データ研究部な人達♥(2年05月 ワイキキビーチにて)
恒例の香港旅行の代わりに今年はハワイ旅行となったが、ドラエだけ遅れて合流する。空港で知り合ったベトナム人の女の子ユーエンを泊めてあげる事になったが、怪しい男達に襲われるなど事件が次々に起こる。観光地ホノルル、能天気なクラブ員とは対照的なユーエンの不可解な言動、事件、ドラエ・チエゾーの不安は高まる・・・。ドラエ1年生、5月のお話です。
<阪神競馬場・3F席>
ユーイチ叫ぶ「おーし!!4.3倍ゲットー!!」
「すごいじゃんユーイチ、今日20万位いってるんじゃないー?」キコ
「ああ、今日はついてる!もしかしてツキ期じゃねえオレ?ははは」
ユーイチ前に座っているスクミに話しかける「スクミさん、ハワイいきませんか、ワイキキ」
「えー何ー急に?お金出してくれるんなら、別に行ってもいいけど」
ユーイチ「じゃ、キコちゃんは?」「うーん」
「私も行きたいですハワイ、バイト休んでも行きます」ハル、後ろの席から顔を出す。
「金だしてくれるんならオレも」チエゾー。
「えっ、連れていってくれるんなら私もいいですか?」「じゃ、オレも」前にすわっているドラエと大路も振り返っている。
「でキコちゃん、行く?」「・・・まー、みんなが行くのなら行ってもいいよー」
「じゃあ、オレ賭るぜ、今日の稼ぎ20万をコレに!!」
「これって・・・馬連、現在6.1倍」大路、データを打ち出した紙をめくる。
「今日最後の狙い目のレース、当日中に稼いだ金ならOB会の稟議不要!」
<KIX、23:00>
ベンチに座り腕時計をみるドラエ、立ち上がる「(そろそろ行かなかきゃ)」
「(どうしても授業の都合付かなくて、私だけ2日遅れで出発)」
出国ゲートに入ってゆくドラエ。
<免税店>
並べられているバッグをノゾキこむドラエ「(このバッグオシャレー、わ、高!)」
<機内>
「(なんかガラガラ・・)」頭を通路に出して後ろを見る。
機内食を食べながらドラエ「(でも、すごいクラブだよね、ただでハワイ行けるなんて。入って良かったかも!)」
「(やっぱ、無理言って授業休んじゃえば良かった・・1人で飛行機乗ってもさみしいし)」
4席先に1人で座っている女の子を見つける「(あの子も1人でハワイに行くんだ・・・、咲江選手もがんばります!)」
ビールをグッと飲む、「エフ」。2週間前の旅行打合せ会を思い出すドラエ。
<駅前・居酒屋、20:30>
「これだけ人数がいれば、みんなのスケジュールが合うって難しいわけじゃん。遅れてくればいいよー」キコ
「すみません、どうしても授業の都合が付かなくて。2日遅れで行きます。」
「急ぐ旅じゃないし」キコ、ジョッキをグイと飲む。
「空港まで迎えにいってあげるよ」ハル「オレも迎えにいく」大路。
「じゃあ、お願いします」ドラエ。
「ひ、ひーん・・・あたしだけ行けない・・・・」スクミ机につっぷして泣いている。
キコ「面接2社入ってるんでしょー、仕方ないじゃん、遊びより就職のほうが大切だし」
「・・どうせ面接受けても落ちるだけ、20社目なんだよー」顔を上げるスクミ。
「今度は大丈夫だって。就職決まってから、また皆で旅行いこうよ」キコ、スクミの肩をたたく。
「うん、そうだね」スクミ、鼻をかむ。
ドラエ枝豆を食べながら「(就職、大変なんだ・・)」
<ホノルル空港、03:00>
一人、ホノルル空港の到着ロビーに立つドラエ
「(現地時間03:00なんですが・・・、果たして、迎えはあるのでしょうか?咲江選手、少々不安になってきました)」
「(よく考えれば、そもそもどこで待ち合わせなのでしょうか?)」
ウロウロするドラエ。
「(はっ、遭難した時はビバーク、これ鉄則だった・・・・朝まで待ってよう)」
「イクスキューズミー」声を掛けられるドラエ「え?」
