みぞおちにどーん!
さて、周りは森。
持っているものは家庭科の裁縫箱と筆記用具と教科書とカツアゲ返しした金。
俺は不良ではないからライターは持っていない。そしてそれらを入れている大きめのエナメルバッグ。
何故こんなところに来てしまったかと言えば、やはりあの魔方陣とあいつらであろう。
しかし、あいつらが見当たらないのは残念ながら城とか神域とかで自堕落な生活を送ろうとしているに違いない。そして、巻き込まれてしまった理由。
日頃の行いだな。
よし、俺が思うにこの森は広いはず。
まずは水と食料と火の確保をしよう。
とりあえずはここに座っていても良いことはないだろう。俺は立ち上がりテキトウに……
一応目印は付けておくか。
筆箱からカッターをとりだし、木に×印を刻みながら歩き始めた。
今日は夕飯抜きかな?
しばらく歩き続けたが、特にめぼしいものはなかった。そしてチラホラとバッキバキになぎ倒されている木がある。
そして、ただでさえ木々に囲まれ多少薄暗かった森が本格的に暗くなってきた、日が傾いてきたのだろう。
さて、ここで重要なのは火だ。しかしやり方は全然わからない。
確か木と木を擦りあわせて、その摩擦熱でおがくずとかに熱くさせてそして柔らかい布とかでぶんぶん振り回し火種にするんだっけ?
残念ながら、俺に知識を求めても無駄なようだ。
あるのは集めた薪というか木の枝。
いや、しかしここでほっとけば死ぬのは俺だ。
少しだが肌寒くなってきた。それにここがどんな森かは知らないが野犬程度の野性動物は居るんだろうな。
仕方ない。
俺は火をつけるのに挑戦してみることにした。
……今、俺の目の前にはパチパチと謎の音をたてている焚き火。つまりは火をつけるのは成功だ。
意外だったのは3~4回目で成功した事だろう。
後は定期的に燃えるものを焚き火に放り投げるだけで済むだろう。
幸い、寝ずの番ではないが1日起き続けるのは慣れている。
だからと言ってボーッとするのは勿体ない。
多少腹は減ったがこれは仕方ないので明日に期待しながら武器を作ろうとおもう。
まともなものがないこの森では残念ながら木しかない。
なので俺は暗くなる前に拾った木の枝のなかで太めのものを引き寄せカッターで削り始める。
手首くらいの太さだから時間はかかるかも知らないが時間潰しにもなるし良いだろう。
俺は黙ってショリショリと木を削り続ける……
ショリショリショリ
ショリショリショリ
三時間はこうしていただろうか、そこで微かに音がした。
カサカサと、生き物か、それとも風のいたずらか。
制作中の武器はまだ未完成だ。もう少しまってほしい。
人だろうか、気にしない方が良いだろうか。音はもう聞こえないし、無視することにした。
今は武器製作をやろう。そうだ、念のため罠と言うほどではないが小細工はしておこう。
またひとつ、木の枝を焚き火に放り投げた。
「よし、出来た」
心持ちか、辺りが明るくなって暗闇から薄暗くなった時、俺の武器が完成した。
長さ90センチ程の木の枝の先端を削って鋭くした簡易の槍もどき。
それなりに鋭い、チクチクする。
ま、運動が出来ない俺でも少しは使えそうな武器だ。
これで犬ぐらいだったら追い払えるな。
そろそろ朝御飯の時間だ、と俺の腹時計が俺に伝える。
食料探しにいかないとな。
残念ながら焚き火は消すことになる。
山火事は俺の命の危険にも繋がるからな。
さて、そろそろ木の実1つくらいは見付けたい。
俺は今日も×印を木に刻み、歩き始める。
今日は風が強いのかザワザワと木々がざわめく。
森には鳥がいる雰囲気があるが全く鳴き声が聞こえない。焼き鳥食いたがったがしょうがないな。
木の根っこ等に注意しつつ探索を続ける。
あぁ、しまった。罠をはずし忘れた。
ま、ほっとくか。
そこで、崖っぽい所で行き止まりになっていた。
見上げてみたら雲より高いほどの標高を誇ってる。
一応この辺りを探索してみる。
まあ、なにもないとは思うが念のためだ。
すると、見えづらい場所に洞窟があった
なんでも探してみるもんだな。
もしかしたら何処かに抜けられるかもしれない。
しかし、洞窟内は暗いらしい。まずは松明でも作ることにした。
しかし腹が減ったな……
水さえ飲めないのは辛い。
何処かに川でもあれば楽なんだが。
さて、とあるゲームなら石炭と木の棒だけで松明は出来上がるがそうもいかない。
困った、途方にくれるってのはこうゆうことか。またひとつ勉強になったな。
内心で失笑していると、何処からがドドドド!と凄い音がする。
俺は急ぎ草むらに身を隠す。どうやらこっちの方向に走ってきているようで、さっきの音はどんどん大きくなっている。
息を潜めていると、軽い足取りでこちらに走ってくる小さめの影。
鹿のような、馬のような……中間辺りの動物だ。
馬鹿……鹿馬……名前はどっち後いいんだろう。新種かな?
そしてその後ろにはでかい猪?とにかく角がでかい。
ドスなのかな?まあ、いいや。ブルでもドスでもとりあえずは肉なんだから。
猪は鹿馬を獲物としているのか、土煙を撒き散らしながら鹿馬に突進している、が。
鹿馬のほうが足が早く、賢いようだ。猪が通り抜けられないような木々の隙間を縫うように逃げている。
対する猪は木々をものともしない突進でバキバキと木をなぎ倒すがスピードは落ちる。
そして、残念ながら鹿馬に逃げられてしまったようだ。鹿馬を馬鹿にしなくてよかったぜ……
しかしどうやって仕留めよう。
逃げられた猪はトボトボと落ち込んだ足取りで来た道を戻ろうとして……
偶然にも目があってしまった。
あぁ、ヤバイな。これ……
どうやら俺には絶望が舞い降りたようで。
猪は俺を見付けて喜んでいるのかブルルルン!と土埃が上がるほど鼻息が荒い。
猪が今まさにこちらに走ってきそうな雰囲気に呑まれ立ち尽くし、動けない俺の横からガサガサと音が。
もの凄い勢いで走ってきた猪に対するは足がすくんで動けない俺。
そして横からもよく見えない何かが……
「ふぐぅっ!!」
俺の横っ腹に突っ込んできて、俺は吹っ飛んだ。
心なしか、ミシッと音がした。
しかし猪に体当たりされるよりは万場もましだ。
俺は助けてくれた恩人 (?)に目を向けた。
そいつは俺の腰くらいの身長で全身茶色い毛に覆われている四足歩行の角のある生き物だった。
つまりそいつも猪だった。
四面楚歌、そんな言葉が脳裏によぎった。




