表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東海ミリタリー列伝  作者: 北方宗一
2/2

第二回 自衛隊新型小銃に寄せて

自衛隊が新型小銃をお披露目しました。

自衛隊のアサルトライフルは愛知県清須市、名古屋鉄道須ケ口駅隣に本社・工場を置く大手機械メーカー豊和工業が一手に生産、重整備を行っています。岐阜方面から名古屋以南に通勤する名鉄ユーザーにとっては毎朝見る車窓ですね。

そこでツイッターで「#週刊安全保障」に投稿した内容を加筆訂正してここに記そうとおもいます


自衛隊の新型、20式5.56ミリ小銃。不明瞭な試作品の画像公開以来分析を続けてまいりました。

ご存知の通り、先代の89式5.56ミリ小銃は弾薬転換をなしたものの早々に陳腐化、ポスト冷戦時代の潮流変化にも不都合が多かった銃でした。

89式が陳腐化した原因は長い銃身、独特なセレクター、動かない銃床、作られないレイルでした。20式はこの30年、激震の平成を89式で耐えたことで得られた知見を強く感じさせる設計です。「今ある銃と並ぶ」のではなく、「今後の銃に指し示す」側に回りました。10式戦車程じゃないですが。

バレルは89式が16.5インチなのに対しより短いものになっています。推定で14.5インチ。米軍の主力であるM4と同級でしょう。バレルは交換が89式より楽にできるとされるので10インチ程度のモデルの展開や.300BLKや6.8ミリSPCなどのSTANAG弾倉対応弾にコンバートも期待できます。

セレクターは64式以来の「ア・タ・レ」。3点射が徴兵した兵士の撃ちすぎ防止でできた経緯から考えると志願制の自衛隊にはメリットが薄く、また、最後のモードへの転換にも苦労した事実も廃止を後押ししたのでしょう。現に、セレクターの最大角度も小さくなり、アンビ化もされています。

銃床はテレスコピックにチークパッド可動でFNハースタルのSCARやMAGPUL MASADA/レミントン・ブッシュマスターACRを彷彿とさせますが、折り曲げヒンジが見当たりません。89式の頃にはFNのFNCやSIG SG550に採用、後にG36にも標準採用され広く普及した機構のであり、89式にも空挺や戦車乗員、海自臨検隊、海保SST、警察のSATが導入しているものは銃床に折り曲げヒンジがあるものです。過去に試験運用したAR-18の折り曲げヒンジの弱さからでしょうか?一応、米軍が過去試験したH&K XM8も折曲銃床ではありませんが89式から改善されなかった部分ですね。

銃本体、アッパーレシーバーの上部には20ミリピカティニー規格レイルが刻まれています。ハンドガード側面と下方にははMAGPUL社が開発した無料ライセンスのM-LOK規格拡張ホールが刻まれています。

公開された銃のM-LOKにはMAGPUL社製金属3スロットピカティニーレイル、同MAGPUL社製パラクリップスリングマウント、詳細不明だが米ストライクインダストリー製と思われるレイルカバーがついている。トップレイルにはディオン光学技研のマーチ-F コンパクト 1x-8x24 ショーティの可変低倍率スコープが付いている。

B&Tのグリップポッドもレイルを介して装着されている。M-LOKの利点は軽量、確実、コンパクト。既存の4面レイルハンドガードは重く太くなり、レイルによる受傷事故の発生や無駄なレイルの存在、アタッチメントなしだとまともに握れないという重大な問題があった。しかしM-LOKは穴なのでレイルに比べ軽量、安全、スリムで無駄がない。アメリカ軍の特殊部隊にもM4用M-LOKハンドガードが採用されています。

類似規格のKeyModに比べ強度に優れており、取り付け取り外しも単純、アタッチメントの前後を気にしなくてもいいのも特徴。ライセンスが無料であり日本国内でもすでに相当数のオプションパーツが流通している上に遊戯銃メーカーも多数が採用しているのでコストが小さい。

このようなピカティニーレイルの拡張モジュラー規格の全面採用は先進国でもかなり早い。英国のL85A3のHKey採用に続きます。

ロアレイルは以前の画像では最前縁は削り出しレイルに見えていました。バイポッドのためにそうしているのかと思われましたが、実際にはロアレイルはすべてM-LOKとなっています。M-LOK規格のバイポッドやバイポッドアダプタも存在するため、奇妙な構成を回避できてよかったと思います。

弾倉はお披露目されたのはMAGPULのP-MAGですが国産品を使うという話がありました。詳細は不明ですが、ライセンス生産の可能性もあります。

グリップは米BCM製のGunfighter Mod3です。比較的垂直に近く、近年アメリカで軍民問わず人気のグリップアングルで日本国内でもエアガン向けに同型のグリップが相当数流通しています。(私もも持って使用しています)AR-15のグリップ規格を採用したと思われ、もしかしたらグリップを交換する人もいるかもしれません。

あと、フラッシュハイダーがサイドポートからバードケージになり反動も大きく変化するはずで。気になりますね。

各操作系がアンビ化され、採用例の少ないモジュラー企画も採用した世界最先端の小銃、それが20式小銃に対する所感です。あとはどこまでが隊員個人で拡張できるのか。そこが気になるところです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