後編
アレク達を乗せた、”雷鳥壱号”はもう少しで地球の”天空城”につく。
「アレク、後ろだっ」
”雷鳥壱号”を操縦していた、ニャンタが大声を出す。
「なっ」
ギュピ~~~~~ン
巨大なボドドルザー級、機動要塞がデフォールトして来た。
元々は、”天空城”も、”雷鳥壱号”も先史宇宙文明のものである。
”雷鳥壱号”の無線から、
『キ~ス~、マ~カウケ~』
と聞こえてきた。
「これは、竜人族に伝わる、古の言語っ」
バハムは、竜人族の巫女なのだ。
外部スクリーンオン
宇宙に巨大なスクリーンが映し出される。
「アレクとマリッサ、キスをするんだ」
「なっ」
「ななななな、なんで、アレクなんかと」
「お前ら、想い合ってるのは、バレバレなんだよ~」
「まどろっこしい~」
「とっとと、くっつけっ」
『キ~ス~、マ~カウケ~』
「……マリッサ、ずっと前から好きだったんだ……」
アレクの顔は真っ赤だ。
「……私も、ずっと好きよ……」
マリッサが、うつむきながらもはっきり声を出す。
「キ~ス、キ~ス」
仲間たちだ。
アレクが、マリッサの頬に手を当てた。
ゆっくりとお互いが顔を寄せる。
外部スクリーンに映し出されている。
『オオ、オオ~オオ、キ~ス~』
「システィナ、歌だ、歌を歌うんだ」
バハムが、指さす。
「ええと、これしか知らないわよ」
古くから伝わる、古代語の聖歌を歌いだした。
「アア~♪、アアアア~♪」
古代のラブソングなのだ。
『プ、プロトンカルチャ~~~~』
話し合いの余地がありそうだ。
◆
『文化を取り戻すのだ~~~~』
「駄目ニャあああああ」
”マク〇スウエルズ・キャット”のぶっといレーザーが、ボドドルザー級、機動要塞の表面を焼く。
反応弾が、巨大な火焔の球を作った。
「なああああああ」
スクリーンに、驚愕しているアレクたちが映った。
『でカルチャ~~~~』
次の瞬間、機動要塞の表面から数えきれない程の、レーザーやミサイルが放たれる。
地球に雨のように降り注いだ。
地表が茶色に染まっていく。
『ふふ、”骸骨小隊”出動っ』
左腕の空母から、”婆琉木離胃”が三機、飛び立っていく。
ボドドルザー級、機動要塞は活動を停止した。
さあ、とっとと”コスモクリーナー”で地球を直そうか。
◆
「……段々やり方が荒くなってきてないか?」
『つ~ん』
”ナビゲーター”は、明後日の方向に顔を向けている。
「また迷惑をかけてしまったニャ」
(地球規模でだが)
ネムリネコが、頭を下げている。
「何を言ってるのっ。 あの悪魔が全て悪いんでしょうっ」
システィナが、ネムリネコを抱きしめる。
システィナは、創造の女神に仕える司祭だ。
”ナビゲーター”は、創造の女神の一部と言える。
『あ~、う~』
流石に、自分に仕える司祭に、悪魔と言われるのは気まずいらしい。
『……でも、スキルレベルは上がったのよ……』
完っ全っに、無視された。
”ナビゲーター”が、超時空要塞、”マク〇スウエルズ・キャット”をアイテムボックスに収納しようとしている下で、
「ふふふ、マリッサ~」
「な~に~、アレク~」
両手を繋いで、クルクル回る。
”春”が来ていた。