魔王
また、話はウォーカーに戻ります!
ガタガタという音をゆっくりと響かせながら、馬車は出発地から一日その背に二人の男を乗せながら移動していた。
「なぁ?気になってたんだけどよぉ?お前のそのヒトガタ、名前はなんて言うんだよ?」
一日以上魔王のどこが素晴らしいかを語っていた、ベルクがようやくまともな会話をしようと発した一言である。ちなみに、ベルク自身には魔王の魅力について語っている時間が一日以上だとは気づいていない。
「はぁ、ようやく、魔王のの話から、まともに会話する気になったか」
そういって、やれやれな空気を醸し出しているのは心なしか、竜戦よりもげっそりした様子のウォーカーである。
「なんだとぉ?俺はまだまだ話したりねぇのに先に寝たのはどっちだ!
そうだ!こいつを、ゆってなかったぜ!くれぐれもだな、魔王様のお嬢様にはだな「おうこら、ベルクよぉ、俺のヒトガタはいいのか?」ット、いけねぇや、そうそう、で、お前のヒトガタの名前は何なのよ」
「、、、ねぇ」
「ねぇ?なんだお前にしちゃ珍しい言葉の使い方じゃねぇか、なんだゆってみろ、ねぇ、、、なんだ」
「だから、ねぇんだよ!なまえが!!」
「知ってんだよ!!そんなことはぁ!!!聞き間違いかと思って聞き返してやったんだろガァ!?」
「仕方ねぇだろ、こいつはきずいたらいたし、名前を俺が決めるもんかどうかわかんなかったんだからよぉ」
「はぁ?こいつはぶったまげたぜ、あのなぁ、そのヒトガタはだなぁ真の強者だけが扱えるもんなんだぞ。
仮にも、お前はその一人なんだから名前くらい付けろよぉ、われらが魔王様のヒトガタの名前なんか{ブィ}」
ガタン!!!
「おっと、どうやらついたみてぇだな?」
「あい、ちょっと待てベルク、もう少し詳しく話が聞きてぇんだが」
ウォーカーの声はむなしく、先に馬車から出て行ったベルクには届かないのでった。
「おい、なんだここは?」
ウォーカーの降りたそこにはさびれた神殿が鎮座していた。
「ウォーカーウォーカー、こっちだこっち、転移の門はこっち」
「あん?転移の門だぁ?」
視線の先にはウォーカーに向かい手招きをし、神殿の中へと入っていくベルクの姿が。
ウォーカーは訳も分からぬままベルクについていく。
「ベルクよぉ、こんな場所が魔王城っていうならよぉ、俺はあきれてものも言えんぜ?」
「馬鹿!ここは転移の門があるんだよ!魔王城は魔族の最後の砦だからな、人間どもの未開の地に建ててあんのよ、これは魔王城を築かせないようにするためのルート、ちなみに魔族以外は転移の門は使用できねぇんだよ」
「ほぉ、中々魔王っていうのは考えるな」
「おいおい、よせよぉ、照れるだろ?」
「はぁ、てめぇのことじゃねぇんだがな。
まぁ、いいとりあえず早いとこ行こうぜ?」
「おう」
二人は、転移の門の中へと吸い込まれていった。
~魔王城
浮遊感の後ウォーカーの目に飛び込んできたのは、とにかく巨大な城だった。
「こいつぁ、ぶったまげたぜ、亀もひっくり返るくらいになぁ」
「そうだろそうだろ?まぁ、とりあえず!ようこそ!「我が城へ!」魔王城へ!」
「あん?」
「へっ?」
「おう、ようこそ、我が城へ」
「ま、魔王さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!??」
「おう!俺が魔王だ」
そこには、どや顔のハンサムな中年が立っていた。
後ろに、気の強そうな美少女を連れて。