花には不明だった。

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