第1章 奇跡
「異世界」
それは,文学的空想における異世界alternate (other) worldと数学の次元概念dimensionとを合成した造語で,正しくは高次元的に存在可能な別世界とでもいうべきもの。この世界とは違う世界のこと。
皆はこのような世界に行きたいと思ったことはないだろうか?例えば,先輩や先生,会社の上司に怒られた時。自分が大きなミスをしてしまった時。どこかに逃げ隠れたいという時。異世界に行きたいとは思わないだろうか?世界の約80%は行きたいと言うだろう。俺もそのうちの1人だ。
俺は線路もコンビニもスーパーマーケットもない超ド田舎に住んでいた。しかし,こんな所はもう勘弁と思い高校生の時,大学に進学することを決めた。そして高校を卒業し,俺は晴れて東京の大学へ進学することになった。一刻も早くこの街から出たかった俺は,入学式1ヵ月前にも関わらず,東京へ上京した。憧れの東京に来て,俺はもっと東京について知りたいと思い東京を散策した。散策している途中で奇妙な本を見つけた。それは「異世界に行きたくなる本」という題名の本であった。
俺はその本に興味を持ち買ってみた。他にも大学生活に必要なものなどを買い揃え散策を終えた。マンションへ帰り、早速「異世界に行きたくなる本」を読んでみた。そこには、異世界のありとあらゆる事が書いていた。空を飛ぶドラゴンや魔法使いの話。他にも、この世界ではありえないことばかり書かれていた。そして俺は目を疑うような文章を見つける。
・異世界に行く方法
「通販サイトで買う」
こんなばかばかしいことがあるわけがない。最初はそう思っていた。しかし、行ってみたいという気持ちはあった。そんな葛藤をしているうちに時計は12時を回っていた。
「今日は寝て明日また考えてみるか」
そして僕は眠りについた。
翌日、朝起きようとすると体にだれか乗っているかのように体が重かった。無理して起き上がり、熱を測ってみると、40度近くの熱があった。昨日の散策の疲労がいつの間にか溜まっていたのである。
「しょうがない。今日はゆっくり休むか」
再び布団にもぐりこんだ
「そういや、通販サイトで異世界を買うとか書いてたな。探してみっか。」
こうして俺はスマホを手に取り、いろいろと調べた。そして、ネットフリーマーケット「ネリ
カリ」で調べていると、驚愕した。
・異世界 勇者編
・異世界 モンスター編
・異世界 敵編
本当にあったのだ。しかも108円で!俺は驚き過ぎて声も出なかった。「購入する」このボタンを押すだけで俺は異世界に行ける。しかし、これは誰かが作ったでたらめかもしれない。そう思いつつ俺は葛藤した。
「ま、まあ108円だし、今やることなくて暇だから買ってみてもいいか」
そして俺は「異世界 勇者編」を購入した。その瞬間スマホが光出した。
「な、なんだこれ!?」
スマホの中からロボットのような人が出てきた。
「ご購入ありがとうございます。料金はあちらで支払っていただきますので今は私についてきてください」
そう言って俺はスマホの中に吸い込まれていった。