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悪役令嬢&婚約破棄

私の学校の乙女ロード:婚約破棄された女

作者: 赤ポスト
掲載日:2015/07/20

この度、小説家になろうが主催する夏季限定イベント「夏ホラー七不思議」に参加してみることにしました。

本作は、なろう式ホラーです。

私、一条アヤメの高校には「乙女ロード」と呼ばれる場所がある。

文化部の部室が集中する西棟の3F。

文芸部や手芸部、第二ゲーム部、茶道部など、女子生徒が所属する部活が集中する場所。

共学の我が校だが、そこだけ女子高のようなオーラが出ている。

香水の匂いや、甘いお菓子の匂いが漂う場所。

そんな廊下の奥に、学校に似つかわしくない一つの祭壇がある。

腰までのある台の上に用意された大きなお城の模型。

日本式ではなく、西洋のそれ。

その中には様々な人形が置かれている。

男性、女性、両方の人形がある。

牢屋に入れられている人形も有る。

皆怖いぐらい表情豊かだ。

ファンタジーの世界独特のメルヘンな感じが伝わってくる。

その中で一際目を引くのが、金髪碧眼のお人形。

貴族令嬢のような豪華な衣装を纏い、お城の一番大きな広間にある玉座に座っている。

「マリーお嬢様」

その人形の名だ。

どこか日本人のような感じを受けるその人形。

精巧な作りになっており、まるで生きているように見える。


そんなマリー様にまつわる噂。

それは恋のおまじない。

『水曜日の深夜12時、マリー様の手を握り祈ると恋が適う』

そんな深夜にどうやって学校に入ったか分からないが、私の友達の夏子も祈ったと噂されている。最近夏子はビックリすぐらい綺麗になった。

それはマリー様のおかげと噂されている。

依然は普通の女の子で、告白して振られ、校舎の隅で泣いてた夏子。


私は右手から白い手袋を外す。

私は右手で物を触るとその過去を覗くことができる。

普段は手袋をして能力を抑えている。

余計な過去を見て、心に負担をかけたくない。

でも、私は憂慮している事があった。

私はマリーお嬢様を見つめる。

青い目でこちらを見返すマリーお嬢様。

一瞬、目が動いたようにも見えた。

気のせいだろう。

私は深呼吸し、マリーお嬢様に触れる。


すると、記憶がなだれ込んできた。



◇◆◇



夜の高校。

私は職員室にいた。

他には二人の人がいる。

一人は若い女性教師。

もう一人も同じように若い男性教師。

私が記憶を覗く際は、その現場に私が居合わせる形になる。

私の存在は無視され、記憶が再現される。


険呑な雰囲気の2人。

若い男の方が切り出す。


「ごめん、秋子。新しく好きな人が出来た。別れてほしい」

男が女に頭を下げる。

女は手に持っていた書類を落とす。

女の表情は凍りつき、唇が震えている。

「本気なの。私達、婚約しているのよ」

「悪い。でも俺の気持ちは変わったんだ。秋子が悪いわけじゃない」

再び頭を下げる男。

女は男につめよる。

「誰なの。まさか私の知っている人。あなたと仲がいいのは・・・・まさか、ひなこ?」

男は黙る。

沈黙の時が流れる。

数秒後、男が僅かに頷く。

「彼女は悪くないんだ。ただ、気が合っただけで」

「あなた、ひなこが私の親友って知ってるわよね。それにひなこもひなこよ、親友だと思っていたのに。いつからなの?」

女は男を睨みつける。

男はその視線を受けて目をそらす。

「・・・一年前」

男の小さな声が二人しかいいない教室に響く。

「あなた、一年もずっと隠していたの?」

女がつめより、男の服を掴む。

それを振り払い、女を押しのける男。

女は押しとばされて机に手をつく。

「俺だってつらかったんだ」

「もういいわ」

そうして職員室を出ていく秋子と呼ばれた女。


記憶が飛ぶ。



◇



暗い学校の廊下。


秋子は怒気を含んだ表情で歩いている。

息が荒く、唇を噛んでいる。

手を握りしめ、早足で歩く。

すると、突然光りだす床。

青い光が放たれる。

よく見ると、床に魔法陣のようなものが浮かび上がっている。

「何?何?なんなのこれ」

秋子は声をあげ、魔法陣から逃れようとする。

しかし、足が動かないようだ。