振り返るドラエ、髪の長い、背はドラエより高くハルと同じ位の女の子が立っている。
「(同じ飛行機に乗っていた子だ)」、ドラエに何か話し掛ける「(え、これ何語?英語?)」
「(ノーホテル、ノーマネー、っていわれても)」
「(何かこの子泣きそうだよ)」
「分かったから泣かないでよ、ドンワリー」
「(結局、泊めてあげることになった・・・)」
<ホノルル空港・到着ロビー、03:30>
空いているベンチに座るドラエ、「(外人さんも寝てる。地べたに寝袋、バックパッカーすごい!)」
帽子を深く被りパーカーを着て寝ている人の、手前の2席に座るドラエと女の子、足元には寝袋。
ウトウトする女の子をみながらドラエ「(名前はユーエン、ベトナムから来たっていってたよね、確かに髪黒いし、肌の色も濃いし」)」
「はー、(何がなんだか、もう疲れた・・・、寝よ)」
<ホノルル空港、09:00>
「(はっ、今何時? もう8時半、なんか人多くなってきてる)」隣を見る、やっぱり女の子はいる。
「(そうだ、変なことになっちゃたんだー、キコ先輩なんて言うかな、不安)」
寝袋が寝返る、「(黒髪、日本人?)」
「(ん、もしかして)」急にドラエ横の金髪の女性を見る。帽子を深く被っている。下からのぞきこむドラエ。
急に立ち上がるドラエ「いたんですか!」
叫びながら、ハルを揺り起こす。「・・・・もーいるならいるで、言って下さい!」
「ん、あれ、ドラエちゃん、オハヨー」
寝袋から起き上がる大路「ふあ?あ、ドラエー」「やっぱり、大路君」
<バス>
つり革につかまるハル「昨日、バスがある時間に来てさ、大路クンとずっと待ってたの・・・結構退屈だったよ、ハハハ」
「タクシーじゃないんですね」「ホテル代・食事代以外は自前だからね、バス安いし」
外の風景を見ながら考えるドラエ「(このクラブ、ただでハワイにつれていってくれるのに、へんな所ケチ)」
「大路君、寝袋日本から持ってきたの?」「昨日アウトレットショップで買った、自分への土産」
大路「あの・・・、所で、コチラだれ?友達?」、ドラエと大路の間にいるユーエンにっこりする。
ドラエ「実は・・」
<バス停>
バスから降りる4人、歩道を歩く。
「まあ、追い返せとは言われないだろうけど」
「ドラエちゃんから聞く話じゃあ、何かかわいそう」
「むげに断れなくって・・・」ハル「大丈夫、大丈夫、キコさんも歓迎すると思うよ、人数多い方が楽しいじゃん」
大路「そうそう、女子部屋も2ベッドルームだから、ベッド1ツ余ってる筈だし」
<ホテル前、10:00>
「ここの10階」「すごい!想像してたより大きい」
<エレベーター>
「んー、この時間だったら皆プールかな?」
<プール>
プールサイドを歩く4人。
浮き輪に乗っているキコ・チエゾー、プールで遊んでいる
「もっと押して、押して、きゃははは」「いくぞー」
ベンチで新聞を読んでいるユーイチ、ハル達に気付く。「よー、遅かったじゃんドラエ」「まあ、色々あって・・」リュックを置くドラエ。
キコ、4人に気付く「あ!ドラエちゃん!」
プールから上がり歩いてくる2人
「大丈夫だったードラエちゃん」キコ、「なんとか、たどり着きました(うわ、ビキニ、スタイルいいキコ先輩)」
キコ「大路くんとハルちゃんも、ごくろう!」「一応先輩ですから、ねっ大路くん」ハル「はい」
「あー、ところで、この子だれー?知り合い?」キコ、ドラエとハルの間に立っているユーエンを指差す。
ドラエ「え、あ、こちらユーエンちゃん、彼女ベトナムから来たつーことでですね・・・」
<プールサイドのベンチ>
皆、ベンチに座り、ドラエが聞いたことを皆に説明する。
「私達ここにいるの1週間だけどそれで良かったらいいよって伝えて」「はい、ありがとうございます」
「でもクラブの臨時部員であることが条件だからねー」
ユーエン、キョトンとしている。
