第4章 暴走
「日も暮れてきたし、一泊してから出発しない?」
この言葉が後に俺を殺しかける言葉になるとは思いもしなかっただろう。
「そうだな。雲行きも怪しくなってきたし」
「それじゃ、宿探すのお願いね。」
「やっぱやんのは俺かよ」
そうは言いながらもパッドを開いた。
「この辺の宿って言ったら一個しかないんだけど。」
「まあ、しょうがないわね。雨が降る前に行きましょう」
「いくらなんでもものが少なすぎだろ...」
とか、文句を言いながら俺たちは宿に向かった。
~ 宿 ~
「ここが宿か。思ってたよりは立派だな。」
「そりゃそうでしょ。いくら医学が発達しているとは言っても宿くらいはちゃんとしてるでしょ。」
「そうか?まぁ中に入るか。」
俺たちは宿の中に入った。入ってすぐの右手に受付カウンターがあった。
「すみません。部屋空いてますか?」
「はい。一人部屋が二つ、二人部屋が一つ空いています。」
「じゃ、二人部屋をお願いします。」
「かしこまりました。料金は2300Gになります。」
「へ?2300G」
「はい、2300Gです。」
「ちょっと待ってくれ。所持金が足りない。もう少し安くならないか?」
「いえ、そのようなことはやっていません。ちなみに所持金はいくらですか?」
「1500Gだ」
「1500Gですか。それでしたら一人部屋なら泊まれますよ。一人部屋でも二人で寝られますし。」
「ちなみに一人部屋は何Gなんだ?」
「1300Gとなります。」
「1300Gか...・もしこれを拒否したらどうなるんだ?」
「その際は残念ですがお引き取りしてもらうしかないです。」
「どうしたもんか・・・」
ここでようやくメグが口を開いた。
「私は一人部屋で構わない。定員さん、一人部屋をお願い。」
「あ、はい。それでは1300Gになります。」
「ちょ、ちょっと待てメグ。いいのか?」
「なにが?」
「い、いや、その、男と女が同じ部屋ってのはいいのかって思って...」
「それを言ったら二人部屋だって同じじゃない」
「そりゃそうだけど...」
「いやなの?」
嫌ってわけじゃないんだが、メグにはもうちょっと恥じらいを知ったほうがいい。じゃないとこの先俺がやばい!
「それに、あなたのこともう少し知りたいしね」
「へ?」
「お待たせしました。こちらがカギになります。ごゆっくりお過ごしください」
「行きましょう、隼太。」
「お、おう。」
メグの言葉に動揺しながら部屋に向かった。
「ここが私たちの部屋ね。]
「案外広いんだな」
「そうね」
部屋には風呂場やロッカーなど一通りおいてあった。そして一通り見た後に荷物をまとめた。
「それじゃあ私はお風呂に入ってくるわ。あなたも一緒に入る?」
「・・・・・は?」
「冗談よ。言ってくるわ」
「・・・・・」
人をなんだと思ってるんだろうか?今日初めて会ってあんなにからかうことはないんじゃないか?しかも今ちょうど思春期を向かえている男子大学生だぞ?(まあ、まだ大学に入学はしてないけど)あんなこと言われたら俺の精神HPが一気に回復しちゃうじゃないか!あとでお返ししてやる!!
などといろいろなことを考えていると、風呂場からメグが上がってきた・・・・・。裸で。
「お、おお、お前服着ろよ!!」
頭がこの事態に処理しきれず鼻血が出てしまった。
「なによ、ここに忘れちゃったんだから仕方がないでしょ。」
「なんで持ってかなかったんだよ!?ってか早く着ろよ!!」
「わかってるわよ。まったく別に見たって減るもんじゃないんだし」
それが減るんだよ。俺の血液が。
「もう、着替えたからいいわよ」
「よかった。このままじゃ何にもできないからな...って!!?」
そこには下着姿のメグが立っていた。
「なんでまだ着替えてないんだよ!?」
「着替えてるわよ。私寝るときはいっつも下着で寝てるのよ」
「・・・・っ!!」
またも鼻血が出てしまった。さっき止まりそうだったのに!
「まだ鼻血でてるの?早くとめなさいよ」
「お前のせいだよ!!」
「私のせい?私何かしたかしら?あ、もしかして変なこと考えてるんじゃない?この姿見て。」
っつ!!?図星だと!?
「そ、そんなことないって」
「その様子だと図星のようね。まぁいいわ。早く寝ましょう。」
やはりこの女は何考えてるか分かんねぇ!気を付けねぇと大量出血で俺が死んじまう!!
「あなたはベットで寝て。私は床で寝るから。」
「いや、待て。俺が床で寝る。女が床で寝るもんじゃない」
「いえ、あなたがベットで寝るべきだわ。モンスターであなたは勇者。モンスターっていうのは勇者のペットみたいなものなの。だから私が床で寝るわ。」
「あ、じゃ二人でベットで寝ようぜそうすればいいだろぅ・・・・・」
・・・俺は何を言っているんだろう・・・・。こんなこと言ったら俺ただの変態じゃないか!!?メグだって引いてぇ・・・・ない!引いてないしなんか若干笑ってるし!?でもこんなの絶対ダメだろ!?ああ、俺の人生はここで終わるのか....。ありがとう東京。俺を異世界につれ来てくれて。そしてさようなら異世界。
隼太は頭の中で走馬灯を描いていた。しかし
「いい意見ね。そうしましょう。そうすれば口論することもないわけだしね。」
メグは隼太の意見に賛成した。
「お母さん生んでくれてありがとう...。って、え?」
「寝るわよ。明日は早いんだから。」
「あ、お、おう。」
そうして俺はベットに入った。そしてさらにメグが入ってきて俺に追い打ちをかけてきた。
「どう?直は素早いでしょう?暖かいでしょう?柔らかいでしょう?」
こんなん反則だろっっ!!?
「なんだか昔みたいね。」
「え?」
「なんでもないわ。早く寝ましょう」
こちとら鼻血抑えるのに必死でなんも聞こえないんですけど!
とはいえメグはそのまま眠りにつき、瀕死の隼田太も何とか眠りにつくことができたらしい。そして明日を迎えることとなった。