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後編

「アレク、トーキオがおかしい」

 ”大都市防衛用移動要塞”を操縦していた、ニャンタが声を上げた。

 もう少しで、トーキオ湾に面する、大都市”トーキオ”に着くのである。

 都市の大半が、壊滅している。


 グルウアアアーアアア

 

 コントラバスの音を逆再生した鳴き声が、辺りに響き渡った。


 黒い巨大な竜がトーキオを、燃やしている。

 皮膚は岩のようにごつごつしている。

 背中には、とげの様な背びれが、たくさんついていた。

 根元部分がときどき光る。


「”() ッド・ () -二アス・ド () ゴン”よっっ」

 

 エルフのエルファフィンだ。


「中つつ国のエルフの王国をたった一体で滅ぼした邪竜よ」

「サウロンッの力も通じなかったの」

 指輪が光る~。


「でも大丈夫、”カド二ウム弾”を持っているの」

 アイテムボックスから取り出す。


 ”大都市防衛用移動要塞”の後部に装備されるミサイルランチャーに装填された。


「ゆっくりと、顔の前に回って」


 グルル


 モニター一面に、”() ッド・ () -二アス・ド () ゴン”の顔が写る。


「照明弾、今っ」


 シュパアアアア


 周りが明るくなる。


 ゴ〇ラが上を向いた。


「カド二ウム弾、撃て」

 狙いたがわず、() ッド・ () -二アス・ド () ゴンの口に入る。 


 ゴロゴロゴロ

 () ッド・ () -二アス・ド () ゴンのお腹から音がする。

 () ッド・ () -二アス・ド () ゴンは、その場にへたり込んだ。


「やったああああ」



 ”ツインテールキャット”は、”KAINUSI”達に追いつき、トーキオの近くまで来ていた。


『面白そうなことしてるじゃな~い』


 モニターには、カドニウム弾を撃ち込んでいる”大都市防衛用移動要塞”が映っている。


『……我慢できない……』


『熱核ミサイル(核爆弾)』


「待つにゃあああああ」


『くふふ、発射、W』 


 キノコ雲は、おきなかった。


 全ての熱量、エネルギーが、() ッド・ () -二アス・ド () ゴンに吸収される。


『くふふふふ』

  

 () ッド・ () -二アス・ド () ゴンが、復活した。



「何が起こったああ」


 ”大都市防衛用移動要塞”のすべての計器が警告音を出している。


 時々ノイズの走る、モニターには、怒り狂った() ッド・ () -二アス・ド () ゴンの顔のアップが映っている。


 開いた口には青白いブレス、背中が青白い光で点滅していた。


「退避―」


 城壁の陰に隠れる。


 ドゴオアアアアア


 ”大都市防衛用移動要塞”は城壁を貫通したゴットブレスの直撃を受け、ふらふらと落ちて行った。



『今よ~』

 ”ツインテールキャット”は、大都市トーキオの四分の一をソニックブームで掘り返しながら、() ッド・ () -二アス・ド () ゴンに、飛び蹴りをくらわす。 


 () ッド・ () -二アス・ド () ゴンが吹き飛んでいった結果、都市の半分が掘り返された。


 グルア


 () ッド・ () -二アス・ド () ゴンの目が、(卑怯なっっ)と語っているようだ。

 立ち上がろうとした、() ッド・ () -二アス・ド () ゴンに、


『フルバレルオ~プン~』


 ”ツインテールキャット”に搭載される全ての火器が、一斉に火を噴いた。


 グウアアアア


 火力だけで、() ッド・ () -二アス・ド () ゴンは、ズルズルと後ろに押し流される。


『そろそろとどめね~』

 

 ピロピロピロピロ


 三つ首の竜の口から、金色の怪光線が放たれる。


 () ッド・ () -二アス・ド () ゴンの体の表面を、走り回った。


 グルルルル


 () ッド・ () -二アス・ド () ゴンは倒れて動けない。



『ふふふん~』

『トラクタービーム”マネキネコ”作動』


 都市の裏山の火山口に、ゴ〇ラを放り込んだ。



「……………………」


 ”アレクとゆかいな仲間たち+ネコ”は、泣き続けるネムリネコを、円陣を作ってかばいながら、ナビゲーターを睨みつけている。


『な、何よ、スキルのレベルが上がったのよっ』

() ッド・ () -二アス・ド () ゴンも倒してあげたじゃないっ』


 アレクたちは、トーキオを振り返る。

 半分が壊滅で、半分が大破と言った所か。

 避難する住民の列が長く続いている。


『何も、悪いことなんかしてないんだからねっ』


 ナビゲーターは、”ツインテールキャット”をアイテムボックスに収納した。


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