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【301日目~】【365日目まで】

異世界生活301日目



 馬車無理。

 前々から思ってたけどサスとかクッションとかないわけ? まじでどうなってんの? 少しは発展の兆し見せろよ。

 というわけで旅立ち1日目にして孤児院に帰ってきたオレなわけだけど、別に旅をあきらめたわけじゃない。

 馬車が使えなければ歩けばいいじゃない。


 えー歩くのめんどーい。


 歩くのがいやなら転移すればいいじゃない!


 というわけで転移を駆使する方向で旅をすることにした。



異世界生活302日目



 転移するにはあらかじめマーキングしておかなければいけない。

 思ったところにポンと飛べるほど転移は簡単な魔法じゃない。

 ではマーキングとは何なのか。何気なく使っているけれど、詳しくその辺から調べることにした。


 ちなみに誰にも旅については言っていないのもあって孤児院も大人組みも平常運転。

 オレが何か珍しいことやっててもいつものことだし、これまでの実績からむしろ歓迎されるレベルだ。というかオレ、孤児院オーナー、許可なんていらない。



異世界生活303日目



 マーキングに関して色々と判明した。

 まずこのマーキングというものは魔法であり、ナニカを対象とした設置型の魔法。

 要するにこの辺をマーキングってやると、この辺という座標(・・)がマーキングされて転移オーケーってこと。

 まぁここまでは今までもなんとなく直感でわかってたこと。


 では新たに判明したのは何か。


 座標を対象と出来るならば移動可能な物質は対象とできないのか否か。答えは可。

 ただ色々と問題もある。

 本来は座標を対象とするのが一般的なようで移動可能な物質を対象とするのは例外のようなのだ。

 なので座標をマーキングするとオレが消さない限りはマーキングされっぱなしになるのに対して、移動可能な物質を対象とするとおよそ3分程度でマーキングが解除されてしまう。

 魔力をどんだけ追加しても3分という数字は変わらなかった。

 これは何度も試した結果の結論なのでたぶん間違ってない。


 以上の結果から、マーキングした物質を誰かに運んでもらって転移するのは不可能とわかった。



異世界生活304日目



 旅再開。


 しかし馬車などには乗らない。

 だからといって徒歩でもない。

 当然使うのは転移だ。


 マーキングの実験でわかった結果から3分持つなら3分間で出来る限り移動させて転移すればいいじゃない、という結論が出たのだ。名づけてウルトラマン作戦。


 さてここに取り出だしたるは弓矢。

 矢をマーキングして射ればそれなりの距離を移動できる。オレ、頭いい!