<女子部屋>
ハル「じゃあ、ドラエちゃんとユーエンちゃんはこのベッドルームね」「ありがとう」
「え、日本語しゃべれるの?」「スコシ」「すっごーい」
<サイミン屋、12:00>
サイミンを食べるキコ「今日もビーチだっけ?」「そうそう」ユーイチ
「オレ運動神経悪いのかな?まだ板にたてないよ」「お前悪すぎ、ははは」チエゾー
「いや今日は立てる」
「所で、ユーエンちゃん水着持ってる?」キコ「??」
「スウイム・ウエア」「ノー」
「ドラエちゃん、ホテルの帰り道で水着買ってあげて、部費から出すから、あ、ビキニね」
「ドラエちゃんも水着ビキニだよね?」「はい、一応・・(私ビキニ初めて)」
<ビーチ、14:00>
ボディーボード抱えて帰ってくるユーエンとドラエ「ああ、疲れた・・、ユーエンちゃんうまいね」「??」
「そこにジュースあるよー」キコ、Tシャツを着て、帽子とサングラスをかけている。
「頂きます、よっこいしょ(あー時差でしんどいワー)」ジュースを飲むドラエ。
「ユーエンちゃん、ほら、ジュース」ユーエン、ボディーボードを立てて隠れるようにする。
白シャツの男が通りすぎる。ユーエン、ボードの陰からのぞく。
ドラエとキコ不思議そうにユーエンを見た後、2人目を合わせる。ユーエン気付きニッコリする。
「さ、そろそろ帰ろうか・・・、男子呼んでくるね」キコ海に向かって歩きだす。
ユーエン、立ち上がり「ドラエー、ダイヤモンドヘッド」指差す。
ドラエ「あれがダイヤモンドヘッド?」、ユーエンニコニコしている。
<ホテル男子部屋、16:30>
「コンコン」ドアを叩く音、チエゾードアを開ける。
ドラエ「バスルームもう空いてます?」「ああ」「じゃあ、貸してください、キコ先輩長くて、ハル先輩も待ってるし」
ドラエとユーエン2人入ってくる。
ドラエ「先、使って」「サンキュー、ドラエ」
大路、冷蔵庫を開けて食材をメモっている。
ベランダに出るドラエ、ユーイチがイスに座ってビールを飲んでいる、チエゾーもベランダにやって来る。
「ドラエ、ビール飲む」「あ、頂きます」
ユーイチ「ユーエンちゃんてさー、金ないからドラエちゃんを頼ったわけ?」
「彼女、そー言ってますけど」「でも、ハワイに来る金はあるんだ」「・・・・」
チエゾー「そういえば、彼女の腕時計、xxのニューモデル、あれめっちゃ高ぜ」「そうそう、あれ高いんだよな」
そこにユーエンが来る「ドラエ、シャワーOK」「あ、ありがとう、じゃ、入ってくるね」でも行かないドラエ。
海を見ながら長い髪をタオルで拭くユーエン。
3人、ユーエンの腕時計を見る。ユーエン、視線が分かったらしく腕時計を見せて「ニューモデル」ニコニコする。
ソファーにユーエン、大路、ユーイチが座りTVでアニメを見て笑っている。
チエゾーはベランダのイスに座りタバコを吸って新聞を読んでいる。
向かい合って座っているドラエはタオルを首に巻き、窓越しに部屋の中にいるユーエンを見ている。
「買い物行かなーい」キコとハルがベランダに入ってくる。
「あ、オレ行く」ユーイチ、チエゾー立ち上がる「オレも」。「私はゆっくりします」とドラエ。
キコ、大路に向かって「じゃー、コック長晩ゴハンよろしくー」
「大路クン、ゴメン、今日はお願い」ハル、ゴメンする
「ユーエンちゃんゴーショッピングウイズアス?」首をふるユーエン「じゃ大路クンを手伝ってあげてねー」
<スーパー、17:00>
「いつもここで買い物してるの?」「うん、結構食材買うの面白いぜ」
「外食はしないの?」「朝と昼は外食するけど、夜は基本自炊、節約だって」「何かこのクラブ、変にセコイよねー」
ユーエン、カートにライスペーパーを入れる。「春巻き作ってくれるって、わー楽しみ」
ユーエン魚介類を物色している。
「ドラエー、缶ビール1箱分頼む、銘柄はなんでもいいけど2種類」「OK]
