前編
周りは、見渡す限りの”星空”である。
「なんで、置いて行かれたにゃ~~」
猫系獣人である、”ネムリネコ・ネムネム”は大声を出した。
黒くて三角の猫耳が、ピコピコ動く。
さっきまでアレクたちの横にいた。
『”チートスキル・迷いネコ”は、転移系よ』
「ニャっっ」
(転移させられたのにゃ?)
スキル、”迷いネコ”の効果の一つ、”タヌキネイリ”発動。
「嫌にゃ~」
抵抗失敗。
多大なる心的ストレスを、強制的に眠ることで回避。
「にゃご、にゃご、すう、すう」
そのまま、ネムリネコは、身体を丸くして、寝してしまった。
◆
『”置き去り“の回数が規定値を越えました』
『チートスキル、”完全自律報復型、移動要塞、クレイジーキャットがLV3に、成長します』
『ふふふ……強制的に、”置き去り”ですよ』
『いつものように、飼い主の元に帰しますね』
ホログラフで現れた、”ナビゲーター”が、諦めろと言わんばかりに、ネムリネコを見た。
「ニャーゴ、ニャーゴ、ス~、ス~」
返事がない、強制的に眠らされている。
◆
「ネムリネコはどこだっ」
リーダーで戦士のアレクだ。
「”置き去り”は無理のはずだぜっ」
シーフのゲンゴローである。
「そうよ、そうよ。 皆で見張っていたのよっ」
女魔術師のマリッサだ。
「……物陰から悪魔の手が生えてきました……」
(”ナビゲーター”は、女神の眷属である)
女司祭のシスティナである。
「くそっ」
モンクのフルードだ。
「……魔力探知で探します……」
エルフのエルファフィンである。
「宇宙服を着せておらんぞ」
ドワーフのドワイトだ。
「僕より小さいのに」
ハーフリングのハフアである。
「先史宇宙文明の遺跡に、置き去りか」
ドラゴニュートのバハムだ。
「まだ、コネコだぞっ」
猫系獣人のニャンタである。
「この荷物、宇宙で持ちますね」
荷物持ちのポータだ。
宇宙を、銀色のロケットが飛行している。
ロケットの横には、大きく”雷鳥壱号”と書いてあった。
ネムリネコは、ナビゲーターに攫われて、宇宙にある”先史宇宙文明の遺跡”に置き去りにされたのだ。
今、パーティー”アレクとゆかいな仲間たち+ネムリネコ”は、遺跡の持ち主である”タイターン”から必死に逃げていた。
◆
『おやおや、宇宙基地の持ち主ですか』
”ナビゲーター”がつぶやく。
タイターン族の宇宙戦艦が、デフォールドして来た。
『あら、空気が抜けてるわね、ここ』
遺跡の一室である
「にゃっ」
『くふふふふ、スキル“クレイジーキャット”発動』
基地が弾け飛んだ。
◆
完全自律報復型、移動要塞、超時空要塞、”マク〇スウエルズ・キャット”
チートスキル”完全自律報復型移動要塞、クレイジーキャット”LV3、で呼び出される超時空要塞である。
(映画版ではなく、TV版だ)
◆
『来たキタきた~』
識別灯などが光り輝く”マク〇スウエルズ・キャット”のブリッジである。
”ナビゲーター”が、艦長服と艦長帽を着て、艦長席に座っている。
何故か、パイプを咥えていた。
ネムリネコの窒息の心配は無くなった。
『ま、攻撃してくるわよね』
”マク〇スウエルズ・キャット”をアイテムボックスから出すときに、基地を吹き飛ばしたのだ。
深緑色をしたタイターン族の宇宙戦艦のいたる所から、レーザーやミサイルが射出される。
『ピンポイントバリヤ~~』
人の手と、ドラッグボールで操作される小さなバリアーだ。
”ナビゲーター”が正に神の手を見せた。
全て防ぎきる。
全方位バリアーは、柿〇キが戦死するから使用不可である。
『ふふふ、トランスフォーメーション』
ヴオオオオオ
なんと人型にっ(棒読み)
『怠惰ロスアタッ~~~クッ』
右腕の強襲揚陸艦、”怠惰ロス”を、ピンポイントバリアーで覆い、敵艦に突っ込む。
『全弾発射ッ』
敵艦は、内側から膨れ上がるように、爆発した。