 空手しかやっていなかったオレなので弓の使い方はまったくわからない。

 なので大人組みで使えるやつにちょろっと習っては来た。

 別に動いてる的にあてるわけでもないし、動いてない的にもあてるわけでもない。

 適当に撃って距離を出せればいいのだ。



異世界生活305日目



 王都の大店武器屋なう。


 ウルトラマン作戦は悪くなかったのだが、どうにも普通の弓では飛距離がでなかった。

 ファラの街で買ったそこそこな弓を身体能力強化の補助魔法を使って撃っても500メートルくらいしか飛ばなかったのだ。

 500メートルも飛べばいいと思うかもしれないが、オレが必要としているのは長距離移動用の飛距離であり、身体能力強化の補助魔法を使ってこれでは微妙の一言に尽きる。

 ということで、もっといい弓を買ってみることにしたのだ。


 この世界には魔法の永続的な付与があるので飛距離や命中精度なんかを相当伸ばすことができる。

 大店武器屋でファラの街で買える弓よりずっといい付与されてない弓を買うついでに色々みてみたが、普通は飛距離よりも命中精度や威力を向上させる方向で付与がされている。

 まぁ当たらなければ意味ないからな。


 そんなわけで飛距離に特化した弓を作りたいなら自分で付与するしかないわけだ。



異世界生活306日目



 ウルトラマン作戦再び。


 大店武器屋で購入した弓は常人ではとてもではないが引くことすら不可能だろうワイヤーみたいな弦が使われた馬鹿みたいな弓だ。

 こんなもん撃てるのか、と思うだろう。当然普通は撃てない。

 だが付与やら何やらを駆使することによって普通は撃てないこの弓も撃ててしまうのがこの世界だ。


 ちなみに付与した効果は徹底した飛距離向上。

 身体強化の補助魔法やら何やら色々かけると弓自体に特にそういった付与がなくても弦を引けることがわかったからだ。


 ちなみに使う矢も特別製のとんでもない材質の矢だ。

 重量自体は付与魔法で徹底的に軽量化してあるし、強度も問題ない。


 でも孤児院では危なくてとてもじゃないが試射できなかったので、さっそく……。



異世界生活307日目



 いやーよく飛ぶよく飛ぶ。

 この超弩級弓から放たれる矢は本当によく飛ぶ。


 昨日試射したときは放ったときの爆発したかのような爆音にはびびったが、その飛距離はすさまじいものがあった。

 詳しく飛距離をはかったわけじゃないが、1キロや2キロではきかない距離が出ているのは確かだ。

 おかげで馬車でケツをいじめられながら進むよりずっと早い移動が可能になった。もう馬車なんて絶対乗らない。



異世界生活309日目



 隣国の魔導王国――リビテリウムまで馬車で14日のところ、たった2日で到着した。

 街道を通らず、ほぼ一直線に向かったおかげというのもあるが、1射毎にかなりの距離を進めるためだろう。

 1射するのに3分もかからず、転移も一瞬。矢を回収して3分マーキングしてすぐさま撃っては転移を繰り返していたのであっという間というわけだ。


 リビテリウムとファラの街がある国――ファラスターズの国境にはとんでもなく長い、万里の長城を思わせる壁が築かれている。

 こんな壁いるのか? と思ったが国境付近は割りと強い魔物が多いらしい。

 さすがに検問所が置かれている場所は魔物が比較的少ない場所らしいのだが。


 検問所での検査は割と簡単だった。

 というのもオレ、荷物を馬鹿でかい弓と矢しかもってきていない。

 だって転移で毎日孤児院に戻ってるし。

 そんな軽装のオレなので荷物検査も一瞬で終わるし、入国理由もリビテリウムへ向かう旅人達が1番使うものを使ってあっさりパス。まぁ訝しがられてはいたけれど。


 ちなみに入国理由は、観光だ。


 リビテリウムは魔導王国と呼ばれるほど魔導が発達した国なので観光客がとても多いらしい。

 まぁ実際オレも観光しにいくのが半分。残りの半分はなんか商売できないかなぁ程度のものだ。嘘は言っていない。



異世界生活310日目



 リビテリウムはすげー国だ。

 昨日検問所を出てすぐにそれはわかっていた。

 何せファラスターズ側では踏み固められた土の道だったのに対して、リビテリウム側は検問所から石畳の街道がずっと続いているのだ。

 これだけでも国力の差が凄まじいことになっているのがよくわかる。これは期待できそうだ。


 まぁ、石畳の街道があっても結局オレはこの超弩級弓で移動するんだけどなー。



異世界生活314日目



 道中……弓中? 途中にあった村に寄ってみたのだがファラの街どころか王都にすらあんまりなかった街灯があった。それもたくさん。