「ジャンクフードも適当に、甘いものも混ぜてくれ、昨日無くてキコ先輩に怒られたから」
「お、マンゴー安い」
「なんか、とんでもない量の食材」「まー7人だからな」「つーか持てる、コレ?」
「そんな時の為に、ジャーン」ガラガラを2つ出す大路。
「すごーい、そんなの用意してるんだ」「おととい買った、1日目ハル先輩と2人で来て死んだから」
<ホテル入口>
ホテルのロビーへの階段で荷物を引き上げるのに苦労する3人、
「うー階段きつー」「うー、ユーエンちゃん私もう手しびれて力はいんない。離すかもー!!」
<ホテル男子部屋、18:00>
ホテル「ドラエ、米8合たいてくれー」「ハワイのコンドに炊飯器あるの?・・・あるじゃやん」「買ったよ昨日」
「おわったらサラダ頼む、オレ肉の下ごしらえするから」
「ユーエンちゃんは春巻き頼むよ」「ハイ」
「なんか給食室みたいになってきた」
「(あ、ビール冷やさなきゃ、女子部屋の冷蔵庫にいれるか)」
ドアを叩く音「ドンドン」ドラエ、ドアを開ける。
「どう、これー」ニコニコして両腕の腕輪をみせるキコ「YYYよ、YYY、ヤバイ位高かったー、きゃはは」
「わたしも買ったよ、8ドルだけど」ハル、首飾りをしている。
チエゾー「あー腹へったー」ユーイチ「おなじくー」2人ソファーにドスンと座る。
キコ「料理長、晩ゴハンはー?」「10分後にできます!!」
「この春巻きおいしー!」「ホント、おいしーよ、ユーエンちゃん」
「大路くんのステーキも硬くておいしいよ」「ハル先輩、ありがとうございます」
ドラエ「ねー、ユーエンちゃんっていくつ?ハウオードアーユー」「ナインテーン」
「オレとおなじ、ドラエも同じだ」
ドラエ「日本にいたの?ユーステイドジャパン」ユーエン首をかしげる
「なー、ベトナムって暑いのか?ヴィートナム、ホット?」
「イエス、ホット」
<ホテル男子部屋、23:30>
「先寝ますー」大路、部屋に戻る。
キコ「もうこんな時間、じゃ部屋に帰るね、行こうハルちゃん」
ハル「ハーイ、帰るよユーエンちゃん。ドラエちゃんも」「私もう少しいます」「そう」
ユーイチとチエゾーとドラエの3人になる。TVはアニメが流れている。
「ゴハンの時、私がユーエンちゃんに、日本にいたって質問したの憶えています?」
ユーイチ「そんなこと言ってたっけ?」、チエゾー「あー憶えている。実は、アレ俺も引っかかってた」
「あの質問だけはぐらかしたような感じだった」「ですよね、ですよねー」
「だから何なんだよ。明日、本人に聞けば?ふぁー、オレもうフロ入って寝るよ」「でも・・」部屋に帰るユーイチ。
チエゾー「人のプライバシーに立ち入るのも、アレだしなー」「でも、先輩!」
TVからアニメの笑い声がする。
電話が鳴る、ドキっとするドラエ。
「キコでーす、ドラエちゃん、門限過ぎてるよ、帰っといで」「はい」「お風呂あいてるから」
<2日目:朝>
電話が鳴る、料理の下ごしらえをしている大路がすぐに取る。
「咲江です」「あ、おはよう」「大路くん、今から行くからドア開けてね」「OK」
ユーイチ、コーヒーを飲みながTVのニュースを見ている。
「おはよーございますー」「グッド、モーニン」ドラエと一緒にユーエンも入ってくる。
ユーイチ「おはよー、早いね」「オハヨー、ハヤイネ」ユーエン。
「さてと、ジョギングいくか、おい、チエゾー、今日もおかゆ食いに行く?」ユーイチ、バスルームにいるチエゾーに大声で尋ねる。
「おお、いく!」「じゃ、30分後に店でな」「わかった!」
出てゆくユーイチ。
チエゾー歯を磨きながら「ドラエ、一緒に朝メシくいに行く?」「いいんですか」「自腹だぜ!」「いいですよ」
「ユーエンちゃんもゴーアウトフォアブレックファースト?」
「ジバラダゼ」笑っているユーエン。
