ドケチ少女小説編集者編-9
智香は、自宅近くのドラッグストアに向かった。化粧品でも買うのだろうか。美容代はケチっている様だが、不倫中で色気づいたのかもしれない。
化粧品を見ている事は見ていたが、チラシだけもらっていた。チラシは裏が白い物なので、後でメモ帳にでもするんだろう。全くケチくさくてならない。夫も似たような事をして、よく小説のプロットやキャラクター設定をチラシの裏に書いていた。
その後、智香は食品コーナーの方に向かい、半額コーナーを物色していた。
今度も十分ぐらいウンウンと唸りながら半額コーナーで悩んでいた。この様子だと夫と金銭感覚もあうだろう。苦々しい気持ちで、化粧品コーナーから智香の様子をうかがった。
結局半額コーナーでも選ばず、食品コーナーに行った。
上手く身を隠せず、文花は化粧品コーナーから智香を見守る。棚に隠れて智香の姿は全部見えないが、どうやらパンコーナーを物色しているようだった。
不自然な事に見ているだけで商品を選んでいない。この様子だと万引きをする可能性がある。文花は緊張しながら、智香の様子を伺う。しかし棚が死角になり、よく見えない。
ただ、智香の指先は見えた。パンのキャンペーンのシールが付いていた。パンのシールをとるのも万引きだ。コンビニのバイトしていた時、シールだけも盗むものも多くいて、よく捕まえていた。
ただ、「家から持ってきたシールだ」とも言い訳もできる。剥がしている瞬間をカメラにおさえなければ。
しかしこの角度では写真におさえる事ができなかった。結局文花は万引きの証拠をおさえる事ができなかった。
コンビニ店員をやっていた時は、万引き犯をバンバン捕まえていたわけだが、夫の不倫相手に顔バレするのは不味い。
尾行をしているのが判明するのも文花にとって不味かった。警戒されて、夫との逢瀬を控えかねない。「逢瀬を邪魔する妻」という存在は二人を余計に盛り上がらせる事があるのは、文花の経験上よくわかっていた。
文花の中で正義感が渦巻くが、グッと我慢して智香の尾行を続けた。
ドラッグストアを出ると、智香が自宅に直行。夫とどこかで会う事はなかった。その後、智香の家の前で夫がいないか見張っていたが、文花の予想は裏切られ、その姿は確認されなかった。
こうして1回目の尾行は、目立った収穫はなかった。