 あそこは規模的にも村という言い方が相応しいくらいの場所だったのに街灯があったのだ。

 魔導王国と呼ばれる国とはいえ、こんな村にすら街灯が設置できるんだからすごい。見習えファラスターズ。


 あ、もちろん街灯は魔道具な。

 他にも魔道具がないか色々見て回ったが、所詮は小さな村。街灯の他には生活用品しかないみたいだ。

 その生活用品も村人の家の中にあるのだからなかなか見ることは出来ない。

 宿は一応あるにはあったが、ここまできたらもう少し大きな街とかまで楽しみをとっておくことにした。



異世界生活317日目



 超弩級弓での移動は時間短縮になってとてもよい。

 だが街道の近くとか、人の多いところで使うのにはもちろん向かない。

 まぁメリットとデメリットを秤にかけてもメリットの方が勝るが。


 そんなわけでリビテリウムでの目的地の1つである光と闇の都市――ニビリに着いた。


 光と闇の都市とかぶっちゃけ吹きそうな名前にはもちろん意味がある。

 このニビリという都市はぶっちゃけファラスターズの王都よりもでかい。

 ここがリビテリウムの王都だといわれても納得してしまうくらいの巨大さを誇っている都市なのだ。

 そんな規模の都市ならば当然色々あるわけだ。

 光あるところに闇があるように~的なやつだ。つまりはここで商売するなら真っ当な方法からそうじゃない方法まで選り取り緑というわけだ。実にいい。



異世界生活318日目



 ニビリには当然ながら魔道具が大量に設置されている。

 街灯から始まり、各種店舗の看板――白黒魔光掲示板――、電柱ならぬ魔柱――魔力線で魔力を引っ張ってるらしい――や、なんと公衆電話まであった。

 しかし電車や車といった魔道具を使った乗り物はなく、その辺は人力車や馬車なんかが主流だった。


 公衆電話についてだが、一般的な家にまで電話が引かれているというわけではなく中規模以上の店に試験的に設置されている電話に対して使えるものらしい。まぁ要するにまだまだ実験段階。それでも街中に設置して実験できているほど段階は進んでいるのだから大したものだ。

 まぁ実験段階ということもあり、そこら中に公衆電話があるわけではなく警備兵の駐屯所の近くに設置されている程度だ。

 基本的には店の電話で事欠かないだろうし。

 それでもニビリの街はとんでもない規模なので出先で連絡が必要なときには重宝するだろう。



異世界生活319日目



 せっかくなので泊まってみた宿で判明したことだが、灯りの魔道具は基本として水道、トイレ、お風呂と色んなところに魔道具が使われている。

 そして魔力供給源として魔力線が部屋の至るところにコンセントのように設置してある。

 これだけみると現代地球のホテルみたいだった。

 ちなみに出された料理はファラの街並だった。まぁ腹壊さなくていいが。


 当初の目的通り、大店魔道具屋にも行ってみた。


 ファラの街ではほとんど見ることがない魔道具を買い込んであっちで転売すればかなりの利益が見込める。

 転移というとんでも移動手段を使えるオレにとって遠いところで珍しいものを安く購入して売り捌くだけでかなりの利益となる。

 それを考えると今後とも超弩級弓での移動にはお世話になりそうだ。マーキング箇所を増やさなければいけないからな。



異世界生活320日目



 大店魔道具屋で色々見て回ってわかったことだが、ニビリで売ってる魔道具のほとんどは魔力線が必須のものばかりだ。

 一応携帯型のもあるにはあるが日常生活で使用するにはいまいちなものばかりだ。

 地球でだって基本はコンセントから電力供給しているものばかりなんだから魔柱がある時点で気づくべきだったかもしれない。


 うちの孤児院でも癒草の人工栽培のために魔力線を地中に張り巡らせていたりするが、魔力供給源は魔力蓄積を付与した宝石からだ。しかも消耗品なのでかなりの出費を覚悟で使っている。

 癒草のためだし、大幅な黒字なので問題ないが大店魔道具屋で買える日常使いの魔道具で使ったら大赤字もいいところだ。

 一体この街は魔力供給源をどうしているんだろうか。



異世界生活321日目



 ニビリの魔力供給源があっさりと判明した。

 というかリビテリウムという国全体での魔力供給源まで判明した。

 それはこの国の地下を流れる巨大な魔力川。

 このリビテリウム全体が魔力川の上にあるために魔力には事欠かないのだ。ずるい。


 だが魔力線で引かれている魔力は有料。

 魔力川の上にあるといっても地中深くとなり、さらには専用の吸い上げ機が必要ということで無料には出来ないらしい。まぁ他にも利権とか色々ドロドロしたところがありそうだがな。

