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竜 3

少し長いです

オオカミの魔物に導かれ、山道に迷うことなく山頂に近づくにつれ確実な強者の気配と薫りを感じていた。

そして、いよいよ山頂の一歩手前というところで、オオカミの魔物は申し訳なさそうにウォーカーを見つめてきた。


「クゥゥゥン」


「ああ、分かってる。道案内の約束だからな、行きな」


「クゥン」


オオカミの魔物はすまないという感情が伝わるような鳴き声を一声上げると、そのまま後ろの霧の中へと姿を消していった。

それを、背中で見送ったウォーカーは山頂へと足を踏み入れた。


山頂の中はこの山がもとは火山で現在はその機能を停止させているのを示すように、クレーター上になっていた。


「なるほど、この花が霧の原因か、、、」


ウォーカーの見下ろす、クレーターのそこには一輪?の巨大な花のようなものが咲いており、またその花には熟れて甘い香りのする謎の果実が大量に実っていた。


「それで、この花の実が気に入ってここにいるってところか?

なぁ?竜さんよぉ」


「グォォォォォォ!!!!」


ウォーカーの声に反応してか否か空から地面に向かってゆっくりとその白銀に煌めく翼を羽ばたかせながら、竜は降りてきた。

ウォーカーはそんな竜の翼の煌めきに半ば感心しながらも内心困惑していた。


「(この依頼のために一通り竜の種類については勉強とやらをしてきたつもりなんだがな、俺の見落としがなければ、、、こいつは未確認種ということになるが、、、、まずいな)」


そんな、ウォーカーの困惑をよそに竜は自身の翼を左右に広げ、両翼に魔力を集中しだした。


「!!まずい、こいつは完璧に未確認種ってやつか!」


ウォーカーが両翼の魔力に危険を感じその場から回避しようとした時だった。


「ガァ!」


カッ!!!!


閃光が両翼から放たれあたり一面を一瞬白い光で塗りつぶした!

その光量は凄まじくとっさにヒトガタでガードした、上からでも透過し数秒の間ウォーカーの視力を奪うほどだった!!


「ぬぅぅぅぅ!まずいことになッッ!!!!」


その一瞬が命取りだった、戦闘という命の酌み交わしの中での一瞬が。

ウォーカーの腹部には深々と翼の一部が突き立っていた。


「グルルゥゥ」


「ガハッ!テ、テメェ!大事な一張羅に穴開けやがって、ガハッ!」


「グゥゥゥオオォォォ!!」


竜はウォーカーの不敵な笑みと態度に激昂し、ウォーカーめがけて角を振りかざしながらとっしんを始めた。


「ヌゥ」


ウォーカーは腹部の激痛を押し殺しながら、その突進を回避し竜の横顔にヒトガタの拳を繰り出した。


「グギャァ!」


「ヘッ、こいつはお返しだぜ」


「ギギギ!!!」


「もう一発くらいなぁ!!!」


ウォーカーは体勢を崩した竜の顔めがけヒトガタの蹴りを繰り出そうとした。

しかし竜は小規模の目くらましを繰り出すと今度は攻撃ではなく後ろへと後退した。

ウォーカーはその姿を追うことができなかった、腹部の出血が限界量に迎え始めていたのだ。


「グっ(こいつはまずった、いよいよ、次あたりで仕留めないと俺の完全敗北!ってやつになるぜ。

野郎はきっと俺がポーションなんぞ飲もうものなら、すぐさっきの閃光を繰り出してくるだろうからな、、、しかし、なぜなんだ?なぜ野郎はあの光の中で自由自在に動けるんだ?あの量の閃光には多少なりとも自身も食らうはず、、、、目が違うとなれば、鼻か?

いや、この周辺は果実の匂いで充満してる、、、「グオォォォォォォ!!」


竜はその場から動かないウォーカーに瀕死の気配を感じたのか、今度こそ仕留めんとばかりに最初の量よりも明らかに多い量の魔力をためだした。


、、、!やろう!そういうことか!!)


カッ!!!!!!


今宵三度目となる閃光が、先の二回目よりも明るく、また神々しく夕日の覗き始めた山の山頂を白く染めた。


ドッ!、、、


何かが倒れる音が竜の耳に届いた。

竜はそれが侵入者の死の音だと確信すると、その肉体を食らおうとまだ視力の戻らない体である部分を頼りにしながら死体に近づいてゆく。

その顔に勝利の笑みをたたえさせながら。


「おい?おれになんかようか?」


「!!!」


竜は理解できなかった!

そこには!なんと、そこには!

自身にとどめを刺されたはずの男の姿が感じられたのだから!


「ふぅぅ、お前のその角。

どうゆう原理か知らんが、ある程度の大きさなら、大まかに感知できる見てだなぁ?

だから、自身の閃光の中でも俺への攻撃ができた?そうだろ?

俺は自分の体位の岩を掘り起こし、その裏に隠れテメェの翼から逃れた。

正直一か八かだった。なんせ魔法なんかがあるような世界だからなそうじゃなかったら、、、、おそらく俺はこうして立ってられなかったぜ」


「グッ!グッオォォォ!!!」


「まぁ、こうして俺が立ってるてことはよぉ?そういうこだよなぁ!!!!!!」


「グギャォォォォ!!!!!」


「ウォラアァ!!!!」


バッキキキキキィィィィンンン!!、、、、


「グギャァァァァァァッ!」


「ハァハァ、これでテメェはもう閃光を使えねぇわけだよなぁ?本来ならここで依頼終了だが、俺は案外キッチリしたタイプみてぇだ。

このまま、殴りぬかせてもらうぜ!

オォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」


「グオォォォォォォン!!!」


竜はヒトガタの拳に殴りぬかれその場にひれ伏した。

もう、二度とは起き上がらないノックダウンである。


「グゥゥ!こいつは本格的にまずいぜ、は、早くポーションで応急処置でもしねぇと死んじまうぜ」


ウォーカーは這いつくばりながら、自分の荷物入れを探すが、出血多量のせいかもう目が見えなくなり始めていた。


「ガハァッ!ハァハァ、もうだめか」


そんなことを覚悟するウォーカーの鼻に本来では信じられないようなことが起きていた!

それは!目の前にあるはずの生肉を食料、それも最上級のものとしてとらえるという生きるための本能的現象が!


「そう、か、竜の肉は、たしか」


気が付けば貪っていた、あたりはもうすっかり暗くあかりなしでのその光景は人にでも見られたらもう町を歩けなくなるような光景だが、それでも貪ることやめなかった。

貪られずにはいられなかった。

本来、未加工の竜の肉は魔力過多で毒でしかないのだが、やめることはなかった。

すっかり傷も治り、もう大丈夫なはずなのだが、それでも貪り続けた、それはまるで変貌を遂げるかのように、、、


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