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竜 4

いよいよ捜索に乗り出そうか否かを考え、半ば乗り出す体を夜明けまではと必死に抑える二人の姿が、夜明け前、まだ開かれていないネプンの町のギルドにあった。

一人は、猫科の耳をはやした獣人の少女。

もう一人は、気さくそうに見えるが根は冷静沈着なはずの男。

そんな、二人の沈黙を先に破ったのは男の方だった。


「すまねぇ、ミシャ、俺いくぜ。

せめて、骨だけでも拾ってやらんと」


「ちょっと!ベルクさん!!ウォーカーさんが死んだみたいな言い方はやめてください!!」


ミシャの怒りの声にベルクは静かになだめた。


「分かってる、だけどよ、、、相手が相手だ、万が一があるかもしんねぇだろ?」


「でも、でもぉ、ウグゥゥゥ」


「泣くなよ、俺だって、あいつが生きてると思いてぇけどよぉ、依頼の場所までの距離とかいろいろ込みで考えてもよぉ、もう時間は過ぎちまったんだ」


「さて」と、重い腰をベルクが起こした時だった。


ギィィィィィーーー、、、

ギルドの扉が開いた。

本来はこんな時間には開かないはずのギルドの扉が開きその先に立っている、人物の姿を目にとらえた二人の顔には笑みが自然と浮かんでいた。


「「ウォーカー!!」さん!!!」


「あん?こんな時間に明かりがついてんのはおかしいと思ったぜ、どうやら来て正解てやつだな」


二人はすぐさまウォーカーに近寄るが、明かりに照らされてたウォーカーの姿を見て絶句した。


「ウォーカーさん!大丈夫なんですか!?お、おなかに穴が!!それにこんなに血が!!!」


「ほんとだぜ!?おまえ生きてんのか!?」


「おい、てめぇらよく見ろよ、確かに大事な一張羅に馬鹿でけぇ穴は開いてるがよぉ、俺は無傷だし、この血は乾いてるだろ?」


「確かに、それならいいんですけど、、、てっ!駄目ですよ!!ウォーカーさん結局傷だらけってことじゃないですか!!」


「まてまて!ミシャ!よく見てみろよ!こいつの体、確かにそこらじゅう痛々しそうに見えるけどよ、全部感知してるみてぇだ」


「ほ、ほんとだ、確かに全部乾いた血ばっかりだ、、、」


そんな、二人のやり取りを聞いていたウォーカーは一喝した。


「てめぇら、人のことびっくり人間みてぇに言いやがって、さっきから言ってんだろ!俺は生きてるし、依頼も完了させた!これで文句あるか?」


二人はウォーカーのいつもの強い口調に安心したのか二人は口をそろえて、「おかえり」と告げるのだった。


それから、間もなく、ウォーカーはベルクに依頼物を届けたら、すぐに出発するということを伝え、急ぎ早に朝日の昇る町へと歩き出した。


「(はぁ、本当に娘は助かるのだろうか、、、もしも、幼く命を散らしてしまったら、、、、私は、私は!!)」


日に日に娘の体調が悪くなり死の足音がそこまで迫っているのを感じ絶望にくれるマルの目の前に、希望は立っていた。


「おい、マルさん」


バッとマルがあげた顔の先にはウォーカーが立っていた、その手に竜種のものと思われる角を抱えて。


「あ、ああ、ああああああ!!!それは!それは!」


「ああ、喜びなよあんたの娘はこれで助かるはずだ」


「う、うっぅ、ひっぐ、あり、ありがとうございます!あなたは!恩人だ!」


やっと降りてきた希望に、奇跡に、マルの顔はすっかり涙で濡れていた。

ウォーカーは、そんな様子に普段他人には見せない笑みをこぼすと、泣き顔のマルの手に竜の角を渡すと、その場から歩き出した。


「ありがとうございます!ありがとうございます!!ウォーカーさん!!あなたのお名前は決して!決して!!忘れません!!!ありがとうございました」


そんな、ウォーカーへの感謝の言葉から、一日が動き出すネプンの町の一角であった。



「はい、ウォーカーさん!こちらが依頼の報酬金の金貨五枚です!!」


「おう、たしかに受けとつた」


「ふふふ、ウォーカーさんご機嫌みたいですね。なんかいいことありました?

まさかッ!依頼者の娘さんに惚れたとか!?

だめですよ!そんなこと私という一番がいるんですから!!」


「冗談はその辺にしとけミシャ、そんなことはしねぇし、俺の一番は誰でもねぇよ。

それにそもそも作る気なんかねぇからよ」


「そ、そうなんですか(くっ!ガードが固すぎますよ!ウォーカーさん!)」


「おう、それじゃ、そろそろ行くぜ。

外でベルクの野郎が待ってるからな」


「そうですね、、、ウォーカーさん?またこの街には戻ってきますよね?」


ミシャのそんな問いにウォーカーはしばらく考えたのち言葉を返した。


「そうだな、戻ってくるかはわからんが、寄った時は顔出すよ」


「そうですか!私待ってますから!!絶対来てくださいね!!!」


「お、おう、忘れねぇよ」


「はい!」


そんなやり取りを交わしウォーカーはベルクの待つ馬車の中へと乗り込んでいった。そんな背中をミシャは見守っていた。


「もう、ばか、、、ウォーカーさんは鈍感さんですね、、、。

オシッ!!今日はまだ始まったばかりですよ!!!」


ミシャは今日もギルドの元気娘に戻っていくのであった。



~城の訓練場にて


「君たちには、悲しい出来事かもしれない!しかし、それを乗り越え元である魔族との戦争に打ち勝たねばならんのだ!!」


そこには幾分か人数が減った勇者達の姿と、それを前にして訴えかけるグリフ王国兵の姿があった。






次からは、クラスsideで物語を書かせていただきます!!

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