 それでも魔導王国という名前に偽りなく、全国民が活用できる程度の料金設定ではある。


 ファラスターズには魔力川がないのか調べてみたが、魔力川という現象自体が珍しいものであり、他の場所ではまったく見られないとのことだった。つまりファラスターズでは利用できない。


 さらにあの国境の壁。

 あれは強力な魔物対策であると同時に、自国の魔力川という最大の特産を守るために作られたものらしいことがわかった。

 近代に近いほどに豊かな生活が出来る魔道具を惜しみなく使うためのエネルギーなんだ、当然だわな。



異世界生活322日目



 大店魔道具屋で買ってきた携帯型魔道具なんかを孤児院で使わせてみることにした。

 魔力線から供給するタイプのやつは魔力供給源をもちっとなんとかしないと無理なので保留。


 買ってきた魔道具は灯りの魔道具やコンロやトイレ系だ。

 使用方法は比較的簡単なのだが、問題はやはり燃料。基本的にオレが使っている宝石に魔力を蓄積させるものの類似品――魔石を燃料としている。

 この魔石だが、この世界では魔物から取れたりしないので割と高い。

 産出される場所も魔力川の中であり、とんでもない量の魔力に浸かった石しか魔石にならない。

 引き上げるのにも大変だし、そんなにもたない。魔力線というもっと楽に大容量の魔力を供給できるものがあるんだから廃れるのも当然というわけだ。


 だがファラスターズで使うには魔石の方が安上がりだ。



異世界生活323日目



 ニビリにある魔道具博物館にいってきた。

 魔道具の歴史や、実際に作られた魔道具なんかの展示もあり、結構楽しめた。

 今回はオレだけじゃなく、大人組みも連れてきている。ちなみに転移で来ているのでこいつら密入国者だ、ぷぎゃー。


 オレはまだ出国手続きしてないし、密入国じゃない。

 アレ? でもそうなるとファラスターズの方には密入国なのか? ……まぁばれなきゃ問題ない。ばれても逃げりゃいい。


 リビテリウムは魔力川から魔力を引き上げる装置を作り出すまでは他の国と同じような国だったらしい。

 だが膨大な魔力を無制限に使えるようになってからは凄まじい速度で魔道具が開発され、今に至っている。

 軍事利用にも当然使われていて、その際たるものがあの国境の壁らしい。

 実はアレ、凄まじい再生能力や物理的な壁以外にも上空数百メートルに渡って結界を展開しているらしい。

 もし超弩級弓で侵入しようとしていたら危なかったかもしれない。でもオレの転移の妨害は出来ていないのだし、問題ない。



異世界生活324日目



 院長に魔道具の使い勝手なんかを報告させた。

 今まで灯りをつけるにも、竈に火を点けるにも大変だったのがワンタッチとなり、ものすごく助かっているらしい。

 でも孤児院は大所帯だ。コンロの魔道具やトイレの魔道具の使用率が半端じゃなく、かなり魔力残量が減ってしまっているらしい。やはり孤児院で使うには魔力供給が大きな足かせになるか。