まるで魔法陣に固定されているかのように。

「何?ちょっと」

秋子の声とは反対に魔法陣は輝きをまし、秋子は光に包まれていった。


記憶が飛ぶ。



◇



とある王城の内部。

どこかで見覚えがある場所。

そう、学校の廊下の奥にあったあの模型の城だ。


「おーほっほっほっほ。あなたが悪いんですよ」

貴族令嬢の衣装に身を包み、美形化した秋子の姿。

秋子は兵士に拘束されている女性を見ている。

「わたし悪くない、みんなやってる事だし。私だけ捕まるなんておかしいよ」

兵士に拘束されながらももがく女性。

「その者を早く連れていけ。目障りだ」

玉座に座っている男性が声を上げる。

おして男性は秋子を見る。

「そなたにはこれまで迷惑をかけた。許してほしい。あの女に我々は皆騙されていた。あらためて礼を言う」

「そんなことありません。陛下がいたからこそ今の私がいます」

「なんと慈悲深い。そなたこそ我が妃にふさわしい」


記憶が飛ぶ。



◇



暗い神殿のような場所。


秋子は黒いローブ姿の者といっしょにいる。

「準備はととのいました。陛下の許可もでています。ですが、本当に行かれるのですか?」

「はい。こちらの人たちにはよくしてもらいました。ですが、あちらが私の生まれた世界ですし、やることがあります」

「分かりました。こちら用意していは物です」

黒ローブの姿の男は袋を秋子に渡す。

その中身を確認し、笑顔になる秋子。

「ありがとう」

「はい、くれぐれも慎重にお使いください」

「分かりました」

「では、儀式を始めます」

黒ローブの姿の男は、杖をかざし、呪文を唱える。

すると、地面に巨大な魔法陣が出現する。

学校の廊下で見たものと似ている。

秋子は魔法陣の中に入る。

「姫様、くれぐてもルールの事をお忘れずに。世界は陽と陰、世界は絶妙なバランスの上で成り立っています」

「分かっています。それでは」

「はい」

次の瞬間、秋子の体は消えた。


記憶が飛ぶ。



◇



暗い夜道。


美形になった秋子。

異世界での美貌がこちらの世界でも引き継がれているようだ。

そこに一人の男が現れる。依然、夜の職員室にいた男。

「秋子、秋子なのか?お前なのか・・・・綺麗だ」

男は秋子に見惚れていた。

「私は秋子ですよ。あなに婚約を破棄された」

「いや、気の迷いだったんだ。あの後、ひなことは上手くいかなかった。あいつは他にも男がいた。とんだ女だったよ。俺にはお前しかいないんだ。やり直そう」

男は秋子に頭を下げる。

それを満足げに見る秋子。

「あなた、私の事好きなの?」

秋子が首をかしげながら男を見る。

顔をあげ、秋子を崇めるように見る男。

「あぁ」

秋子は男の全身を見る。

そして満足げに頷く。

「それなら手を出して」

「ん?あぁ」

秋子に向けて手を伸ばす男。

秋子はポケットから腕輪を出し、男に装着する。

その瞬間、男の体が光りだす。

男を中心に魔法陣が展開される。

「なんだ?なんだ?何をした秋子?」

秋子は貴族令嬢のように微笑みながら男を見る。

「私の事好きなんでしょ。それなら証明して。向こう世界で見事目的を果たして帰ってこれたなら、あなたとやり直してあげるわ。頑張ってね。私でもできたんだから」

「何いっている?これか、この腕輪が原因か」

腕輪を外そうとする男だが、それはびくともしない。

そうこうしているうちに光はますます強くなる。

「それじゃ、あなた、ごきげんよう」

優しく手を振る秋子。

男は必死の表情で秋子を見る。

「おまえ、秋子」

男は消えて行った。


記憶が飛ぶ



◇



放課後の高校のとある教室。

授業の準備室として使われているの部屋。


お城の模型が置かれている。

模型の中にあるの人形一つだけ。

少し年をとった秋子はその人形を見つめている。

その人形は牢獄にいれられ、絶望の表情を浮かべている。

「あなたの思い、偽物だったようね・・・」

懐かしむような目でその人形を見る秋子。

ふと窓際に移動する。

校庭で部活に励む生徒を見る。

「あなたがだめなら、他の者を送り込まないと・・・」

彼女は観察するように生徒達を見ていた。


記憶が飛ぶ



◇


高校の空き教室。


秋子の目の前で泣く女子生徒。

