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前編

“ナビゲーター”のベースは、この世界を創った女神。

 周りは、見渡す限りの砂漠である。


「置いて行かれたにゃ~~」

 猫系獣人である、”ネムリネコ・ネムネム”は大声を出した。

 黒くて三角の猫耳が、ピコピコ動く。


 ”寝坊”だ。

 目覚ましを、かけ忘れたらしい。

 もう昼過ぎである。


 でも、


「にゃご、にゃご、すう、すう」

 そのまま、ネムリネコは、身体を丸くして、二度寝してしまった。



『”置き去り“の回数が規定値を越えました』


『チートスキル、”迷いネコ”が、”完全自律報復型、移動要塞、クレイジーキャット”に進化します』


『ふふふ……また置き去りですか』

『いつものように、()()()の元に帰しますね』


 ホログラフで現れた、ナビゲーターが、少し笑いの含んだ声を出した。

 全体が少し透けて透明になっている。

 白いトーガのような服を着た、とんでもない美女だ。 


「ニャーゴ、ニャーゴ、ス~、ス~」

 返事がない、眠っているようだ。 



「あんな役立たずの荷物持ち、パーティーから追放だっ」

 リーダーで戦士のアレクだ。


「うへへへへ、”死の砂漠”のど真ん中に置き去りにしてやったぜっ」

 シーフのゲンゴローである。


「そうよ、そうよ。 いい気味よ。サンドワームの群れに、食べられてしまえばいいのよっ」

 女魔術師のマリッサだ。


「今度は、少しはまともなのを仲間にしましょうっ」

 女司祭のシスティナである。


「使えない、本気で使えないっ」

 モンクのフルードだ。 


「……何もしませんですものね……」

 エルフのエルファフィンである。


「食事時にはちゃっかり居て、しっかり食べていくな」

 ドワーフのドワイトだ。


「……寝ている姿と、ご飯食べている姿しか見たことない……」

 ハーフリングのハフアである。


「経験値もしっかり持っていかれておる」

 ドラゴニュートのバハムだ。


「あんなのと一緒にするな」

 猫系獣人のニャンタである。


「この荷物、持ちますね」

 荷物持ちのポータだ。


 死の砂漠を、6輪の砂漠用装甲車が疾走している。

 ネムリネコを、わざと砂漠の真ん中に置き去りにしたのだ。


 今、パーティー”アレクとゆかいな仲間たち”は、ネムリネコから必死に逃げていた。



 ネムリネコは、ある事情から、一日の大半を寝て過ごしている。


 ではなぜ、”アレクとゆかいな仲間たち”が必死に逃げているかというと、

 全ては、チートスキル”迷いネコ”のせいだった。



 チートスキル“迷いネコ”


 ”飼い主”と設定した相手の元に、帰るだけのスキル。

 他のチートスキルと同じように、”ナビゲーター”がついた。



『おやおや、ついに来ましたか』

 ”ナビゲーター”が周りを見渡す。


 死の砂漠のど真ん中。

 ネムリネコの眠るテントのまわりを、サンドワームの群れが周囲を囲む。


 テントは、パーティーが残してくれたのだ。

 水と食料も、そっと置いてくれている。


『くふふふふ、スキル“クレイジーキャット”発動』


 辺り一面が急に暗くなる。



 完全自律報復型、移動要塞、高速飛行巡洋艦、”クレイジーキャット”


 チートスキル”完全自律報復型移動要塞、クレイジーキャット”LV1、で呼び出される高速飛行巡洋艦である。


 凹凸のあるグラマラスなボディに、x字に配置された後部メインジェット。

 丸みを帯びた艦橋に、艦体には内臓火器が、大量に配置されている。

 最も特徴的なのが、前部に配置された()()()()()と後部の()()()退()()である。

 (不思〇の海の〇〇ィ〇の、ノー〇〇〇号、後期型を思い浮かべていただければ、幸いです)

 


『来たキタきた~』

 砂漠の上空に滞空する、”クレイジーキャット”のブリッジである。


 真ん中に円形の魔法陣があり、ネムリネコが、テントと食料と水と一緒に転移されている。

 

「にゃっ、ニャッゴ、ニャッゴ。ス~、ス~」

 返事がない。眠っているようだ。


 ”ナビゲーター”が、艦長服と艦長帽を着て、艦長席に座っている。

 ホログラフなので、ナビゲーターと服は、うっすらと透けているが。


 ”クレイジーキャット”の作る影の中には、サンドワームが約20体ほどいた。


 突然消えてしまった獲物ネムリネコを、探しているようだ。


『くふっ、敵意ありと判断』

『ナビゲーターの判断で、報復攻撃に移ります』

 一応、ネムリネコに報告しているようだ。


『対空用レーザー機銃展開、一斉射』

 艦体の斜め横から、対空機銃が複数出た。

 音も無く光の線が、雨の様にサンドワームを襲う。


「ギッ、ギイイイイイイイイ」


 外部集音器から、サンドワームの叫び声が聞こえる。


『おや、結構残りましたねえ』

『樽爆弾用意、投下』


 ヒュルルルル、ドカドカドカーン


 下部爆弾槽から投下された、黒色火薬を使用した樽爆弾が、地上を穴だらけにした。

 煙がすごい。


『動体反応なし、報復完了』

『さてと……』

 正面のモニターには、付近の地図と、固まって高速移動する、青い十一個の丸が写っている。


 線が伸びて、”KAINUSI”と表示されていた。


『そこですか…… 』

 ”ナビゲーター”は艦をそちらに向けた。


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