 やっぱりオレだけで使おう。



異世界生活329日目



 院長の報告でわかったように大人数での使用じゃなければ携帯型魔道具はとても便利であり、需要が高そうだと確定した。

 魔石も定期的に輸入すれば魔道具の便利さに惹かれて需要でまくりだろう。

 というわけでまずはファラの街で携帯型魔道具を販売してみることにした。


 王都辺りでは輸入した携帯型魔道具が超高値に販売されているのも調べてきたので、あっちで売って既得権益を侵すのは得策ではない。

 販売先もその値段から貴族王族だし、オレから買って王都に転売しにいっても相手にもされないだろう。信頼とか大事だしな。

 それ以前に超高値の商品だ。王都で販売しようものなら即効で潰されるだろう。

 だからこそのファラの街での販売だ。


 まぁ当然ながらファラの街でも金を持ってるヤツ限定で売ったがね。

 エロイねーちゃんとか。



異世界生活333日目



 携帯型魔道具の転売は相手を選ぶ必要性があるので短期的には莫大な利益をあげるが、あとは魔石の供給か壊れたときくらいしか高い利益はでない。

 まぁ1発勝負の商売としては上々の売り上げなのでよしとしよう。

 ニビリで買って、金持ってるやつに売りつけにいっただけだから実にお手軽だったし。

 リビテリウムの魔道具は知ってるやつは知ってる有名なものだったから、売ること自体は比較的楽だったのだ。


 ファラの街でのオレの知名度も相まって。魔氷の調合師すげー。



異世界生活334日目



 遂に女勇者に捕まった。

 オセロ名人との死闘(笑)を爆笑しながら見学してたら手紙を押し付けられた。


 その数32通。お姫様こわい



異世界生活335日目



 未だオセロ名人に1勝も出来ていない女勇者は今日もオセロ名人にギャフンと言わせられてる。

 32通の手紙全部に目を通すわけがないので、最近の2,3通に目を通して適当に返事とニビリで買ったなんか綺麗系の魔道具をお土産にもっていかせることにした。

 さすがにこんだけ手紙が溜まっていると後が怖い。物で機嫌を取っておこう。


 ちなみにヤンデレ化は特に進んでいないご様子。

 オセロ名人に連敗して魂が抜けかけている女勇者の言によれば、返事を期待して書いているわけではないらしい。まぁオレはそうそう捕まらないというのは女勇者から報告がいってるみたいだしな。



異世界生活336日目



 魔力蓄積した宝石から魔石へと変えて癒草の栽培実験を開始。

 宝石の方が魔力的な純度が高そうな感じがしたので一部だけを変更してみたのだがうまくいってくれることを祈る。

 宝石よりも魔石の方が圧倒的に安いからな!



異世界生活339日目



 特に癒草の方は問題ないみたいだ。

 癒草の世話係は孤児院でも優秀なやつにしかやらせていない。

 癒草はソレ単体でかなり希少且つ高価なものだし、未だに納品を続けているローポーションの大事な材料なわけだしな。


 玩具工場の方も落ち着いて生産量は最盛期よりも大分落ちている。

 それでも生産し続けているのは需要があるからだけどな。

 とはいってもローポーションや解毒系の方が安定して利益率が高い。

 やはりポーションは素晴らしい。


 今度解毒系の販路をニビリに広げてみよう。



異世界生活340日目



 女勇者がまだ孤児院にいる。

 こいつよっぽど暇なのか。オセロ名人も相手するの大変だな。


 とか思ってたら女勇者がなんか孤児院のちっこいのに勉強を教えていた。

 とはいっても文字の読み書きと簡単な計算程度ではあったが。

 院長に後から聞いたら結構前から先生役を買って出てくれているらしい。無料で。

 オセロしに来てるだけじゃなかったのか。


 ボランティア教師ゲットだぜー!