洗面所から大声でチエゾー言う「大路も行くか?」「キコさんとハル先輩の朝ゴハン作らなくちゃならないんで」「あ、そ」
「ふー」パンツとシャツでバスルームから出てくるチエゾー。
ドラエ「あの、先輩・・・短パンとか何かはいてくれます?」
<通り>
チエゾー、ドラエ、ユーエン3人で歩く。ユーエン、ゴルフ用のキャップを被っている。
売店で新聞を買うチエゾー「今日は日曜日か、思いっきり分厚いな」
「今気付きましたけど、ハワイの空気って花の匂いがしますね」「スンスン、そーかー?分かんねーけど」
「お、この店だ」店に入る3人、テーブルに座って何か食べているユーイチを見つける。
「もー腹へってさー、先食ってるぜ」
<ホテル・男子部屋>
雑誌をめくる大路「(遅いなーハル先輩たち)」ドアを叩く音がする。
キコとハル上半身は水着の姿で入ってくる。
「おはよー、何かある?」ビックリする大路「あ、あ、ハムと目玉焼きとパンと果物なら・・・」
「じゃーお願い、あ、少なめにね、すぐプールでしょう」「わたしの分もお願いね大路クン、あ、手伝うよ」
キコ、ソファに座りTVをつける。「ねえ、みんなは?」
大路「ユーイチさんはジョギング、あとの3人はオカユ屋へ行きました」
ハル、フォークとか並べながら「(明日は早起きして、チエゾーと一緒にいよう)」大路「でも、そろそろ帰ってくる時間ですよ」
<通り・ホテルへの帰り道>
「今日の予定はと・・・、旅のチラシ、旅のチラシ」チエゾーポケットから紙を出す
「本日、11:00からプール、ファーストフードで昼食後、海へ、夕方フリー、夕食後本日の目玉、映画!」
「スクミさんも来れればよかったのになー」ドラエ「就職がかかってるから仕方ねいですよね、でも打合せ会の時スクミさん、マジ泣いてましたよね」
「ほんと、あれマジ泣きだったよな」
ユーエン急に2人の後ろにピッタリつく。チエゾーの服をぐっとつかむ。
「ん?」後ろを見る、チエゾー。ユーエン、片手で帽子を深く被りなおしている。
前から白シャツの男が2人歩いてくる。
すれ違う2グループ。
ユーエン、後ろを見ながら歩いている。「どうしたのユーエンちゃん」ユーエン、通り過ぎた男達をこわごわ見ている。
<ビーチ>
ドラエとハル、うまく波に乗って浜辺に戻ってくる。
ドラエ「私達、スゴクうまくなってるんじゃないですか?」「毎日きてるからね」
キコ、イヤホンをして本をみながらブツブツ言っている。
腕時計を見て、イヤホンを外すキコ「そろそろ帰る時間だねー」「そうですね」
「もういい加減にして欲しいわねー、あの5人、まだアソコいるよー、ユーエンチャンもドラエちゃんも一緒になって」
ハル「ビックウェーブを待ってるって言ってましたけど・・・」
「来ない来ない、本当にバカ5人組み、ハルちゃん呼んできて」「はーい」
ブギーボードを抱えて走ってゆくハル。
<スーパー:夕方>
ドラエ、ユーエン、チエゾーがスーパーに入る。大路はカートを引っ張りだしている。
大路、メモを読み上げる「今日は魚半身を7人前」「バター2ハコ分、ドラエ頼む」「OK]
「サラダ用野菜、ユーエンちゃん、ベジタブルフォアサラッド」「OK」
「先輩は、ビール1ハコと水4本をお願いします」「ああ、分かった」
ビールケースを担いだチエゾーが通路を曲がる。
ユーエンが声高に男と話しているのをチエゾーが見つける。「どうした、ユーエンちゃん」
男、チエゾーに何か大声で言う、ユーエンも男に大声で答える。
男、チエゾーに向かって早足で近づき、突き飛ばす。「って!」ビールを持ったままシリモチを付くチエゾー。
チエゾー「おい!なんだおまえ!」男そのまま走って店を出てゆく。
「なんだよ、あいつ・・」、ドラエ走ってくる「どうしたんですか?大丈夫ユーエンちゃん」「・・・OK,OK]
そこに大路カートを押して来る「あと、ティッシュペーパーと洗剤」
