プロローグ
残酷な描写あり、R15は保険です
椅子とデスクしか置いていない空間にメガネをかけた女が書類に何やら書いたり、判子を押したりしている。いかにも仕事中の様子だった。
「あれ? ここはどこ?」
突如、女と対席の誰もいなかった椅子に1人の男が現れた。男はびっくりしたと言わんばかりの顔で周囲を見回している。
「俺は確かに……」
「そう、あなたはもう死んでいる」
女は男に目もくれずに仕事しながら淡々とした口調で男の自問自答に答えた。
「そうか、やはりそうだったか」
「……」
男はしょんぼりしていても、女は慰めることなく依然と書類に集中している。
「じゃぁ、何故俺はここにいる?」
しばし感傷にひたっていた男は思い出したかのように女に聞いた。
「説明する暇なんてないけど、規則だからしなければならない、簡単に説明する。あなたにある人を守ってもらうが、あなたの人格、感情、願望などはすべてこっちが支配する。それはあなたの使命であり、罰だ」
「罰だと! なぜ俺は罰を受けなければならないんだ。俺は悪いこと何一つもしていないのに」
女は男の問いかけと全然違う説明をしたが、男は罰という言葉を聞いてまるで電撃をくらったような反応速度で不満を言った。
「あるだろう自殺……いや、あなたの場合は自裁というべきか」
「それは……」
「たとえ自裁を強要されても生き延びる努力はするべきだ。あなたはそれができなかったから自殺という罪を犯した。罪を犯した以上は罰を与えるまでだ」
「ッ……」
女は反論の隙を与えずに男を論破したようだ。その証拠に男は俯いて何も言わない。
「話はもう終わりだ。こっちも暇じゃないからさっさと行きなさい」
女は見ていた書類をまとめて次の書類を手にとった時、男は現れる時と同じように突如消えた。