異世界生活343日目



 ニビリには学校が存在する。

 ファラスターズの王都にも一応富裕層とか貴族王族限定ではあるが学校はあるみたいだが、ニビリの学校は平民でも入れるところのようだ。

 生活水準が高いとこういうところにも手が回るのだろう。伊達に近代化してない。


 見学も受け付けているというので魔道具専門学校を見学してきた。

 年長組みで希望するやつも連れてきたが、なかなか専門的な事をやっているみたいだ。まぁ魔道具専門学校なんだから当然か。

 前提として読み書き計算は元より中学レベルでの理科とかも必須らしい。

 年長組みが愕然としてた。


 ……こいつらがここで学ぶには相当な努力が必要だろうな



異世界生活347日目



 この間魔道具専門学校へ見学へいった年長組みで希望するやつだけニビリの学校に入学させることにした。


 これにはいくつか狙いがある。

 孤児院には今大量に子供がいる。

 玩具工場やポーション生産で労働力として使ってはいるがそれでも大分余る。

 女勇者や院長が基本的な勉強なんかを教えてはいるが遊んでいる時間の方が長い。

 たくさん人間がいれば駄目なやつや優秀なやつが出てくる。


 駄目なやつは単純な労働力として使えばいいが、優秀なやつはもったいない。

 将来、おそらく2,3年もあれば投資に見合うだけの成果を出せそうなやつもいる。


 オセロ名人も今やただオセロしているだけではない。

 ファラの街でオセロやなんかのオレが売った玩具は大流行している。そのおかげもあってオセロ教室が孤児院の一部を使って開かれているのだ。

 そこの講師役をしているのもオセロ名人だ。

 ちなみに女勇者は毎回受講している常連らしい。ほんと暇なヤツだ。


 というわけで将来性を見越して投資する。



異世界生活355日目



 最初から専門的な学校には入学できない。

 まずは基礎を学ばせなければならない。だがあいつらは孤児院でも優秀なやつらなのですぐに成果を出してくれるだろう。オレの投資も無限ではないのだから早くしろ。


 ちなみに転移で1発でニビリの街に来てしまってはあいつらは密入国者となってしまうので入学どころか即効牢屋だ。

 なのでちゃんと検問所を通ってきた。

 まぁ近くまで転移して出たら少し離れて転移したので半日もかかってないけれどな。


 学校に入学するにはもちろん身分照明などの身元保証が必要になる。

 この辺はファラの町ではほとんど必要ないが、さすがに他国ともなると必須だ。

 オレの投資を成功させるためにもこの程度の手間は惜しまない。王都でさくっと手続きしてきた。ほとんど女勇者の権力に物をいわせたのだけど。


 普通にやったら時間も金もかなりかかるらしい。すまんなオセロ名人、優先対戦券を23枚もふんだくられた。頑張って全勝してくれ。



異世界生活360日目



 女勇者に用意させたファラスターズ王国宰相の紹介状が猛威を奮った結果、孤児院の優秀な子供達――優秀組みが無事ニビリ基礎学校に入学した。

 基礎学校はその名の通りに基礎的な学問を学ぶ学校だ。まぁ要するに小学校みたいなもんだ。

 他国の学校ということで通常は入学金やら寄付金やらそのほかにも色々かかるらしいが、もちろん宰相の紹介状で全部免除された。ラッキー。


 一応用意しておいた金は寮生活で必要なものなんかを自分達で購入するようにもたせた。

 優秀組みという名は伊達じゃない。馬鹿な使い方はしないだろう。しても追加の金はない。自分でどうにかしろ。



異世界生活363日目



 最近は色々忙しかったのでたっぷり寝た。



異世界生活365日目



 遂にこの世界に来てから1年が経ってしまった。

 半年経った頃には非常に気分が落ち込んだものだが、1年目の今日は別にそんなことはなかった。

 ここ数日食っちゃ寝してたのがよかったのかもしれない。


 魔石に変えた癒草人工栽培も問題ないし、入学した優秀組みも大丈夫だろう。というかこんな数日で問題起こされたらたまったもんじゃない。

 大人組みや年長組みも大きな問題は起こしていないし、孤児院の抜き打ちチェックは相も変わらず真面目すぎてオレが辛い。裏帳簿とかあんじゃねぇの? あるよなー? 今度探してみよう。


 女勇者は相も変わらずオセロ名人に連敗街道まっしぐらだし、玩具工場もポーション生産も順調だ。

 オレの懐に転がり込んでくる金も安定してるし、下手な中級貴族より遥かに稼いでいるらしい。

 まぁだからなんだって話ではあるが。

 金はいくらあってもいいものだ。例え国が買えるくらいあってもオレは稼ぎ続けるだろう。


 まだまだリビテリウムでは稼がせてもらう。



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