3人大路を見る「・・・ん?何か?」
<バス:10:00>
「あと10分ぐらいな」ユーイチ。「ハイ」ドラエ返事する
ドラエ「ダイヤモンドヘッドってバスでいけるんですね」隣に座っているキコ「レンタカーでいきたかったけど、レンタカー高いでしょー」
キコの手元にはxxxの腕輪がチャラチャラしている。「・・(アレ、ウン万円らしいけど、やっぱり金銭感覚がわからないクラブだ)」
<ダイヤモンドヘッド>
展望台に立つ全員「おースゲー!」ユーイチ「やっぱ、楽園ねー」キコ
ユーエン、母国語で叫ぶ「xxxxx!!」
<通り:夕方>
チエゾー、ハル、ユーエン、ドラエ通りを歩いている。
「涼しくなった夕方、ブラブラとウィンドウショッピングするこの時間は一番好き」ハル。
「イチバンスキ」ユーエン。
ドラエ横目でユーエンを見る。隣にチエゾーが居る。
「(あのスーパーでの一件以来チエゾー先輩はユーエンちゃんのそばに居るようになった、やっぱ頼りになる)」
「(あれから3日経つけど、特に変なことは起こっていない。このまま何も起こらなければいいけど)」
「(まるで小さな爆弾を抱えているみたい・・・、観光客でにぎわうワイキキの町が逆にウソっぽく感じる)」
「(空の色も町の緑も鮮やか過ぎる位現実感があるのに・・・)」
貝殻で作られたドアチャイムが店先で風に吹かれチャラチャラ音を鳴らしている。
<スーパー:夕方>
買出し担当になったキコ、ユーイチ、大路通路を歩いている。
「さー、あたし、ジャンク一杯買っちゃおー」
「これも、これもー、じゃんじゃん買っちゃえー、キャハハハ」、大路「あのキコ先輩、今日は夕食の材料を・・・」
ユーイチ「まー、硬いこと言うな」
大路「って、ユーイチ先輩なにロブスター入れてるんですか」
「すげーうまそうじゃん、これ」「どうやって料理するんですか、これ」
<ホテル・フロント>
ハル、ユーエン、チエゾー、ドラエ、ロビーを横切る。
ロビーのソファに座っていた男、急に立ち上がり行く手をふさぐ。
先頭を歩くユーイチ「お?」
「xxxxx」後ろでユーエンが叫ぶ。別の男がユーエンの腕を掴んでいる。
「おい!」振り返ったユーイチ、男を引き離しつき倒す。
男は立ち上がり「xxxxx」ユーイチに向かってくる、チエゾー向かう。
ユーエンはチエゾーの前に手を広げて立ち「ストップ、チエゾー」、そのまま振り返り、男にも「xxxxxx」と叫ぶ。
「止めるな、ユーエン」
「どうしたの!」丁度そこへキコ達が帰ってくる。「何やってんのチエゾー」
「ユーエンちゃんにちょっかいを出してたヤツラが!!」
ハルとドラエがユーエンの前に立ち守っている。
3人目の男が現れる。ユーエンに話す「xxxxxxx」
後の2人の男にソファーに座れと手で合図する。
ユーエン、皆に話す「プリーズ、ゴーユアルーム、アイルビバック、スーン」
ハル「でも・・ユーエンちゃん」「プリーズ、ゴーユアルーム」
キコ、男に喋りかける「xxxxxxxxx」、男少し驚いた様子で、うなずき「ok,ok」
キコ、皆に「アタシ、代わりに話聞いとくから、皆部屋に戻ってて、ユーイチだけここに残って」「お、おれ?」
チエゾー「おう、ユーイチまかせた、皆いくぞ」、
ドラエ別れ際に「キコ先輩大丈夫ですか」「ちゃんと話聞いとくから」
<男子部屋>
チエゾー「さっき見先、男に何って言ったんだろう?」
ハル「多分ベトナム語。キコさん、ユーエンちゃんが来た日に、ベトナム語会話の本を買って、それからずっと読んでた」
「キコさんのことだから、もうペラペラだと思う」
<男子部屋。19:00>
「どうぞ」コーラの缶を2つキコとユーエンの前に置く大路。
キコ「つまりね、ユーエンちゃんのパパは去年までベトナム在日大使で、任期を終えて国に帰ったんだけど
