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メンヘラ地雷女編-1

 文花は文庫売り上げランキングをインターネットで調べて見ていた。


 夫の本がついに発売された。


『愛人探偵』という初のミステリに挑戦した意欲作。

 文花も夫も巻き込まれた、浅山ミイの事件をモチーフにしたライトミステリだ。


 夫の事が好きすぎて愛人の素性を調べまくる奥さんが、いつの間にか殺人事件を解決してしまう…というストーリーだった。奥さんのキャラクターがトンデモヒステリー女で、漫画ティストのキャラクターになっている。文花がモデルになっているが、漫画のキャラクターのようにデフォルメされている。


 文花が夫の不倫相手ついて調べた記録・愛人ノートや不倫現場の画像のデータなども執筆の為に夫の仕事部屋にある。取材の為に必要だったのだ。あんな執着して調べていた事が、結果的に夫の仕事の役に立ってしまっていた。


 文花は初稿を読んだ時、自分よりだいぶデフォルメされたキャラに怒りを覚えたが、ミステリーを書いていれば今後不倫する可能性は低いと考え、目を瞑った。


 夫は恋愛小説家だった。


 若い男女の美しい純愛ストーリーやキャリア ウーマンのラブコメが多い。


 いくつかヒット作を生み出し、実写化やコミック化も遂げている。


 ただ一つ問題があって、夫は不倫をしないと恋愛小説を書けないという悪癖があった。いわば芸の肥やしである。


 その愛人は累計五十一人にも及び、文花のメンタルを悪くさせていた。


 どうかこのまま恋愛小説家に戻らず、ミステリ作家に転向してもらいたい。ミステリを書いているうちは夫は一度も不倫をせず、探偵や刑事への取材に燃えていた。


 文花は祈る様な気持ちで、文庫売り上げランキングを見た。


 文庫の売り上げは初動が大事だ。ここで売り上げが悪ければシリーズは打ち切られる。


 シリーズ継続できるかは、早くて3日長くて1ヶ月の初動っで決まってしまう。


 詳しい売り上げについて担当編集者の常盤は教えてくれないというが…。


 仕方ないので、インターネットで見られる文庫売り上げランキング上位500をのぞいた。


 どうか、上位に!


 しかし文花の期待は裏切られた。ランキング圏外だった。それも発売日から一週間ずっと圏外だった。上位にかすりもしなかった。


 それどころではなくネット書店でにレビューも酷評が多かった。コアなファンからの長文レビューも多いが基本的に賛否両論で否の方がやや多い。


 当然、重版も決まらなかった。


 発売日一週間後、常盤から連絡をもらった。


「すみません。『愛人探偵』打ち切りです」

「はぁ? どういう事?」


 文花はブチギレた。

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