後編
「アレク、トーキオがおかしい」
”大都市防衛用移動要塞”を操縦していた、ニャンタが声を上げた。
もう少しで、トーキオ湾に面する、大都市”トーキオ”に着くのである。
都市の大半が、壊滅している。
グルウアアアーアアア
コントラバスの音を逆再生した鳴き声が、辺りに響き渡った。
黒い巨大な竜がトーキオを、燃やしている。
皮膚は岩のようにごつごつしている。
背中には、とげの様な背びれが、たくさんついていた。
根元部分がときどき光る。
「”ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴン”よっっ」
エルフのエルファフィンだ。
「中つつ国のエルフの王国をたった一体で滅ぼした邪竜よ」
「サウロンッの力も通じなかったの」
指輪が光る~。
「でも大丈夫、”カド二ウム弾”を持っているの」
アイテムボックスから取り出す。
”大都市防衛用移動要塞”の後部に装備されるミサイルランチャーに装填された。
「ゆっくりと、顔の前に回って」
グルル
モニター一面に、”ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴン”の顔が写る。
「照明弾、今っ」
シュパアアアア
周りが明るくなる。
ゴ〇ラが上を向いた。
「カド二ウム弾、撃て」
狙いたがわず、ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンの口に入る。
ゴロゴロゴロ
ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンのお腹から音がする。
ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンは、その場にへたり込んだ。
「やったああああ」
◆
”ツインテールキャット”は、”KAINUSI”達に追いつき、トーキオの近くまで来ていた。
『面白そうなことしてるじゃな~い』
モニターには、カドニウム弾を撃ち込んでいる”大都市防衛用移動要塞”が映っている。
『……我慢できない……』
『熱核ミサイル(核爆弾)』
「待つにゃあああああ」
『くふふ、発射、W』
キノコ雲は、おきなかった。
全ての熱量、エネルギーが、ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンに吸収される。
『くふふふふ』
ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンが、復活した。
◆
「何が起こったああ」
”大都市防衛用移動要塞”のすべての計器が警告音を出している。
時々ノイズの走る、モニターには、怒り狂ったゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンの顔のアップが映っている。
開いた口には青白いブレス、背中が青白い光で点滅していた。
「退避―」
城壁の陰に隠れる。
ドゴオアアアアア
”大都市防衛用移動要塞”は城壁を貫通したゴットブレスの直撃を受け、ふらふらと落ちて行った。
◆
『今よ~』
”ツインテールキャット”は、大都市トーキオの四分の一をソニックブームで掘り返しながら、ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンに、飛び蹴りをくらわす。
ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンが吹き飛んでいった結果、都市の半分が掘り返された。
グルア
ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンの目が、(卑怯なっっ)と語っているようだ。
立ち上がろうとした、ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンに、
『フルバレルオ~プン~』
”ツインテールキャット”に搭載される全ての火器が、一斉に火を噴いた。
グウアアアア
火力だけで、ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンは、ズルズルと後ろに押し流される。
『そろそろとどめね~』
ピロピロピロピロ
三つ首の竜の口から、金色の怪光線が放たれる。
ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンの体の表面を、走り回った。
グルルルル
ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンは倒れて動けない。
『ふふふん~』
『トラクタービーム”マネキネコ”作動』
都市の裏山の火山口に、ゴ〇ラを放り込んだ。
◆
「……………………」
”アレクとゆかいな仲間たち+ネコ”は、泣き続けるネムリネコを、円陣を作ってかばいながら、ナビゲーターを睨みつけている。
『な、何よ、スキルのレベルが上がったのよっ』
『ゴ ッド・ ジ -二アス・ド ラ ゴンも倒してあげたじゃないっ』
アレクたちは、トーキオを振り返る。
半分が壊滅で、半分が大破と言った所か。
避難する住民の列が長く続いている。
『何も、悪いことなんかしてないんだからねっ』
ナビゲーターは、”ツインテールキャット”をアイテムボックスに収納した。