第6話 完封
「ごめん~」
「よぉ~、来たか」
「何の用?」
「それはご挨拶だが、ちょっと遊んでもらうぜ」
あの日から2日。
僕はその指定された空き倉庫に単身立っていた。
奥の方でゴミの山が崩れたのかイスのようになったくぼみにふんぞり返った男が、部下らしきものたちに指示をする。
「それじゃ、お手並み拝見と行くぜ、『渦間のアシャラ』サマよォ」
「遊ぶ時間はないんだが・・・仕方ない」
指や肩を鳴らし、腰を落とす。
「ウラァァァァァァ」
「喰らえええええ!」
「・・・」
大振りなんのは結構だが、腰が入ってない。
スローにすら見える。
何ならハエの方が早いぞ。
「遅い」
「「「「「・・・・」」」」」
「ま、マジかよ・・・」
僕が一言発すと次の瞬間、僕を囲んでいた全員が鳩尾を抑え、崩れ去った。
「さてと、何の用?」
「あんたと戦いたかっただけだが?」
「それでチンピラをあおって麻衣を犯すように言ったか」
「おうよ、そうしたら面白そうだったからな」
「そうか、面白かったらいいな」
今度はボスらしき奴も立ち上がり、一斉に駆け寄ってくる。
ッパァン!ッドン!ガシャァァン!!ットン、ガスッ!
手刀を首筋に入れたり、鳩尾に入れたり、体重移動によるタックル。
囲まれていても、こういった連中は団体でないと攻撃を仕掛けない。
大抵は、途中から腰を抜かす。
「やっぱりなぁ、つえぇ」
「そりゃどうも、すぐに終わらせる」
「ヒュヒュゥ、それじゃぁ遠慮なく」
顔面を狙ったストレートが飛んでくる。
俺は右に体を反らし、背負い投げ。
すぐに受け身をとり、ファイティングポーズを取り直す。
今度は蹴り技も入れた連打。
早いし鋭くはあるが、しかし、軽い。
攻撃を受け流しながら進み、近寄る。
そのままゼロ距離から、振りかぶった一発を入れようと振りかぶる。
ねじりの入った拳は、そのまま顎に吸いこまれたように入り、ボスの体を吹っ飛ばす。
「よし、帰ろう」
何事もなかったように帰ろうとすると、
「待て」
「なんだよ・・・帰らせて・・・」
「頼みが・・・あります」
「今度聞く、今はヤダ」
一刻も早く寝たかった。
ちなみに本日は、木曜の12:00である。