ドケチ少女小説編集者編-8
不倫の証拠が最優先だが、万引きやタチの悪いクレーマーの証拠を掴んでみ良いかもしれない。文花は引き続き、智香の尾行を続けた。
智香は今度コンビニに立ち寄った。しばらく雑誌コーナーで立ち読みした後、半額コーナーをチェックしていた。
文花はドリンクコーナーでペットボトルを探しているフリをしながら、智香の様子を伺った。
半額コーナーでは十分以上真剣に吟味をしていた。あまりにも真剣な目だったので、他の客にちょっとぶつかっても気づいていない様だ。
そのうちに文花はペットボトルを購入し、イートインスペースに行き、智香の様子を伺った。
智香は、あんなに悩んでいたのに結局半額コーナーで品物を買わず、レジでコンビニコーヒーを注文していた。アプリのクーポンも使っていたが、ケチな智香は常にマイボトルを利用し、ペットボトルやコンビニコーヒーなど滅多に飲まないはずだった。以前不倫した時の調査では、文花がドン引きするほどケチで、金の使えない夫と気が合う理由がよくわかるほどだったが。
しかし智香は文花の予想外の行動をとった。Sサイズのコーヒーを頼んでいたはずだが、コーヒーメーカーでのMサイズのボタンを押していた。
お陰でコーヒーはカップの縁縁まで入っている。おまけにストローやマドラー、シロップ、コーヒーミルクを十個ぐらい余計につかみカバンに入れていた。
文花は思わずその姿を写真にこっそり押さえた。シロップやコーヒーミルクを余計に貰う行為は不明だが、SサイズのコーヒーカップにMサイズのコーヒーを注ぐのは万引き行為だ。前にニュースになって炎上していたのを記憶にあった。
「ちょっとお客さん」
案の定、コンビニ店員が智香に注意をしてきた。
「これMサイズボタン、押シタ?」
少しカタコトの店員だった。見た目は日本人と変わりないが、もしかしたら中国人か韓国人かもしれない。都内のコンビニは、外国人の店員も多いので珍しくない。
「間違えただけです!」
智香は逆ギレしていた。
「間違えただけなのに、万引き扱いするつもり?」
まるで鬼のような顔で凄んでいた。もともと魔女みたいなルックスの女なので余計に怖い。気の弱そうな外国人店員はタジタジとなり、むしろ謝っていた。
智香は鼻を膨らませ、縁縁まで注いだコーヒーを持ってコンビニからでていった。
あのコーヒーを片手で掴んで、こぼしもしない。慣れている。単に間違えた様には見えなかった。
ただ、本当に間違えたのかもしれないい。万引きの意図があってやったのか判断がつかない。文花は智香の性格上、万引きした可能性が高いが、確かな証拠がないので犯罪として立証できるかどうか不明だったのか。
万引きも許せない。文花もコンビニでバイトしていたので、薄利多売でもあるし、店長の本部からのノルマも厳しい事も知っているが、それより夫と智香との不倫の証拠だ。
文花は引き続き尾行を始めた。
智香は電車に乗り、自宅へ向かっていた。もしかしたら自宅で夫と会うのかもしれない。すでに夜になっていた。身を隠すのは有利な時間帯であるが、さらに気をひきしめ智香の背中を追った。