涙で目の周りが腫れている。

それをなだめる秋子。

「そんなに泣くことないわ。振られることなんてよくある事よ」

「先生には分からないんです。先生は綺麗だから、私の気持ちは分かりません」

「先生にも分かるわ。私だって昔はかわいくなかったんだから」

泣くのをやめ、秋子を見る女子生徒。

その目には純粋な驚きが見て取れる。

「本当ですか?」

「えぇ、本当よ。秘密を教えてあげましょうか?」

秋子は女子生徒に優しく微笑む。

「何ですか?」

「私、別の世界にいったことがあるの」

そうして秋子は異世界での出来事を話し始めた。

そして最後に、

「あなたらできるわ。やってみる?上手くいけば、あなたは誰からも好かれる女の子なれるわよ?」

「先生みたいに?」

女子生徒は憧れの瞳で秋子を見る。

それを受け止める秋子。

「私より、もっと凄い子になれるわ」

「私、やります」

「そう、それなら手を出して」

「はい」

手を出す女子生徒。

秋子はポケットから腕輪をだし、女子生徒の腕に腕輪をはめる。

すると女子生徒の周りに魔法陣が展開される。

「え?え?どうなってるの?」

「慌てないで、いい。心を強く持つのよ。そうすればきっと願いはかなうから」

「え?え?」

魔法陣の光は強くなり、少女は光に包まれて消えた。


記憶が飛ぶ



◇



とある家の一室。

外からは元気な子供声が聞こえる。

「おばぁちゃん」と呼ぶ声が聞こえる。


初老になった秋子。

年を取っていながらも、キラキラとした雰囲気を放っている。

その傍にあるお城の模型には、人形が増えていた。

男女数々の人形。

彼女は一つの人形を眺める。

牢獄に捕えられている初老の男性。

「結局、あなたは駄目だったみたいですね」

秋子は机の上にある一つの人形の髪をなでている。

若かりし頃の秋子に似ている人形。

「もうそろそろこちらでの生も終わります。私もそちらに行きます」

秋子は人形の手を握ったまま、人形に腕輪をはめる。

すると、次の瞬間、魔法陣が展開され、秋子の姿は消えていた。


記憶が飛ぶ



◇


高校。深夜の廊下。


廊下の奥に置かれるお城の置物。

今と同じような姿。

そこに現れる一人の女子生徒。

私の友達の夏子。

泣いた後なのか、目元が腫れている夏子。

彼女は思いつめた顔で、秋子似の人形、学校で「マリーお嬢様」とよばれている人形の手を握る。

そして唱える。

「マリーお嬢様、私の願い、叶えて下さい」

その瞬間、夏子は青い光につつまれて消えた。



◇◆◇



私は現実に戻ってきた。

記憶から抜け出した。

とっさに、「マリーお嬢様の」の人形から手を放した。

私は人形を慎重に見る。

人形が私を見返している気がする。

マリーお嬢様人形。

記憶を見た私には「秋子」にしかみえない。

記憶を見る前はメルヘンな世界に見えたお城。

今では全く違った印象を受ける。

私は思わず後ずさる。


すると、後ろから足音が聞こえる。

振り向くと夏子がいた。

驚くほど美人になっている夏子。

夏子は貴族令嬢のように微笑みながら私を見る。

私は夏子に聞きたいことがあった。

最近、一人の男子生徒が失踪した。

私はその男子生徒の親から依頼を受けて調査していた。

夏子を振ったとされている男の子、加藤君。


「夏子、加藤君の居場所に心当たりない?」


夏子は優雅に微笑む。


「加藤君なら大丈夫よ。すぐに戻ってくるわ。彼、言っていたもの。私の事好きだって」


夏子なお城の人形を見る。

私も夏子の視線を追う。

すると、そこにどこか加藤君に似ている人形の姿。


「アヤメ、あなた、何か願い事があるの?だからこんな場所のいるのでしょ?それなら私が手伝ってあげるわ」


夏子が私に近づく。

私は彼女から離れようとする。

が、とある人形に腕を掴まれる。

マリーお嬢様人形。

青い目が私を捉える。

そして、次の瞬間。

私は右腕に違和感を感じた。

夏子は私の腕に、見覚えのある腕輪をはめていた。






ここまでお読み下さり、ありがとうございます。

宜しければ他の作品もご覧ください。

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