ユーエンちゃんは1年間という約束で1人日本に残ったんだって。でも約束の時が来てベトナムに帰る段になったんだけど、どうしても
帰りたくなくてハワイび来ちゃったって」
ドラエ「じゃあロビーの3人の男は」キコ「日本に迎えに来たユーエンちゃんのパパの部下」「そうなんだ・・」
キコ「ユーエンちゃんはとりあえず明日日本に帰るって」
ユーエン「あした、かえる」ニコッとする。
チエゾー急に立ち上がる「はー、そっか、何かオレ、変な事件にユーエンちゃんが巻き込まれていたのかと思ってたぜ、タバコ吸ってくる」
ベランダに出るチエゾー。
ドラエ「私もずーっとそう思ってました!よかった!」
「一件落着つーことで、そろそろ晩飯をー」ユーイチ「ホント、お腹すいたね、大路クン・ドラエちゃん、晩御飯作って、ユーエンちゃんも手伝ってね」キコ
「私も手伝います」ハルも立ち上がる。
<男子部屋。21:00>
洗い物をするキコ、チエゾー、ユーイチ、ハル。
ベランダに出るドラエ。ユーエンがイスに座って月を見ている。
「満月だね」ドラエ、指で丸を作る。
ユーエン膝を抱えて月をみながら「イエス、マンゲツ。・・アイ、ウヲントトゥーステイインハワイ、・・・ジャパン」。
「あーやっと洗い物終わったー」チエゾー。
キコ、ベランダに顔を出し、缶ビールを空けながら「『朝まで大貧民大会』ーーよ!!」
ユーエン「ダイヒンミン!」
「ねえ・・少し休憩しない、4時半だし・・」キコ。「そうすっか・・、ちょっとベランダに・・」ユーイチ
「朝まで大富豪って以外と骨おれる・・・」チエゾー
「外明るくなってきた・・・」ハル
「xxxxxxx・・・」ユーエン、ソファに倒れる。ドラエも横に倒れこむ。「(何で朝まで大富豪なのか意味分かんない・・)」
<06:30、ホテル前>
使者の2人、タクシーの前で見ている。
「サンキュー、キコ」握手をする「またねー」
「サンキュー、ユーイチ」握手する「おう」
「サンキュー、オオジ」握手する「ユーエンちゃん」大路、両手で握り返す。
「サンキュー、ハル」握手する「楽しかったね」
「サンキュー、ドラエ」ユーエン、ドラエに抱きつく。「・・・」
「サンキュー、チエゾー、xxxxxxx」「??じゃあな」
ユーエン、タクシーに乗る。皆、ぼーっとして見ている。
ドラエ「キコ先輩、ユーエンちゃんチエゾー先輩に何て言ったんですか?」「分からなかった」「・・・そうですか」
<ビーチ、14:00>
うつぶせになり帽子を深く被り目を閉じているドラエ。キコはサングラスをかけ熱心に本を読んでいる。
「(長い滞在だったけど、私たちも明日帰国、今日は夕方から買い物タイムとなっている)」
「(でもユーエンちゃんが帰っちゃって、気が抜けたというか、安心したと言うか、何か物足りない感じがする)」
自分の腕が視界に入っている「(結構、焼けたな・・)」
「xxxxxxxxx」外国語が目の前で聞こえる。「え?」
白シャツの男が1人目の前に立っている。
男はキコに話し掛ける「xxxxxxxxxxxx」。キコ「yyyyyyyyy」
男は後ろを指さし去ってゆく。
キコとドラエ後ろを振り返ると、ブギーボードを持った水着姿のユーエが立っている。
ドラエ立ち上がる「ユーエンちゃん!?飛行機乗らなかったの?」
「アイ ミスド マイフライト、デパーチャー、トモロウ、セイムフライト」「マイパスポート、インセーフティボックス」
「ははは、しっかりしなよ」、キコ「(わざとよ、わざと)」
「ドラエ、レッツ、ゲットオンビッグウェーブ」ユーエン、ドラエの腕を引っ張る。
「分かった、分かったから、」ドラエとユーエン、ブギーボードを抱えて海へ走ってゆく。
「(観光客でにぎわうワイキキの町が逆にウソっぽく感じる。空の色も、町の緑も鮮やか過ぎる位現実感があるのに・・・)」私はこういったちょっとミステリーっぽい話が好きです。