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処刑された賢者はリッチに転生して侵略戦争を始める  作者: 結城 からく
第七章

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第276話 賢者はこれまでを振り返る

 あれから様々な出来事があった。

 最も大きな変化を挙げるとするなら、世界構造の一新だろう。


 端的に言うと、私は世界をいくつかの区画に分断した。

 区画ごとに担当の魔王を配置したのである。

 それぞれを一つの世界と見なして、平和を目指して管理させている。


 各区画の魔王は、主に幹部達が担っていた。

 私やグロムもその中に含まれている。


 魔王は複数の観点から評価されて、その得点から序列を付けられていた。

 グロムが自慢する"序列二位の魔王"とはこのことだ。

 一位は私だが、実際のところはあまり意味はない。

 序列が優劣に直結するわけでもないためだ。

 これはあくまでも、各魔王が今後の指針に役立てるためのものであった。


 なぜ私は世界を分断したのか。

 それは、平和について色々な可能性を模索したかったからだ。

 複数の魔王が、己の思考を基に世界の行方を定める。

 そうすることで未来の閉塞を防ごうとしたのであった。


 私は自らの考えを最適解だとは思わない。

 だからこそ、こういった試みが必要だった。

 世界を分断すれば、その数だけ挑戦が生まれる。


 悪く言えば実験だが、私はそれでいいと思っている。

 理想の実現を長い目で見ることにしたのだ。


 世界平和とは、非常に難しい課題である。

 五百年を費やしても、未だに答えが見えないほどだ。

 きっとそのようなものは端から存在しないのだろう。


 だから焦らなくていい。

 悠久の時を生きながら、より良い未来を探ることにしたのだった。


 余談だが、世界の意思は消滅した。

 あの人と共に死を迎えて、以降は不条理な奇蹟が観測されない状態となった。


 ただし、ここ数年は少し怪しい。

 世界の意思らしき現象が、散発的に生まれるようになっていた。

 まだ規模自体は小さいものの、確実にそれと思しき出来事が起きている。


 世界の意思は、人々の願望から生まれている。

 人類が存続する限り、何度でも蘇るものなのだ。

 それこそが世界の意思であった。


 不確定要素として破壊しようとしたが、私の考える以上に問題児だったらしい。

 世界に根付く法則は、そう簡単に塗り替えられるものではないと分かった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とりあえず五百年は稼ぎましたか 文明が進歩して核クラスの滅亡手段が生まれてからが本番でしょうか その内宇宙への進出も始まるだろうし舞台が天体規模になった時どうなるのか [一言] 死者の谷や…
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