第5章 生還
朝起きるとベットは血に染まっていた。
体は言うことを聞かず動かない。それでも何とか今の状況について知りたかった俺は力を振り絞ってあたりを見渡した。
そこは10畳くらいの部屋で誰もいない。耳を澄ませてみると何か音がする。これは水の音だ。外は雨でも降っているのか?しかし窓からは日光の光が床を照らしている。となるとにわか雨か?いや、違う。これはどこかで聞いたことのある音だ。だとするとあとは何がある?頭の中を整理してみよう。
音に関する隼太の記憶
・雨
・滝
・水道
・シャワー
ん?シャワー?待てここは部屋ということは分かったが今どんな状況なのかをまだ把握してなかったな。昨日は東京にいた俺が冗談半分で異世界を買ったら異世界に飛ばされ、メグにあった。そしてその後に北の街ルーラッタに来て、変な人と会って、何かを依頼された。そして雲ゆきが怪しくなり宿を探すことになって・・・・・はっ!?思い出した!!部屋に来た俺はなぜかメグが暴走しておれが死にそうになったんだった。それでその後俺はどうしたんだったか....。
記憶があいまいな状態で頭の中でクイズを答えていた隼太だが、そこに突然答えが現れた。
「あら、隼太起きてたの?目が覚めないから死んだのかと思ってたわ」
なんてひどいことを。出血多量以外には何も問題ないというのに。
「あら、朝は興奮して鼻血を出さないのね?昨日は死にそうなくらい出してたくせに。」
「やっぱお前のせいかよ!!こちとら朝から動けなくて本当に死んだんじゃないかと思ってたんだぞ!ってかまず服を着ろ!!」
頼むからマジで服を着てくれ。じゃないと本当におれは死ぬ。
「わかったわよ。わかったからあなたも早く準備しなさい」
「わかってる。でも動けないからもう少し待ってくれ」
「ああ、そうだったわね。はい。これ飲んで」
そう言って渡してきた。
「これは?」
「回復薬よ」
「なんでもってるの?」
「なんでってそりゃあ買ったもの」
「え?お金は?」
「もちろんあるにきまってるでしょう。私だってお金くらい」
「な、なんで?」
「なんでって、それはあなたももらった通り最初のチュートリアルを終わったときに1000Gもらって、暇だったからそこらへんにいるモンスター倒して回ったからお金ならたっぷりあるわよ。」
頭が考えるのをやめていた。え?ちょっと待ってくれ。おれはなんでこんなにもかわいいが頭のおかしいやつと一緒の部屋にいるんだ?
「俺の記憶が正しければ昨日の夜。金がなくてしょうがなく一人部屋で二人泊まることになったんだよなぁ?」
「ええ、そうよ」
「じゃあなんで昨日お金払わずに一緒の部屋にしたんだ?」
「え?それはもちろん隼太ともっと遊び...じゃなくて隼太のことを知りたかったからよ」
おいおい待ってくれよ。遊ぶってなんだ?初対面でお互い何も知らないような状態で遊びたかった?遊ぶってもしかして昨日のことか?だとしたらふざけるな。あいつの遊びのせいで俺は死にそうになったんだぞ。(まあ、ただおれの妄想がゆたかなだけなんだけど)
「ふざけんなよ。お前のその好奇心のせいでこっちは死にそうなんだよ!」
「・・・・・ごめんなさい。私の好奇心のせいで迷惑かけちゃって。今度からは気をつけるわ」
メグは泣きそうになりながらこちらを見て謝ってきた。こんなこと言われながらそんな顔されたらおこりずらくなるじゃないか。まあ、今回は俺も俺で反省点があるのに一方的に怒っちまったしな。
「悪かったメグ。ちょっと言い過ぎた。」
「いいのよ気にしないで。私もあなたに嘘をついてしまったのだから」
「そういえば、お前の所持金ってどのくらいあるんだ?」
「100G」
「嘘をつくな。正直に言え。言わないとこれから先はおれ一人で行くからな。」
「むぅ。わかったわよ。正直に言うわよ。驚かないでね」
「こんなんで驚かねぇよ。いくらなんだ?」
「3000000Gよ」
思わずpれは回復役を吹いてしまった。
「3000000G!?そんな金どこで拾ったんだよ!?」
「夜の営みに決まってるじゃない」
「ぐおっは!」
夜の営みと聞いてまた鼻血があふれてきた。昨日から鼻血を流しているので大量出血により意識がもうろうとしてきた。あぁ。目の前にお花畑が見える。しかも、死んだはずの芽衣がいる。もうすぐおれも死ぬのか。いい人生だった...
「ちょ、ちょっと大丈夫!?とりあえずこれ飲んで」
俺ははメグに無理やり飲まされ一命をとりとめた。
「し、死ぬかと思った。」
「まったくあの程度の冗談で死なないでよね」
「冗談でも言っていいことと悪いことがあんだろ!!」
「だってまさかあんな冗談を真に受けると思わなかったんだもの。」
「男ってのは単純な生き物なんだよ」
「あら、なら今日の朝食ハ〇ルの動く城に出てくるような目玉焼きの上にベーコンをのせた単純なものなんだけといいかしら?」
「確かに飯は単純で美味そうだけど、なんでハ〇ルなの?ラ〇ュタとかでも良くね?むしろラ〇ュタの方好きだし」
「だって私好きだもの。ハ〇ル。空中で歩くとか凄くない?」
「確かに凄いけど飯関係なくね?てか、ハ〇ルって、名言とかも少ないよね?なんかあったっけ?」
「あるわよ。バ〇スとか」
「それラ〇ュタじゃねえかよ!」
「他には(人がゴミのようだ!)とか」
「だからラ〇ュタじゃねえか!」
「まあ、こんな事はどうでもいいから早く食べて。東にいるボス倒しに行かないと」
「そうだな。とりあえず話は進めないと行けないからな」
こうして、夫婦漫才のような朝を終え、東へと進んだ。